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第一章 白黒から虹色に
第四話 魔力
しおりを挟むルークは私を連れて離れの仕事場へと向かった。そこは木の上にあるとの事で、2人は長い梯子を登った。
かなり樹齢がいってそうな太く頑丈な木にその小屋はあった。家と同様にログハウスの様な作りになっており、外見から想像すると中もかなり広そうだ。
振り返ってみると森全体が見渡せた。空も普段より近くて手を伸ばせば雲に手が届きそうな気がした。世界はこんなにも綺麗なものだったのか。小さい頃は村にずっといてそれからは監禁生活だったため、今見ているもの全てがキラキラした宝石の様に見えた。
それをポーっと眺めているとルークに
「何をしている。早く来い」
と言われたので中に恐る恐る入っていく。
やっぱり中も広い!魔法で灯りがついており、大きな棚の中には無数の瓶や籠が並んでいて、その中には見たことの無い草花や木の実がビッシリと詰まっている。
天井からも何やら芋みたいな物が吊り下げてあって、植物も乾燥させて紐に縛って保管してあった。
あと、机がふたつ並んでいてその上には、ビーカーやシリンダー、空瓶、使いかけの薬草等が散らばっている。こいつは片付けが苦手なんだろうか。
さらに奥の部屋に行くとハンモックが吊られていて、沢山の難しそうな本が天井まである棚に収まっている。
休憩室かな?ここも最初に私が起きた部屋同様とても落ち着く。
「ここに座って待っててくれ」
ルークは私をハンモックに座らせて倉庫らしい部屋へと入っていった。
こんなツリーハウスで何の仕事をしてるんだろうか、魔物と人のハーフが...ううん、ダメだ全く想像が出来ん。何かを作ってるのかな?
疑問ばかりが浮かんでくる。
するとルークが水晶玉を持って帰ってきた。
「ルークこれは?」
「魔力水晶っていうものだ。これでシロナの魔力がどれだけのものか確認する。やったことあるだろ?」
ん~確かに4~5歳の頃にそんなテストを村の行事でしたような気もする。でもこれっぽっちも覚えていない。だってしょうがないだろ、10年も前のことなんだ。ってことで・・・
「忘れた」
ルークはくすっと笑い話を続けた。
「まぁいい。今から説明しながらするから!まずこの魔力水晶に手をあてて」
「こうか?」
私は言われたように水晶に手をあてる。
「そしたら目を閉じて、魔力を手に集中させるんだが、体の中心にある気を手に集める感じでイメージをしてみろ」
うん、よく分からん。けど取り敢えず言われた通りにしてみた。魔力ゼロの私にそんな感覚一度も味わったことが無かったけど、今体の中心から沸々と沸き立つ何かを感じた。
すると水晶はたちまち光り輝き始め青から緑、緑から赤、そして赤から白色へ変色し水晶の中で星屑のようなものがキラキラと光りに反射して輝いている。
思わず見とれた。
「うん。やっぱりな、でもまさか白色にまでいくとはな」
「白いとどうなんだ?良い方?」
「魔力の強さは青が最も弱く、白が最も強い。つまりシロナは魔力量が超人並みってことだな」
「いやいやいやいや、おかしいし!だって魔力は生まれた時に決まっていて、それからはどんな修行を積んだとしても、増加することは無いって聞いたぞ?」
そうだ。増加することは絶対あり得ない。これは何かの間違いだ。
「魔力水晶が測量を間違うことは無い」
キッパリと断言するルーク
「そんな、微精霊だって見えたことも無いのに・・・」
混乱する私を見てルークは口に手を当てて何かを考え混んでいる。そして何かに気付いた。
「シロナ・・・ずっと気になっていたんだが、その髪色は元から?」
やっぱりこの灰色気になるよな・・・まぁ仕方ないか。
「いや、6歳の時にちょっと色々あって、元は茶髪だったんだけどこんな色に変色したんだ。これのせいで村の人からも気味嫌がれてな」
「そうか、気軽に聞いていいものじゃ無かった。すまない、でもこれで分かった。シロナ、魔力にはリミッターていうのがある。本来は4~5歳の間にそれは外れるため、そのタイミングで魔力測定を行う。お前の場合何らかの力が作用して魔力を封じ込められ、6歳の時のきっかけでリミッターが外れたと推測される」
ルークの口から驚くべき言葉が出た。魔力を封じ込められていた??いつ??いったい誰に?何のために?私の村にそんな高度技術の魔法を使える者はいないはず・・・。
「それにその髪色は【元始の魔女】と同じ色。何か加護があるのかもな」
「げ、げんしの魔女??」初めて聞いた単語だったので思わず聞き返す。
それに対しルークは驚いた?いや呆れた顔をした。
「それも知らないのか・・・とんだ箱入り娘を助手にしてしまったな」
「うるさいな!!!」
「そういえば微精霊を見たことがないって言ったな。あと魔法も使ったことが無いとか」
そう言いながら棚に置いてあった蝋燭を持ってきた。
「それだけの魔力があるなら今すぐ使えるようになる。まず目に魔力を集めるようイメージしてみて」
「こ、こうか?」
さっきの要領と同じ、手ではなく今回は目へ集中。すると視界が突然パァっと明るくなり空気中に沢山のキラキラしたものが浮いている!今日はキラキラ三昧だ!!
「何だコレッ!!凄いぞ!!初めて見た!!」
立ち上がりフワフワ浮いているものを掴もうとするシロナを見てルークは微笑む。
「今見えているそれが微精霊だ。そして今から精霊にお願いしてこの蝋燭に火を灯してもらう」
ルークから蝋燭を差し出される。いきなりですか?!
「どうやってお願いするんだよ」
「心の中で炎の精霊来たれってお願いしたら微精霊が来てくれるから、その時にファイアって言ってみろ」
「雑だなぁ・・・」
まぁやってみるしかないな!と気合を入れ心の中で炎の精霊を呼ぶ
《炎の精霊よ・・・我のもとに来たれ!!》
ボウッと目の前に火花を散らしながら現れたのは、なんとサラマンダーだった!
「サ、サラマンダー?!シロナすとっ・・・」
ルークが止めに入ったがもう遅かった。
「ファイア!!!!」
ドーーーーーン!!!!!!
シロナの詠唱とともに大爆発が起こった。
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