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第一章 白黒から虹色に
第三十四話 闇精霊術師
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「コハク‥‥?!」
何で‥‥?
何で‥‥コハクが‥‥ここに?
まさか‥‥
ルークが言いたかったのって、
この事‥‥だったのか‥‥?
「コハクっ!!!」
ぐったりとしているコハクに呼び掛けるが、返事をしない。
でも肺は膨らんでいるのが見えたので、少し安心したが‥‥。
私は目を疑った。
コハクに無くてはならない物。
それが無ければ生きていけない物。
コハクの命とも言える魔具が、そこに無かったのだ。
「あんたっ!コハクのっ、コハクの魔具をどこへやった?!
それが無かったらコハクは‥‥っ」
「生きていけない‥‥だったか?」
スカーレットは私の言葉に被さるように言ってきた。
しかも、事前にその事を知っている口調で。
「何故それを?って顔をしているな。‥‥君が眠っている間に、モノン等から色々聞かせてもらったんだよ。勿論、このドラゴンの事もな‥‥。
随分大事にしているそうじゃないか‥‥?
果たして、それは本物か‥‥‥‥
それとも‥‥‥‥
演技なのかな‥‥?」
コハクが入っている鳥籠が突然、スカーレットに蹴り飛ばされた。
ガラガラガラっ!
と、凄い音を立てて地面を転がっていく。
そんな光景を見てしまった私が‥‥
冷静でいられるはずなど‥‥
無かった。
「お前‥‥っ!お前ぇぇぇぇぇぇええええ!!!」
シロナからユラユラと黒い魔力が漂い始める。
これでは、また自我を失い暴走してしまう可能性があったが‥‥。
スカーレットの狙いは、まさにソレだった。
しかし、ロギアンはそれを阻止した。
「《シロナ!落ち着きやがれ。
今のテメェじゃ、俺の魔力に意識を引っ張られてぶっ飛んじまうぞ!また暴走してもいいのか?!》」
「でも‥‥っ!でも‥‥コハクが!!」
「《慌てんじゃねぇよ、みっともねぇ。それでもテメェはレイナの娘か?しっかりしやがれ‥‥何も手が無ぇって訳じゃねぇよ。》」
「本当か?!」
「《嘘はつかねぇ。‥‥まぁ、まずは身をもって体験してみろよ》」
?
「た、体験?‥‥一体何を?」
「《本当の‥‥闇精霊術の使い方ってやつをだ》」
瞬間、意識がガラッと変わり、私はいつの間にか‥‥‥‥ロギのいた精神世界へ‥‥。
「人間、何をブツブツ言っている。そちらから来ぬのなら、このドラゴンを殺してしまおうか!!!」
彼女はまた炎攻撃魔法を繰り出し、その攻撃対象をコハクへ向けた。
無数の火の玉が一気にコハクの方角へ。
攻撃がやみ終わる頃には、辺りは煙に包まれた。
「どうだ人間‥‥。少しは本気を出す気に‥‥‥‥?」
うしろを振り返りシロナがいたハズの場所を見るが、彼女の姿がどこにも無い。
さっきまでそこに居たはず‥‥。
観客の誰もがそう思った。
だが、バチバチという音に気が付き、コハクがいる方を見直す。
煙に隠れているが、電気火花が見える。
それと、黒い魔力‥‥いや、影が具現化と言った方がいいか‥‥。
影がコハクの周りを囲い守っていた。
その中心にいる人物。
それこそ、さっきまでそこに居たはずのシロナだった。
煙が完全に晴れ、その姿が露わになる。
その姿は先程まで逃げ腰だった人間ではなく、影を纏い、左目に金色の瞳を宿した紛れもない‥‥
闇精霊術師の姿だった。
「小娘の餓鬼‥‥悪ぃがこの闘い。俺達の圧勝とさせてもらうぜ。こっからが本番だゴラァ」
スカーレットは少し驚いた表情をした。
無理もない。
先程までの人間の口調がガラリと変わっているのだから。
しかし、スカーレットは直ぐに察し、笑みを浮かべた。
「ほぉ、本当は暴走状態の人間と手合わせをしたかったのだが‥‥まさか、闇精が自らお出ましとは‥‥‥‥
お手並み拝見と行こうか‥‥伝説の精霊よ!」
スカーレットは走り出し、シロナに襲いかかる。
それをロギは華麗に避けてみせる。
影を使って。
そして、背後に回ったロギは思いっきり斬り掛る。‥‥が、
流石は騎士団長。
軽い身のこなしでその剣筋を避けてみせる。
しかし、ロギも負けてはいない。
人間とは思えない程の反射神経で相手を翻弄する。
その身体には電気が纏っていた。
「なるほど、考えたな闇精。電気魔法で身体能力を倍増させたか‥‥だが、それもいつまで続くかな?」
シロナの体はまだ鍛えが足らず、何かで力を補う必要があった。
電気魔法により、身体能力亢進状態にしているが、それは長続きしない。
体にダメージが与えられてしまうからだ。
でも、これをしないと、この重い直剣を自由に振る事が出来ない。
だから、これはもう。
時間との勝負。
「くっそが、シロナ!テメェもっと飯食って力つけやがれ!全然剣が振れねぇだろ!!」
「《う、うるさいな!!ずっと閉じ込められてたんだから、仕方ないだろ?!》」
「シロナ、言っとくが俺と交代する時間も、そう長くは持たねぇ!テメェの身体に負担が掛かりすぎる。
だからテメェはこの後どーすりゃいいのか、ちゃんと作戦立てとけ!!」
「《か、考えとけって?!そんな無茶な!》」
この後交代したとして、あの騎士団長を倒す方法なんて‥‥。
何をどう考えても浮かんでこない。
どうしよう‥‥。
ロギは影魔法でスカーレットを牽制しながら答えた。
「テメェの無茶は専売特許だろっ!!」
「《うぅ‥‥。分かった》」
「物わかりが良くていい子だ!!!」
ロギのやつ、完全に私を馬鹿にしてる。
見てろよ!絶対なんか考えてやるからな!
ロギの闘い方は独特だった。
剣を振るいながら、影も同時に操り、剣でせめ、影で守る。
そして、その影で機動力も補い、変わった太刀筋をスカーレットへ叩き込む。
「へぇ。流石は伝説と言ったところか‥‥その様な剣捌きは見たことがないな」
「だろうよ、俺の前契約者の流儀だからなっ!!」
ロギの影がスカーレットを襲う。
すると、スカーレットは影魔法をスルスルと避けてみせ、一気に間合いを詰める。
「ならば、もっとその力。私にぶつけて見せろ!」
スカーレットの直剣に炎が纏う。
この技は、前にジェイトが言っていた技法。
魔法攻撃と物理攻撃を併せたこの技は、かなり攻撃力が上がる。
ロギも負けじと、直剣に影を纏わせ迎え撃つ。
激しい戦闘だった。
剣風が観客席にまで届くほど。
その様子を魔物達は
「本当にあれは人間か?」
「化け物同士の戦いだ」
など、口々に呟く。
ルークは今にも飛び出してしまいそうな身体を必死に抑えていた。
ジェイト達も不安な眼差しで戦闘を見守る。
が、‥‥思ったより早く。
そのタイムリミットが来てしまった。
ロギの振った攻撃がスカーレットを剣を上に弾き、スカーレットの懐がガラ空きになった。
「クッ‥‥!」
今だ!
と、言わんばかりにロギはそこへ畳み掛ける。
「残念だったな!これでシめぇだ餓鬼‥‥!ぐっ‥‥?!?!」
あと少しだった。
だが、その剣は届かなかった。
継続での電気魔法。
それに加え、ロギの憑依に、闇魔法の使用。
体がそれらに耐えきれなくなり、動かなくなったのだ。
その瞬間を、スカーレットは見逃さなかった。
スカーレットは剣を高く上げ、思いっきり振り下ろす。
ロギも一応反射的に剣で防いだが‥‥。
その剣はパキンっと音を立て折れ。
クルクルと回りながら、地面に突き刺さる。
そして、スカーレットの振り下ろした剣は、シロナの左肩を斬り裂いた。
何で‥‥?
何で‥‥コハクが‥‥ここに?
まさか‥‥
ルークが言いたかったのって、
この事‥‥だったのか‥‥?
「コハクっ!!!」
ぐったりとしているコハクに呼び掛けるが、返事をしない。
でも肺は膨らんでいるのが見えたので、少し安心したが‥‥。
私は目を疑った。
コハクに無くてはならない物。
それが無ければ生きていけない物。
コハクの命とも言える魔具が、そこに無かったのだ。
「あんたっ!コハクのっ、コハクの魔具をどこへやった?!
それが無かったらコハクは‥‥っ」
「生きていけない‥‥だったか?」
スカーレットは私の言葉に被さるように言ってきた。
しかも、事前にその事を知っている口調で。
「何故それを?って顔をしているな。‥‥君が眠っている間に、モノン等から色々聞かせてもらったんだよ。勿論、このドラゴンの事もな‥‥。
随分大事にしているそうじゃないか‥‥?
果たして、それは本物か‥‥‥‥
それとも‥‥‥‥
演技なのかな‥‥?」
コハクが入っている鳥籠が突然、スカーレットに蹴り飛ばされた。
ガラガラガラっ!
と、凄い音を立てて地面を転がっていく。
そんな光景を見てしまった私が‥‥
冷静でいられるはずなど‥‥
無かった。
「お前‥‥っ!お前ぇぇぇぇぇぇええええ!!!」
シロナからユラユラと黒い魔力が漂い始める。
これでは、また自我を失い暴走してしまう可能性があったが‥‥。
スカーレットの狙いは、まさにソレだった。
しかし、ロギアンはそれを阻止した。
「《シロナ!落ち着きやがれ。
今のテメェじゃ、俺の魔力に意識を引っ張られてぶっ飛んじまうぞ!また暴走してもいいのか?!》」
「でも‥‥っ!でも‥‥コハクが!!」
「《慌てんじゃねぇよ、みっともねぇ。それでもテメェはレイナの娘か?しっかりしやがれ‥‥何も手が無ぇって訳じゃねぇよ。》」
「本当か?!」
「《嘘はつかねぇ。‥‥まぁ、まずは身をもって体験してみろよ》」
?
「た、体験?‥‥一体何を?」
「《本当の‥‥闇精霊術の使い方ってやつをだ》」
瞬間、意識がガラッと変わり、私はいつの間にか‥‥‥‥ロギのいた精神世界へ‥‥。
「人間、何をブツブツ言っている。そちらから来ぬのなら、このドラゴンを殺してしまおうか!!!」
彼女はまた炎攻撃魔法を繰り出し、その攻撃対象をコハクへ向けた。
無数の火の玉が一気にコハクの方角へ。
攻撃がやみ終わる頃には、辺りは煙に包まれた。
「どうだ人間‥‥。少しは本気を出す気に‥‥‥‥?」
うしろを振り返りシロナがいたハズの場所を見るが、彼女の姿がどこにも無い。
さっきまでそこに居たはず‥‥。
観客の誰もがそう思った。
だが、バチバチという音に気が付き、コハクがいる方を見直す。
煙に隠れているが、電気火花が見える。
それと、黒い魔力‥‥いや、影が具現化と言った方がいいか‥‥。
影がコハクの周りを囲い守っていた。
その中心にいる人物。
それこそ、さっきまでそこに居たはずのシロナだった。
煙が完全に晴れ、その姿が露わになる。
その姿は先程まで逃げ腰だった人間ではなく、影を纏い、左目に金色の瞳を宿した紛れもない‥‥
闇精霊術師の姿だった。
「小娘の餓鬼‥‥悪ぃがこの闘い。俺達の圧勝とさせてもらうぜ。こっからが本番だゴラァ」
スカーレットは少し驚いた表情をした。
無理もない。
先程までの人間の口調がガラリと変わっているのだから。
しかし、スカーレットは直ぐに察し、笑みを浮かべた。
「ほぉ、本当は暴走状態の人間と手合わせをしたかったのだが‥‥まさか、闇精が自らお出ましとは‥‥‥‥
お手並み拝見と行こうか‥‥伝説の精霊よ!」
スカーレットは走り出し、シロナに襲いかかる。
それをロギは華麗に避けてみせる。
影を使って。
そして、背後に回ったロギは思いっきり斬り掛る。‥‥が、
流石は騎士団長。
軽い身のこなしでその剣筋を避けてみせる。
しかし、ロギも負けてはいない。
人間とは思えない程の反射神経で相手を翻弄する。
その身体には電気が纏っていた。
「なるほど、考えたな闇精。電気魔法で身体能力を倍増させたか‥‥だが、それもいつまで続くかな?」
シロナの体はまだ鍛えが足らず、何かで力を補う必要があった。
電気魔法により、身体能力亢進状態にしているが、それは長続きしない。
体にダメージが与えられてしまうからだ。
でも、これをしないと、この重い直剣を自由に振る事が出来ない。
だから、これはもう。
時間との勝負。
「くっそが、シロナ!テメェもっと飯食って力つけやがれ!全然剣が振れねぇだろ!!」
「《う、うるさいな!!ずっと閉じ込められてたんだから、仕方ないだろ?!》」
「シロナ、言っとくが俺と交代する時間も、そう長くは持たねぇ!テメェの身体に負担が掛かりすぎる。
だからテメェはこの後どーすりゃいいのか、ちゃんと作戦立てとけ!!」
「《か、考えとけって?!そんな無茶な!》」
この後交代したとして、あの騎士団長を倒す方法なんて‥‥。
何をどう考えても浮かんでこない。
どうしよう‥‥。
ロギは影魔法でスカーレットを牽制しながら答えた。
「テメェの無茶は専売特許だろっ!!」
「《うぅ‥‥。分かった》」
「物わかりが良くていい子だ!!!」
ロギのやつ、完全に私を馬鹿にしてる。
見てろよ!絶対なんか考えてやるからな!
ロギの闘い方は独特だった。
剣を振るいながら、影も同時に操り、剣でせめ、影で守る。
そして、その影で機動力も補い、変わった太刀筋をスカーレットへ叩き込む。
「へぇ。流石は伝説と言ったところか‥‥その様な剣捌きは見たことがないな」
「だろうよ、俺の前契約者の流儀だからなっ!!」
ロギの影がスカーレットを襲う。
すると、スカーレットは影魔法をスルスルと避けてみせ、一気に間合いを詰める。
「ならば、もっとその力。私にぶつけて見せろ!」
スカーレットの直剣に炎が纏う。
この技は、前にジェイトが言っていた技法。
魔法攻撃と物理攻撃を併せたこの技は、かなり攻撃力が上がる。
ロギも負けじと、直剣に影を纏わせ迎え撃つ。
激しい戦闘だった。
剣風が観客席にまで届くほど。
その様子を魔物達は
「本当にあれは人間か?」
「化け物同士の戦いだ」
など、口々に呟く。
ルークは今にも飛び出してしまいそうな身体を必死に抑えていた。
ジェイト達も不安な眼差しで戦闘を見守る。
が、‥‥思ったより早く。
そのタイムリミットが来てしまった。
ロギの振った攻撃がスカーレットを剣を上に弾き、スカーレットの懐がガラ空きになった。
「クッ‥‥!」
今だ!
と、言わんばかりにロギはそこへ畳み掛ける。
「残念だったな!これでシめぇだ餓鬼‥‥!ぐっ‥‥?!?!」
あと少しだった。
だが、その剣は届かなかった。
継続での電気魔法。
それに加え、ロギの憑依に、闇魔法の使用。
体がそれらに耐えきれなくなり、動かなくなったのだ。
その瞬間を、スカーレットは見逃さなかった。
スカーレットは剣を高く上げ、思いっきり振り下ろす。
ロギも一応反射的に剣で防いだが‥‥。
その剣はパキンっと音を立て折れ。
クルクルと回りながら、地面に突き刺さる。
そして、スカーレットの振り下ろした剣は、シロナの左肩を斬り裂いた。
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