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一章 始まりの季節
刃
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もうすっかり使い慣れた原付のエンジンをかけ、ヘルメットを被った。
「やれやれ、今日も今日とてバイト生活」
嘆息すると、俺はバイト先に向けて発進した。
あれから車を泣く泣く売却し、バイト先を決めて、引越しをすませた。今は単身者用のワケあり物件に肩身のせまい思いをしながら暮らしている。ワケあり物件だということで連帯保証人もいらなかったし、単身者用の物件に二人で住むことにも何も言われなかった。俺がフリーターだということにも。実はけっこう懸念していたことなのだが、大家さんは「どうぞどうぞ」といったように俺たちのことを受け入れてくれた。だがもうひとつの懸念は当たってしまった。俺たちのアパートにはもう一人の住人がいる。
近藤さんだ。いわゆる地縛霊というやつだ。
サラはすっかり近藤さんと仲良くなってしまった。今朝も近藤さんと仲良く二人して、
「いってらっしゃーい」
などと朗らかな声であいさつをしていた。
まったくサラのやつどういった神経をしているのか。まあ、あいつの気持ちもわからなくもない。あいつは独特の容姿をしているので日中外出することは滅多にない。なんといってもあの耳が問題だ。あの耳を隠すためには厚手のパーカーのフードをすっぽり被る必要がある。そんな怪しい格好で日中うろうろしていたら職務質問を受ける可能性大だ。そんなわけでサラはほとんど引きこもり状態だ。そんなサラの話相手になっているのが近藤さんなのだ。
近藤さんは成仏しないのかって? それもまた問題だ。
この近藤さんとかいう女性霊。どうもこの世に未練があるらしく、なかなか成仏しようとしない。
「私、どうしても成仏したくない」
「いいよいいよ。私の話相手になってくれてるんだから」
「そうよね。私もサラちゃんのこと大好き」
「マブダチってやつだね。私たち」
あほかこいつら、としきりに俺は思った。近藤さんにどういうわけで死んだのかと聞けば。
「それは話したくない」
の一点張りだ。
サラもこの点は気になっているらしく、さりげなく聞き出そうとしては失敗している。
そんなわけで俺の日常生活はいよいよ奇っ怪さを増し、ファンタジーとホラーをないまぜにしたような様だ。まったく厄介なことこの上ない。そう思いながら俺は原付の速度を速めた。
バイト先に到着した。俺のバイト先は複合商業施設の中にあるお好み焼き屋だ。そこで俺は厨房担当として働いている。なぜ俺がこのバイトを選んだのかといえば、俺の唯一ともいえる趣味が料理だったこと。そして時給がそこそこよかったことだ。
入りたての頃は苦労した。なんといってもプライドの高い俺のことだ。まず人に指図されるのが苦痛だった。時には自分より一回りも若い大学生に教えを請わなければならないこともあった。しかし、三ヶ月も働いていると、だんだんとこの職場にも慣れてきた。今日も朝からラストまでのシフトだ。
「おはようございまーす」
飲食店でのバイトのあいさつは決まって「おはようございます」だ。
「おはようございます。鷲崎さん」
「おう。米倉くん。おはよう。元気かい?」
俺があいさつを返した相手は米倉蒼梧くん。俺よりも長く働いている大学生だが、自然と俺の方が立場が上になってしまった。
「今日は社員なし。バイトだけで回さなきゃいけないのか」
「そうです。大変そうだなあ」
「大丈夫大丈夫。なんとかなるって」
とは言ったものの、その日はなにかが起こりそうな気がした。
ハプニングが起こったのは午前中だ。店のお好み焼きはいわゆる広島風だ。広島風お好み焼きを作るには大量のキャベツの千切りを使う。その仕込みをしている時に事件は起きた。なんと専用のキャベツの千切り機が故障してしまったのだ。残り十玉ものキャベツを残して。仕方なく俺がこの手でキャベツを千切りするはめになった。この店で一番切れる洋包丁を使いたかったが、あいにく見つからなかった。仕方なく別の包丁で代替することにした。なんとかその場を乗り切った。
夕方四時半を回ると一旦店じまいをする。そこで遅めの昼飯をとることになる。今日のまかないはカレーだ。毎度お馴染みのこのメニューを食べながら俺たちは談笑していた。
「鷲崎さん。聞きました?最近ここらへんで物騒な事件が相次いで起こっているそうですよ」
「へー。物騒な事件っていうと?」
「連続殺傷事件だそうです。その犠牲者の一人がなんと小学生に上がりたての子供なんですって」
「そいつ。死んだの?」
「ええ。殺られちゃったみたいです」
「なんてこった。死んだのはそいつ一人?」
「はい。包丁でぶすり、だそうです」
「犯人は?」
「まだ捕まってないそうです」
「場所は?」
「それが近所の公園なんですよ。こっわー」
「ふむ」
俺は頭の中でよからぬことを考えていた。いい感じの幽霊になってそうだな。
俺はサラとの会話を回想した。
「いい感じの幽霊?」
サラの発した言葉に俺は疑問を呈した。
「そう。いい感じの幽霊よ」
サラは一定の魔法を行使しなければならないので、魔力の補填をしなければならない。どういった方法で魔力を集めるのかといえば幽霊を成仏させること。
「だからいい感じで成仏しやすい幽霊を見つける必要があるの」
なぜかしきりに近藤さんがこくこくと頷いていた。
「近藤さんは?」
「だめだめ、貞子は私の友達だし、れっきとした地縛霊だもん。全然成仏できないわ」
近藤さん、またも頷く。貞子というのはサラが近藤さんにつけた渾名だ。この渾名に異論はないらしい。サラの傍若無人ぷりに何も文句を言わないなんて。近藤さん、あなたいい人だ。いや、いい幽霊だ。
「私もいろいろ試してみたんだけど、幽霊ってけっこう怨念強いわよ。なかなか成仏しないのが多いの」
考えてみればそうだ。この世に未練がなければさっさと成仏してそうだ。
「だから死んで間もないとか、とにかく成仏しやすそうな幽霊にターゲットを絞っていかないと。効率的に、ね」
「というかお前。一人でも幽霊成仏させたことあるのかよ」
「な、なに言っているの。あるわよ…一人だけ」
呆れた。なんのために深夜に徘徊しているんだこいつは。
「魔力の方は?大丈夫なのか。残量やばいんじゃないのか」
「ま、まだ大丈夫よ」
サラは明らかに焦っている。本当に大丈夫なのか。
そんなわけで俺はその小学生くんが「いい感じ」の幽霊になっていそうだと考えたのだ。
俺の頭の中もこの数ヶ月でだいぶまじでやばい方向に進んでいる気がする。でも、仕方がないだろう。だって異世界人と幽霊と共同生活を送っているんだから。
通常の人間の頭では理解しがたい世界を俺はいままさに生きているんだ。
幽霊もわりとはっきり見えるようになったし。
「鷲崎さん。なに深刻になって考えているんですか?」
「いや、なんでもないさ」
仕事を終えた俺は帰りに殺傷事件があったという公園に立ち寄ってみることにした。なるべく物騒な場所には寄りたくなかったんだが、興味本位だ。断じてサラのためではない。
「ここか」
ごくごくありふれた住宅街の中の小さな公園だった。こんな場所で殺人事件が起こったなんて俄かには信じがたい話だ。事件があってからしばらく経ったのだろうか。テレビやなんかで見かける事件現場にかかる黄色いテープのようなものは存在しなかった。
公園内をざっくり見渡す。するとブランコに座る小さな男の子の姿を発見した。
いたな。まず間違いなく幽霊だろう。こんな時間に子供がブランコに座っているはずがない。生きている子供だとしたら、とんだ不良息子だぞ。俺は彼に近づいた。
彼は寂しそうな目で虚空を見つめていた。俺が近づいても何の反応も示さない。声をかけてみることにした。
「やあ」
「――」
今度はかがんで目線を合わせて。
「やあ、君」
「――」
相変わらず何の反応も示さない、おかしいな。俺のことを警戒している? そんなふうには見えないが。相変わらす虚空を見つめている。
仕方ない。俺は帰ることにした。何の反応も示さないんじゃな。放っておこう。同情はするよ。アーメン。
アパートに帰り、部屋の鍵を開ける。
「ただいま」
リビングの方からテレビの音がする。お笑い番組でも見ているらしい。それにしても主人が帰ってきておかえりの一つもないのか。
リビングのドアを開けると、やはり二人してテレビを見ていた。
「ただいま」
「ん、おかえり」
サラはこちらの方を向かずに返事をした。相からず図々しいやつ。
「おかえりなさい…」
その点近藤さんは愛想がいい。ちゃんとこちらの方を向いてあいさつをくれるのだから。
しかし近藤さん。なぜあなたはこちらの方をじーっと見ているんですか。なんか怖いですよ。あなたのそういった眼差し。いまだに俺慣れません。
「近藤さん。なんですか?」
「いえ……どちらさまですか」
「いや、俺は鷲崎ですけど。なにを言っているんですか」
「そちらのかた――」
近藤さんはゆっくりと俺の方を指さした。いや、正確には俺の背後を指さしているのだろう。
まさか。俺は後ろを振り返った。
そこには先ほどの少年が佇んでいた。
俺とサラは腕組みをして少年のことを眺めていた。
「連れてきちゃったのね」
「そうみたいだ」
「憑いてるってことね」
「なにを恐ろしいことを。断じてそんなことはない」
「ふーん」
サラは腕を組んでなにやら思案顔だ。しかし幽霊を連れてきてしまうとは。不覚。こんなことが起こらないようにと普段は幽霊らしき存在とのコンタクトをとることを自分に禁じていたというのに。一種の気の迷いが俺に失態を演じさせたのだ。不覚。
「君名前は?」
サラが少年に尋ねた。
「……」
「名前はって聞いてるの」
少年はただ俯いたまま黙りこくっている。
「優。この子なにも反応を示さないわ」
それはわかってる。俺が公園で話しかけたときも同じ感じだった。
「困ったわね。これじゃ成仏させたくても何もできやしないじゃない」
俺たちが困っていると近藤さんがゆっくりと少年に近づいた。
「お名前教えてくれる?」
近藤さんが優しく少年に尋ねた。するとどうだろう。さっきまで何の反応も示さなかった少年がゆっくりと顔を上げたではないか。そして少年は口を開いた。
「さとる」
「さとるくんっていうの。上の名前は?」
「ささき」
「ささき、さとるくんっていうのね。わたしは近藤直子。こっちの二人はサラさんに優さん」
「サラ……すぐる……」
「そうよ。何も怖がらなくていいからね」
やった。なんとかコンタクトに成功したぞ。でかした近藤さん。
「貞子ナイス! さとるくん。私のことわかる?」
「わかる」
「じゃあ、こっちのおじさんの方は?」
「わかる。おじさんたち僕のこと見えるの?」
おじさん呼ばわりされたことは心外だが、ひとまずよしとしよう。だんだん応答がはっきりしてきたかんじだな。
「見えるとも。さとるくん、君は…」
俺は少年に質問しようとして口をつぐんだ。
君は殺されたのか?
そう尋ねるわけにもいかない。なら、どうするか。
俺が悩んでいるとサラが少年に話しかけた。
「さとるくん。君は死んだの。残念なことだけど。その自覚はある?」
少年は少し戸惑った様子であったが、静かに頷いた。
「やっぱり僕死んだんだね」
「そうよ」
「やっぱり。僕、色んな人に話しかけたんだ。でも皆僕のこと見えてないみたいで。公園で待っていても誰も迎えに来てくれないし。それに、おなかが空かないんだ」
サラも近藤さんも神妙な表情になった。幽霊になったのだから当然だろう。肉体を失えば、それを維持するための食事も必要ない。俺は疑問を口にした。
「家には。家には帰ってないのか?」
「一度だけ、帰ってみたことがあるんだ。でも、インターホンを押すこともできないし。僕、お母さんと二人暮らしなんだけど、お母さん出てこないし」
母子家庭か。息子を失ったショックで家に引きこもっている?いや、こういう場合は実家に帰っているんじゃないのか。サラが少年に尋ねる。
「ねえ、さとるくん。何か思い残していることはない?」
おいおい。単刀直入すぎるだろ。何が何でも魔力の補填を優先したいのか?
「思い残していること?」
少年はすこし思案して口を開いた。
「難しいけど。でも、僕自分がなんで死んだのか分からないんだ。それが知りたい。それからお母さんにも会いたい」
自分がなんで死んだのか分からない?そんなこともあるのか。
「ね、優。さとるくんは何で死んだの?」
サラが俺に尋ねた。言うべきか?事実をこの少年に。ショックを受けるんじゃないのか。
しかし、俺は意を決して少年に言った。
「君はおそらく殺された。犯人はまだ捕まっていない」
俺は事実をそのまま告げることにした。
「殺された……」
少年はやはりショックを受けたようだった。微かに心が痛む。
「殺された?優、それ本当なの?」
サラが驚いた様子で俺に尋ねる。
「ああ。本当だ」
「殺されたなんてことそのまま言っちゃって、さとるくんショック受けてるじゃない」
「だからって嘘をついても仕方がないだろう」
近藤さんが心配そうな表情でさとるくんに尋ねる。
「さとるくん。大丈夫?」
少年は静かに頷くと、
「大丈夫」
と言った。随分気丈な少年だ。俺は素直に感心した。
しばらく少年は黙っていたが、意を決したような表情になって少年は俺に言った。
「犯人はまだ捕まってないんだね。なら僕、その犯人を捕まえたい」
なんだって。それは無茶だろう。警察もまだ犯人を逮捕することができていないのに。まして幽霊のさとるが犯人を捕まえるなんて。
「いいわね。面白そう」
サラが信じられないことを口にした。
「おいおい。サラ。お前何言ってるんだ。犯人探しに一役買おうっていうのか」
「そうよ。私の魔術を使えばなんてことのないことよ」
こいつ楽しんでやがる。しかし。
「魔力の残量、気になるんじゃないのか」
「大丈夫よ。おそらく水晶を使うくらいで済むはずだから」
水晶使うのでどのくら魔力を消費するのかは分からないが。
「こういうのは警察にまかせておくのが一番いいと思うぞ。下手にちょっかいを出さないほうが」
「未解決事件を解決するなんて痛快極まりないじゃない。私決めたわ。絶対に犯人を捕まえてみせる!」
ふんふん、と鼻息荒く意気込んでいるサラ。やれやれ。
「で、どうやって犯人を見つけるんだ?」
「それは水晶を使って…」
サラは口をつぐんだ。どうした?
「水晶を使うとしても手がかりが必要なのよね…。でもさとるくんはどうやら記憶を失っているみたいだし。どうしたものかしら。犯行現場に行ってみようかしら」
「今からか?」
「今から」
幸い犯行現場の公園には俺たちの部屋から徒歩でもいける距離だったので、俺たちは歩きで向かうことにした。俺、サラ、さとるの三人で。サラが口を開いた。
「なにか手がかりが見つかるといいけど」
さとるの方を見てみた。さとるは幾分凛々しい表情をしている。本当に気丈なやつだ。
俺は密かに何も見つからないことを期待した。こういうことは警察任せにしておいたほうがいい。犯人は犯行現場に寄り付くと聞く。危険だ。
結果から言えば、犯行現場では目星いものは何も見つからなかった。俺は密かに安堵した。
家に帰ると、サラが口を開いた。
「仕方がないわね。少し占ってみようかしら」
「占い?」
「ええ、犯人の姿が見えてくることはないと思うけど、なにかわかるかもしれない」
そう言うと、サラは水晶玉を手に取ってなにかつぶやき始めた。ぼうっと水晶玉が光る。それをサラが目を細めて覗き込む。
「驚いた。優。犯人ね。あなたの身近な人って出てるわ」
「え……」
俺も驚いた。俺の身近な人?誰だ。サラが俺に尋ねる。
「なにか心あたりはないの?」
「うーん。わからん」
「頼りないわね。もっとよく考えて」
「うーん」
その時、俺の頭の片隅にちらりとある人物の名前が浮かんだ。
「まさかな……」
「なに?誰かわかったの?」
「いや。なんでもない。なんでもない」
俺はぶんぶんと頭を振った。まさかあいつに限って。
「なによ。思いついたことがあるなら教えなさいよ」
「だからなんでもないって。さ、今日はもう寝るぞ。明日もバイトあるんだから」
そう言って無理やり俺は自分の寝床に行った。
まさか、あいつに限って。俺は自分の悪い予想が当たらないことを願った。
翌日、バイト先に着く。
「おはようございます」
「おう、おはよう。鷲崎ちゃん」
社員の店一番の巨漢、藤井さんが俺を出迎えた。藤井さんが神妙な顔をして俺に近づいてきて、言った。
「鷲崎ちゃん。ちょっと困ったことがあったんや」
「困ったことって?」
「それが――」
藤井さんの次の言葉を聞いた俺は絶句した。
俺の悪い予想が当たってしまった。
その日は久しぶりのはや上がりだった。普段ならば少し気分が高揚した状態で帰るのだが、その日は複雑な感情を抱えたまま家路についた。
玄関のドアを開ける。
「ただいま」
あいかわらす返事はない。リビングのドアを開けると、三人して夕方放送のアニメを見ていた。
「ただいま」
「ん、おかえり。優。このアニメ見なさいよ。なかなか奥が深いわよ」
サラがめずらしく俺の方を向いてあいさつをよこした。
「優? なにかあったの? 顔色が悪いわよ」
そうか。ま、そうだろう。
「犯人、捕まったよ」
「うそ」
「ほんとだよ。お前の占い当たるんだな」
犯人の名前は、米倉蒼梧。
俺の同僚だった男だ。
「やれやれ、今日も今日とてバイト生活」
嘆息すると、俺はバイト先に向けて発進した。
あれから車を泣く泣く売却し、バイト先を決めて、引越しをすませた。今は単身者用のワケあり物件に肩身のせまい思いをしながら暮らしている。ワケあり物件だということで連帯保証人もいらなかったし、単身者用の物件に二人で住むことにも何も言われなかった。俺がフリーターだということにも。実はけっこう懸念していたことなのだが、大家さんは「どうぞどうぞ」といったように俺たちのことを受け入れてくれた。だがもうひとつの懸念は当たってしまった。俺たちのアパートにはもう一人の住人がいる。
近藤さんだ。いわゆる地縛霊というやつだ。
サラはすっかり近藤さんと仲良くなってしまった。今朝も近藤さんと仲良く二人して、
「いってらっしゃーい」
などと朗らかな声であいさつをしていた。
まったくサラのやつどういった神経をしているのか。まあ、あいつの気持ちもわからなくもない。あいつは独特の容姿をしているので日中外出することは滅多にない。なんといってもあの耳が問題だ。あの耳を隠すためには厚手のパーカーのフードをすっぽり被る必要がある。そんな怪しい格好で日中うろうろしていたら職務質問を受ける可能性大だ。そんなわけでサラはほとんど引きこもり状態だ。そんなサラの話相手になっているのが近藤さんなのだ。
近藤さんは成仏しないのかって? それもまた問題だ。
この近藤さんとかいう女性霊。どうもこの世に未練があるらしく、なかなか成仏しようとしない。
「私、どうしても成仏したくない」
「いいよいいよ。私の話相手になってくれてるんだから」
「そうよね。私もサラちゃんのこと大好き」
「マブダチってやつだね。私たち」
あほかこいつら、としきりに俺は思った。近藤さんにどういうわけで死んだのかと聞けば。
「それは話したくない」
の一点張りだ。
サラもこの点は気になっているらしく、さりげなく聞き出そうとしては失敗している。
そんなわけで俺の日常生活はいよいよ奇っ怪さを増し、ファンタジーとホラーをないまぜにしたような様だ。まったく厄介なことこの上ない。そう思いながら俺は原付の速度を速めた。
バイト先に到着した。俺のバイト先は複合商業施設の中にあるお好み焼き屋だ。そこで俺は厨房担当として働いている。なぜ俺がこのバイトを選んだのかといえば、俺の唯一ともいえる趣味が料理だったこと。そして時給がそこそこよかったことだ。
入りたての頃は苦労した。なんといってもプライドの高い俺のことだ。まず人に指図されるのが苦痛だった。時には自分より一回りも若い大学生に教えを請わなければならないこともあった。しかし、三ヶ月も働いていると、だんだんとこの職場にも慣れてきた。今日も朝からラストまでのシフトだ。
「おはようございまーす」
飲食店でのバイトのあいさつは決まって「おはようございます」だ。
「おはようございます。鷲崎さん」
「おう。米倉くん。おはよう。元気かい?」
俺があいさつを返した相手は米倉蒼梧くん。俺よりも長く働いている大学生だが、自然と俺の方が立場が上になってしまった。
「今日は社員なし。バイトだけで回さなきゃいけないのか」
「そうです。大変そうだなあ」
「大丈夫大丈夫。なんとかなるって」
とは言ったものの、その日はなにかが起こりそうな気がした。
ハプニングが起こったのは午前中だ。店のお好み焼きはいわゆる広島風だ。広島風お好み焼きを作るには大量のキャベツの千切りを使う。その仕込みをしている時に事件は起きた。なんと専用のキャベツの千切り機が故障してしまったのだ。残り十玉ものキャベツを残して。仕方なく俺がこの手でキャベツを千切りするはめになった。この店で一番切れる洋包丁を使いたかったが、あいにく見つからなかった。仕方なく別の包丁で代替することにした。なんとかその場を乗り切った。
夕方四時半を回ると一旦店じまいをする。そこで遅めの昼飯をとることになる。今日のまかないはカレーだ。毎度お馴染みのこのメニューを食べながら俺たちは談笑していた。
「鷲崎さん。聞きました?最近ここらへんで物騒な事件が相次いで起こっているそうですよ」
「へー。物騒な事件っていうと?」
「連続殺傷事件だそうです。その犠牲者の一人がなんと小学生に上がりたての子供なんですって」
「そいつ。死んだの?」
「ええ。殺られちゃったみたいです」
「なんてこった。死んだのはそいつ一人?」
「はい。包丁でぶすり、だそうです」
「犯人は?」
「まだ捕まってないそうです」
「場所は?」
「それが近所の公園なんですよ。こっわー」
「ふむ」
俺は頭の中でよからぬことを考えていた。いい感じの幽霊になってそうだな。
俺はサラとの会話を回想した。
「いい感じの幽霊?」
サラの発した言葉に俺は疑問を呈した。
「そう。いい感じの幽霊よ」
サラは一定の魔法を行使しなければならないので、魔力の補填をしなければならない。どういった方法で魔力を集めるのかといえば幽霊を成仏させること。
「だからいい感じで成仏しやすい幽霊を見つける必要があるの」
なぜかしきりに近藤さんがこくこくと頷いていた。
「近藤さんは?」
「だめだめ、貞子は私の友達だし、れっきとした地縛霊だもん。全然成仏できないわ」
近藤さん、またも頷く。貞子というのはサラが近藤さんにつけた渾名だ。この渾名に異論はないらしい。サラの傍若無人ぷりに何も文句を言わないなんて。近藤さん、あなたいい人だ。いや、いい幽霊だ。
「私もいろいろ試してみたんだけど、幽霊ってけっこう怨念強いわよ。なかなか成仏しないのが多いの」
考えてみればそうだ。この世に未練がなければさっさと成仏してそうだ。
「だから死んで間もないとか、とにかく成仏しやすそうな幽霊にターゲットを絞っていかないと。効率的に、ね」
「というかお前。一人でも幽霊成仏させたことあるのかよ」
「な、なに言っているの。あるわよ…一人だけ」
呆れた。なんのために深夜に徘徊しているんだこいつは。
「魔力の方は?大丈夫なのか。残量やばいんじゃないのか」
「ま、まだ大丈夫よ」
サラは明らかに焦っている。本当に大丈夫なのか。
そんなわけで俺はその小学生くんが「いい感じ」の幽霊になっていそうだと考えたのだ。
俺の頭の中もこの数ヶ月でだいぶまじでやばい方向に進んでいる気がする。でも、仕方がないだろう。だって異世界人と幽霊と共同生活を送っているんだから。
通常の人間の頭では理解しがたい世界を俺はいままさに生きているんだ。
幽霊もわりとはっきり見えるようになったし。
「鷲崎さん。なに深刻になって考えているんですか?」
「いや、なんでもないさ」
仕事を終えた俺は帰りに殺傷事件があったという公園に立ち寄ってみることにした。なるべく物騒な場所には寄りたくなかったんだが、興味本位だ。断じてサラのためではない。
「ここか」
ごくごくありふれた住宅街の中の小さな公園だった。こんな場所で殺人事件が起こったなんて俄かには信じがたい話だ。事件があってからしばらく経ったのだろうか。テレビやなんかで見かける事件現場にかかる黄色いテープのようなものは存在しなかった。
公園内をざっくり見渡す。するとブランコに座る小さな男の子の姿を発見した。
いたな。まず間違いなく幽霊だろう。こんな時間に子供がブランコに座っているはずがない。生きている子供だとしたら、とんだ不良息子だぞ。俺は彼に近づいた。
彼は寂しそうな目で虚空を見つめていた。俺が近づいても何の反応も示さない。声をかけてみることにした。
「やあ」
「――」
今度はかがんで目線を合わせて。
「やあ、君」
「――」
相変わらず何の反応も示さない、おかしいな。俺のことを警戒している? そんなふうには見えないが。相変わらす虚空を見つめている。
仕方ない。俺は帰ることにした。何の反応も示さないんじゃな。放っておこう。同情はするよ。アーメン。
アパートに帰り、部屋の鍵を開ける。
「ただいま」
リビングの方からテレビの音がする。お笑い番組でも見ているらしい。それにしても主人が帰ってきておかえりの一つもないのか。
リビングのドアを開けると、やはり二人してテレビを見ていた。
「ただいま」
「ん、おかえり」
サラはこちらの方を向かずに返事をした。相からず図々しいやつ。
「おかえりなさい…」
その点近藤さんは愛想がいい。ちゃんとこちらの方を向いてあいさつをくれるのだから。
しかし近藤さん。なぜあなたはこちらの方をじーっと見ているんですか。なんか怖いですよ。あなたのそういった眼差し。いまだに俺慣れません。
「近藤さん。なんですか?」
「いえ……どちらさまですか」
「いや、俺は鷲崎ですけど。なにを言っているんですか」
「そちらのかた――」
近藤さんはゆっくりと俺の方を指さした。いや、正確には俺の背後を指さしているのだろう。
まさか。俺は後ろを振り返った。
そこには先ほどの少年が佇んでいた。
俺とサラは腕組みをして少年のことを眺めていた。
「連れてきちゃったのね」
「そうみたいだ」
「憑いてるってことね」
「なにを恐ろしいことを。断じてそんなことはない」
「ふーん」
サラは腕を組んでなにやら思案顔だ。しかし幽霊を連れてきてしまうとは。不覚。こんなことが起こらないようにと普段は幽霊らしき存在とのコンタクトをとることを自分に禁じていたというのに。一種の気の迷いが俺に失態を演じさせたのだ。不覚。
「君名前は?」
サラが少年に尋ねた。
「……」
「名前はって聞いてるの」
少年はただ俯いたまま黙りこくっている。
「優。この子なにも反応を示さないわ」
それはわかってる。俺が公園で話しかけたときも同じ感じだった。
「困ったわね。これじゃ成仏させたくても何もできやしないじゃない」
俺たちが困っていると近藤さんがゆっくりと少年に近づいた。
「お名前教えてくれる?」
近藤さんが優しく少年に尋ねた。するとどうだろう。さっきまで何の反応も示さなかった少年がゆっくりと顔を上げたではないか。そして少年は口を開いた。
「さとる」
「さとるくんっていうの。上の名前は?」
「ささき」
「ささき、さとるくんっていうのね。わたしは近藤直子。こっちの二人はサラさんに優さん」
「サラ……すぐる……」
「そうよ。何も怖がらなくていいからね」
やった。なんとかコンタクトに成功したぞ。でかした近藤さん。
「貞子ナイス! さとるくん。私のことわかる?」
「わかる」
「じゃあ、こっちのおじさんの方は?」
「わかる。おじさんたち僕のこと見えるの?」
おじさん呼ばわりされたことは心外だが、ひとまずよしとしよう。だんだん応答がはっきりしてきたかんじだな。
「見えるとも。さとるくん、君は…」
俺は少年に質問しようとして口をつぐんだ。
君は殺されたのか?
そう尋ねるわけにもいかない。なら、どうするか。
俺が悩んでいるとサラが少年に話しかけた。
「さとるくん。君は死んだの。残念なことだけど。その自覚はある?」
少年は少し戸惑った様子であったが、静かに頷いた。
「やっぱり僕死んだんだね」
「そうよ」
「やっぱり。僕、色んな人に話しかけたんだ。でも皆僕のこと見えてないみたいで。公園で待っていても誰も迎えに来てくれないし。それに、おなかが空かないんだ」
サラも近藤さんも神妙な表情になった。幽霊になったのだから当然だろう。肉体を失えば、それを維持するための食事も必要ない。俺は疑問を口にした。
「家には。家には帰ってないのか?」
「一度だけ、帰ってみたことがあるんだ。でも、インターホンを押すこともできないし。僕、お母さんと二人暮らしなんだけど、お母さん出てこないし」
母子家庭か。息子を失ったショックで家に引きこもっている?いや、こういう場合は実家に帰っているんじゃないのか。サラが少年に尋ねる。
「ねえ、さとるくん。何か思い残していることはない?」
おいおい。単刀直入すぎるだろ。何が何でも魔力の補填を優先したいのか?
「思い残していること?」
少年はすこし思案して口を開いた。
「難しいけど。でも、僕自分がなんで死んだのか分からないんだ。それが知りたい。それからお母さんにも会いたい」
自分がなんで死んだのか分からない?そんなこともあるのか。
「ね、優。さとるくんは何で死んだの?」
サラが俺に尋ねた。言うべきか?事実をこの少年に。ショックを受けるんじゃないのか。
しかし、俺は意を決して少年に言った。
「君はおそらく殺された。犯人はまだ捕まっていない」
俺は事実をそのまま告げることにした。
「殺された……」
少年はやはりショックを受けたようだった。微かに心が痛む。
「殺された?優、それ本当なの?」
サラが驚いた様子で俺に尋ねる。
「ああ。本当だ」
「殺されたなんてことそのまま言っちゃって、さとるくんショック受けてるじゃない」
「だからって嘘をついても仕方がないだろう」
近藤さんが心配そうな表情でさとるくんに尋ねる。
「さとるくん。大丈夫?」
少年は静かに頷くと、
「大丈夫」
と言った。随分気丈な少年だ。俺は素直に感心した。
しばらく少年は黙っていたが、意を決したような表情になって少年は俺に言った。
「犯人はまだ捕まってないんだね。なら僕、その犯人を捕まえたい」
なんだって。それは無茶だろう。警察もまだ犯人を逮捕することができていないのに。まして幽霊のさとるが犯人を捕まえるなんて。
「いいわね。面白そう」
サラが信じられないことを口にした。
「おいおい。サラ。お前何言ってるんだ。犯人探しに一役買おうっていうのか」
「そうよ。私の魔術を使えばなんてことのないことよ」
こいつ楽しんでやがる。しかし。
「魔力の残量、気になるんじゃないのか」
「大丈夫よ。おそらく水晶を使うくらいで済むはずだから」
水晶使うのでどのくら魔力を消費するのかは分からないが。
「こういうのは警察にまかせておくのが一番いいと思うぞ。下手にちょっかいを出さないほうが」
「未解決事件を解決するなんて痛快極まりないじゃない。私決めたわ。絶対に犯人を捕まえてみせる!」
ふんふん、と鼻息荒く意気込んでいるサラ。やれやれ。
「で、どうやって犯人を見つけるんだ?」
「それは水晶を使って…」
サラは口をつぐんだ。どうした?
「水晶を使うとしても手がかりが必要なのよね…。でもさとるくんはどうやら記憶を失っているみたいだし。どうしたものかしら。犯行現場に行ってみようかしら」
「今からか?」
「今から」
幸い犯行現場の公園には俺たちの部屋から徒歩でもいける距離だったので、俺たちは歩きで向かうことにした。俺、サラ、さとるの三人で。サラが口を開いた。
「なにか手がかりが見つかるといいけど」
さとるの方を見てみた。さとるは幾分凛々しい表情をしている。本当に気丈なやつだ。
俺は密かに何も見つからないことを期待した。こういうことは警察任せにしておいたほうがいい。犯人は犯行現場に寄り付くと聞く。危険だ。
結果から言えば、犯行現場では目星いものは何も見つからなかった。俺は密かに安堵した。
家に帰ると、サラが口を開いた。
「仕方がないわね。少し占ってみようかしら」
「占い?」
「ええ、犯人の姿が見えてくることはないと思うけど、なにかわかるかもしれない」
そう言うと、サラは水晶玉を手に取ってなにかつぶやき始めた。ぼうっと水晶玉が光る。それをサラが目を細めて覗き込む。
「驚いた。優。犯人ね。あなたの身近な人って出てるわ」
「え……」
俺も驚いた。俺の身近な人?誰だ。サラが俺に尋ねる。
「なにか心あたりはないの?」
「うーん。わからん」
「頼りないわね。もっとよく考えて」
「うーん」
その時、俺の頭の片隅にちらりとある人物の名前が浮かんだ。
「まさかな……」
「なに?誰かわかったの?」
「いや。なんでもない。なんでもない」
俺はぶんぶんと頭を振った。まさかあいつに限って。
「なによ。思いついたことがあるなら教えなさいよ」
「だからなんでもないって。さ、今日はもう寝るぞ。明日もバイトあるんだから」
そう言って無理やり俺は自分の寝床に行った。
まさか、あいつに限って。俺は自分の悪い予想が当たらないことを願った。
翌日、バイト先に着く。
「おはようございます」
「おう、おはよう。鷲崎ちゃん」
社員の店一番の巨漢、藤井さんが俺を出迎えた。藤井さんが神妙な顔をして俺に近づいてきて、言った。
「鷲崎ちゃん。ちょっと困ったことがあったんや」
「困ったことって?」
「それが――」
藤井さんの次の言葉を聞いた俺は絶句した。
俺の悪い予想が当たってしまった。
その日は久しぶりのはや上がりだった。普段ならば少し気分が高揚した状態で帰るのだが、その日は複雑な感情を抱えたまま家路についた。
玄関のドアを開ける。
「ただいま」
あいかわらす返事はない。リビングのドアを開けると、三人して夕方放送のアニメを見ていた。
「ただいま」
「ん、おかえり。優。このアニメ見なさいよ。なかなか奥が深いわよ」
サラがめずらしく俺の方を向いてあいさつをよこした。
「優? なにかあったの? 顔色が悪いわよ」
そうか。ま、そうだろう。
「犯人、捕まったよ」
「うそ」
「ほんとだよ。お前の占い当たるんだな」
犯人の名前は、米倉蒼梧。
俺の同僚だった男だ。
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