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第二章 国渡りへ
第四十一話 人気者
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「エレティナ‥‥聞きたいことがあるんだ」
「何?言ってみて」
お土産を持ってエレティナの店にやってきた私達だったが、来た理由は御礼だけの為じゃない‥‥。
私は口周りをミルクで濡らしているコハクに、チラっと視線を移してからエレティナに私の心配を打ち明けた。
「私の中のもう1つの魔力‥‥私と繋がっているコハクにも、何か影響が出てしまうのだろうか‥‥。
‥‥今朝もロギがっ‥闇精がコハクの体に憑依していたんだ。
私が知るのはその1回だけ何だけど、ルークによると、前にも一度憑依した事があるらしいんだ‥‥。
エレティナ、何か分かるか?」
そうだ。
闇魔力。
人間の私でさえ、この魔力を使うと酷い疲労感や目眩、頭痛など体にかなり負担がかかっている。
まぁ、しばらく安静にしていれば治るんだけど‥‥他にも何か影響があるんじゃないかと心配になるし、体が小さいコハクはもっと負担がかかるんじゃないか?
それがずっと、頭に引っかかっていた。
「ん~‥‥。なるほどね‥‥‥‥‥‥
コハクちゃん、ちょっとごめんね」
エレティナは少し考え込んだ後、コハクを抱き抱えて魔具に手を重ねた。
手元は淡く光輝き、それに反応して魔結晶も輝きだす。
これは、何をしているのか‥‥。
ルークも、ポルクも分かっていなさそうな表情で覗き込む。
「師匠‥‥これは何してるんですか?」
「ん~っとね‥‥ちゃんと説明すると複雑なんだけど。簡単に言うとね、今この魔具を通して、コハクちゃんの魔力性質を見ているのよ。」
「魔具でそんな事が分かるのか?!」
「そうよ。‥‥でも誰でも出来る訳じゃなくて、こう‥‥何だろ‥‥手に伝わってくる魔力の波の感覚で感じ取るというか‥‥
まぁ慣れよ!慣れ!」
エレティナの言うことは、何となく分かったような、分からないような‥‥。
とりあえず、職人技何だなって事は理解した。
すると、それを見つめていたルークがボソッと呟いた。
「流石、サボり症でも職人だな‥‥」
ルーク‥‥それはさすがに失礼じゃ‥‥
まぁ、私も少しそう思っていたけど。
「ちょっとルーちゃん!誰がサボり症よっ!
‥‥と‥‥そんな事を言っている間に大体分かったわ」
エレティナはコハクを元の場所に戻し、今度は私の右手を掴んだ。
そして、コハクと同じ事をして私の魔力も調べてもらい、エレティナは笑みを浮かべる。
「はい。一応今はまだ大丈夫ね」
「ほ、ホントか?!」
「えぇ、シロちゃんの魔力性質って元々ちょっと他の人と変わってるのよ。
人間なのに、ドラゴンのマナを取り込んだりしたでしょ?
それだと、普通拒絶反応とか起こしてもおかしくないんだけど、ちょっと疲れた程度だったし、今回のこの闇魔力も力は異常に強いけどシロちゃんはそれさえも取り込む性質がある。
それは、シロちゃんの魔力を共有してるコハクちゃんにも適用されてて、多少の干渉は全く問題ないわね!
まっ、これからその干渉度がどれだけ上がってくるかによって変わると思うけど‥‥まだコハクちゃんはドラゴンの子供だから、それに対応出来る体に進化する事も可能だろうし、今はそこまで心配しなくても大丈夫よ!安心して!」
私の魔力性質が、取り込む性質?
た、確かに‥‥あの時母ドラゴンからマナを貰った。
そのおかげでコハクに魔力供給する事が出来るようになった。
何で私はそんな力を‥‥?
父さんの‥‥はありえないな。
父さんは魔力も少ない普通の人間だった。
なら
母さんの血筋だから?
いや、まずそもそも、母さんは普通の人間だったんだろうか‥‥。
だって、そんな伝説になるような魔女が今も生きてるって事だよな?
だから私はここに生まれてきたわけだし‥‥。
ロギに聞いても全然教えてくれない。
何か知られたくないことでもあるのか?
このまま、ロギを封印するだけで終わりなのか?
もぅ訳が分からない‥‥、私一人考えても埒が明かないし、情報も少なすぎる‥‥。
私は‥‥問題まみれだ‥‥。
深刻な表情で黙り込んでしまったようで、ルークが私の肩をポンと叩いた。
「シロナ、大丈夫か」
それで我に返ると、皆が私の顔を見て心配そうにしている。
「あ‥‥ごめん。考え事してた」
ダメだな‥‥‥‥。
私の悪い癖だ。
私とルークは席を立ち、店のドアノブに手をかけた。
もうそろそろ、ナディアの所にも行かないと‥‥。
結構ゆっくりしてしまった。
「エレティナ、ごめんな。いろいろ迷惑かけて‥‥」
「いいのよこれくらい。それに、ここはゴメンじゃないでしょ?私、別にシロちゃんが悪いなんて全く思ってないんだから」
私は悪くない‥‥か‥‥。
どっかの誰かさんにも、似たような事言われた気がする。
「僕達はいつでもシロナ達の味方だからね!」
味方。
その言葉が、とても温かくて、嬉しくて‥‥。
私はニコッと微笑み言った。
「うん‥‥‥‥ありがとう‥‥‥‥」
そして扉を開けて、外に出る。
私達はそのまま養護施設へと向かって歩く。
エレティナとポルクは、私達の姿が見えなくなるまで見送ってくれた。
人間である私の応援をしたが為に、何か魔軍から酷いことをされているかもと思っていたけど、あの姿を見る限りそれは無さそうで安心した。
胸をなでおろし歩いていると、突然隣を歩いてるルークが頭を撫でてくる。
「な、何だ?」
「いや‥‥。元気になったみたいで良かったと思って。‥‥朝ロギと喧嘩してから元気無さそうだったから」
たまにルークはこうして頭を撫でてくる。
最初は冷やかしだと思って嫌がっていた私だったが、最近じゃ‥‥少し気持ちいいと思ってしまう‥‥。
誰かに頭を撫でられるのは、父さんを思い出して嫌だったけど‥‥。
今は逆に‥‥‥‥。
だから私は、頭の上にあるルークの手を振り払わなかった。
「あの時もちょっと考え事してただけだから、大丈夫。‥‥それより、ルークのその荷物は何だ?また納品?」
ルークは右手に布袋を肩にかけて持っている。
私は、その袋を指さし尋ねた。
「これか?‥‥納品では無いが‥‥まぁ、着いてからのお楽しみだ」
「??」
よく分からないが、多分施設の誰かの物なのかな?
まぁいい、それも着いたら分かる事だ。
そして施設に着き、保母さんに中へ案内されると中庭で子供のはしゃぎ声が聞こえてきた。
いつも思うけど、ここは賑やかだな────???
ん??
中庭の入り口を素通りしようとしたが、チラッと視界に入ったモノに驚き、ピタッと止まった。
子供達が中庭で鬼ごっこをしているのだが、その先頭を走っているのは明らか子供では無い。
デカすぎる!
しかも、もの凄く見覚えが‥‥‥‥。
後ろ姿しか見えなかったが、一瞬こちらを振り返った。そこで気づき思わず声を掛ける。
「ジェ、ジェイト?!」
「お?おーー!ルークにシロナじゃねぇか~!なーにやってんの??」
やはり、その人物はジェイトだった。
私の声に反応したジェイトは、追いかけっこ止め私達に手を振る。
突然止まったので追いかけていた子供達はジェイトの足に突撃していく。
「ジェイ兄!いきなり止まんないでよっ!」
「お兄ちゃん、あの人知り合い?」
「って、アレってまさか人間じゃ‥‥?!」
『人間』というワードで、一斉に視線を私に集める子供達。
そ、そうだった‥‥ここの子供達は人間に対して結構悪い印象が‥‥。
ナディアもそれで虐められていたし‥‥
ちょっとヤバいんじゃ‥‥?!
そう思い、すぐその場から離れようとしたがもう遅く。
ジェイトの周りにいた子供達が、一斉に私の元に群がってきた!
私はもう、身動きの取れない状況に陥ってしまっている。
まずい‥‥リンチにされるっ!!!
「ちょっ、あんたら離れっ────」
だが、これもまた、私の想像を覆す。
「お姉さんが精霊術師?」
「騎士団長に勝ったって本当なの?」
「お姉さん、細いのに凄いね!」
「お姉さんは純血の人間なの?それとも半魔?」
「ねぇねぇ!この武器で戦ったの?」
「うわー!ドラゴンの子供だ!かわい~!」
「?????」
な‥‥
なんて事だ‥‥‥‥。
腕やら服の袖やらを引っ張られ、取り合い状態‥‥。
まさか、こんなにあの戦いの影響があったなんて‥‥
思いもよらなかった。
私が困っている様を、隣でルークは笑っていた。
「何?言ってみて」
お土産を持ってエレティナの店にやってきた私達だったが、来た理由は御礼だけの為じゃない‥‥。
私は口周りをミルクで濡らしているコハクに、チラっと視線を移してからエレティナに私の心配を打ち明けた。
「私の中のもう1つの魔力‥‥私と繋がっているコハクにも、何か影響が出てしまうのだろうか‥‥。
‥‥今朝もロギがっ‥闇精がコハクの体に憑依していたんだ。
私が知るのはその1回だけ何だけど、ルークによると、前にも一度憑依した事があるらしいんだ‥‥。
エレティナ、何か分かるか?」
そうだ。
闇魔力。
人間の私でさえ、この魔力を使うと酷い疲労感や目眩、頭痛など体にかなり負担がかかっている。
まぁ、しばらく安静にしていれば治るんだけど‥‥他にも何か影響があるんじゃないかと心配になるし、体が小さいコハクはもっと負担がかかるんじゃないか?
それがずっと、頭に引っかかっていた。
「ん~‥‥。なるほどね‥‥‥‥‥‥
コハクちゃん、ちょっとごめんね」
エレティナは少し考え込んだ後、コハクを抱き抱えて魔具に手を重ねた。
手元は淡く光輝き、それに反応して魔結晶も輝きだす。
これは、何をしているのか‥‥。
ルークも、ポルクも分かっていなさそうな表情で覗き込む。
「師匠‥‥これは何してるんですか?」
「ん~っとね‥‥ちゃんと説明すると複雑なんだけど。簡単に言うとね、今この魔具を通して、コハクちゃんの魔力性質を見ているのよ。」
「魔具でそんな事が分かるのか?!」
「そうよ。‥‥でも誰でも出来る訳じゃなくて、こう‥‥何だろ‥‥手に伝わってくる魔力の波の感覚で感じ取るというか‥‥
まぁ慣れよ!慣れ!」
エレティナの言うことは、何となく分かったような、分からないような‥‥。
とりあえず、職人技何だなって事は理解した。
すると、それを見つめていたルークがボソッと呟いた。
「流石、サボり症でも職人だな‥‥」
ルーク‥‥それはさすがに失礼じゃ‥‥
まぁ、私も少しそう思っていたけど。
「ちょっとルーちゃん!誰がサボり症よっ!
‥‥と‥‥そんな事を言っている間に大体分かったわ」
エレティナはコハクを元の場所に戻し、今度は私の右手を掴んだ。
そして、コハクと同じ事をして私の魔力も調べてもらい、エレティナは笑みを浮かべる。
「はい。一応今はまだ大丈夫ね」
「ほ、ホントか?!」
「えぇ、シロちゃんの魔力性質って元々ちょっと他の人と変わってるのよ。
人間なのに、ドラゴンのマナを取り込んだりしたでしょ?
それだと、普通拒絶反応とか起こしてもおかしくないんだけど、ちょっと疲れた程度だったし、今回のこの闇魔力も力は異常に強いけどシロちゃんはそれさえも取り込む性質がある。
それは、シロちゃんの魔力を共有してるコハクちゃんにも適用されてて、多少の干渉は全く問題ないわね!
まっ、これからその干渉度がどれだけ上がってくるかによって変わると思うけど‥‥まだコハクちゃんはドラゴンの子供だから、それに対応出来る体に進化する事も可能だろうし、今はそこまで心配しなくても大丈夫よ!安心して!」
私の魔力性質が、取り込む性質?
た、確かに‥‥あの時母ドラゴンからマナを貰った。
そのおかげでコハクに魔力供給する事が出来るようになった。
何で私はそんな力を‥‥?
父さんの‥‥はありえないな。
父さんは魔力も少ない普通の人間だった。
なら
母さんの血筋だから?
いや、まずそもそも、母さんは普通の人間だったんだろうか‥‥。
だって、そんな伝説になるような魔女が今も生きてるって事だよな?
だから私はここに生まれてきたわけだし‥‥。
ロギに聞いても全然教えてくれない。
何か知られたくないことでもあるのか?
このまま、ロギを封印するだけで終わりなのか?
もぅ訳が分からない‥‥、私一人考えても埒が明かないし、情報も少なすぎる‥‥。
私は‥‥問題まみれだ‥‥。
深刻な表情で黙り込んでしまったようで、ルークが私の肩をポンと叩いた。
「シロナ、大丈夫か」
それで我に返ると、皆が私の顔を見て心配そうにしている。
「あ‥‥ごめん。考え事してた」
ダメだな‥‥‥‥。
私の悪い癖だ。
私とルークは席を立ち、店のドアノブに手をかけた。
もうそろそろ、ナディアの所にも行かないと‥‥。
結構ゆっくりしてしまった。
「エレティナ、ごめんな。いろいろ迷惑かけて‥‥」
「いいのよこれくらい。それに、ここはゴメンじゃないでしょ?私、別にシロちゃんが悪いなんて全く思ってないんだから」
私は悪くない‥‥か‥‥。
どっかの誰かさんにも、似たような事言われた気がする。
「僕達はいつでもシロナ達の味方だからね!」
味方。
その言葉が、とても温かくて、嬉しくて‥‥。
私はニコッと微笑み言った。
「うん‥‥‥‥ありがとう‥‥‥‥」
そして扉を開けて、外に出る。
私達はそのまま養護施設へと向かって歩く。
エレティナとポルクは、私達の姿が見えなくなるまで見送ってくれた。
人間である私の応援をしたが為に、何か魔軍から酷いことをされているかもと思っていたけど、あの姿を見る限りそれは無さそうで安心した。
胸をなでおろし歩いていると、突然隣を歩いてるルークが頭を撫でてくる。
「な、何だ?」
「いや‥‥。元気になったみたいで良かったと思って。‥‥朝ロギと喧嘩してから元気無さそうだったから」
たまにルークはこうして頭を撫でてくる。
最初は冷やかしだと思って嫌がっていた私だったが、最近じゃ‥‥少し気持ちいいと思ってしまう‥‥。
誰かに頭を撫でられるのは、父さんを思い出して嫌だったけど‥‥。
今は逆に‥‥‥‥。
だから私は、頭の上にあるルークの手を振り払わなかった。
「あの時もちょっと考え事してただけだから、大丈夫。‥‥それより、ルークのその荷物は何だ?また納品?」
ルークは右手に布袋を肩にかけて持っている。
私は、その袋を指さし尋ねた。
「これか?‥‥納品では無いが‥‥まぁ、着いてからのお楽しみだ」
「??」
よく分からないが、多分施設の誰かの物なのかな?
まぁいい、それも着いたら分かる事だ。
そして施設に着き、保母さんに中へ案内されると中庭で子供のはしゃぎ声が聞こえてきた。
いつも思うけど、ここは賑やかだな────???
ん??
中庭の入り口を素通りしようとしたが、チラッと視界に入ったモノに驚き、ピタッと止まった。
子供達が中庭で鬼ごっこをしているのだが、その先頭を走っているのは明らか子供では無い。
デカすぎる!
しかも、もの凄く見覚えが‥‥‥‥。
後ろ姿しか見えなかったが、一瞬こちらを振り返った。そこで気づき思わず声を掛ける。
「ジェ、ジェイト?!」
「お?おーー!ルークにシロナじゃねぇか~!なーにやってんの??」
やはり、その人物はジェイトだった。
私の声に反応したジェイトは、追いかけっこ止め私達に手を振る。
突然止まったので追いかけていた子供達はジェイトの足に突撃していく。
「ジェイ兄!いきなり止まんないでよっ!」
「お兄ちゃん、あの人知り合い?」
「って、アレってまさか人間じゃ‥‥?!」
『人間』というワードで、一斉に視線を私に集める子供達。
そ、そうだった‥‥ここの子供達は人間に対して結構悪い印象が‥‥。
ナディアもそれで虐められていたし‥‥
ちょっとヤバいんじゃ‥‥?!
そう思い、すぐその場から離れようとしたがもう遅く。
ジェイトの周りにいた子供達が、一斉に私の元に群がってきた!
私はもう、身動きの取れない状況に陥ってしまっている。
まずい‥‥リンチにされるっ!!!
「ちょっ、あんたら離れっ────」
だが、これもまた、私の想像を覆す。
「お姉さんが精霊術師?」
「騎士団長に勝ったって本当なの?」
「お姉さん、細いのに凄いね!」
「お姉さんは純血の人間なの?それとも半魔?」
「ねぇねぇ!この武器で戦ったの?」
「うわー!ドラゴンの子供だ!かわい~!」
「?????」
な‥‥
なんて事だ‥‥‥‥。
腕やら服の袖やらを引っ張られ、取り合い状態‥‥。
まさか、こんなにあの戦いの影響があったなんて‥‥
思いもよらなかった。
私が困っている様を、隣でルークは笑っていた。
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