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「女子高生 櫻子の場合」

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こんな地味な生活なんてイヤ……。
櫻子はそう思っていた。
私は本当はこんな真面目な模範的な人間じゃない。
ただ……、進学のため、親や先生に何か言われないために、こんな自分を演じてるだけなの……。
わざと勉強熱心な生徒を装うために、いつも一番前の真ん中の席を希望した。
そこは、みんな嫌がる席だったから、誰とも取り合いになることはなかった。


次の授業は急遽自習になった。
担当教師が体調を崩したらしい。
ちょうどいい。
私はノートに秘密の小説をしたためていた。
この時間は、それを書く時間に当てよう……。


新学期。
生徒達は、新任の教師が教室にやって来るのを待っていた。
櫻子は全校集会の時に生徒に挨拶をしていた男性教師の姿を思い出していた。
教育実習を終えたばかりの初々しい雰囲気があった。
その真面目で緊張している様子に、櫻子はいたずら心が沸いていた。
教室の扉が開き、集会の時と同じように少し緊張した面持ちの男性教師が入ってきた。
教師は黒板に大きく自分の名前を書いた。
「今日からこのクラスを担当する上田理#__さとる__#です。先生は、みんなと対等に、先生と生徒というより、一緒に成長していきたいと思ってる。みんなも思ったことは、何でも言ってほしい。
いいクラスにみんなで作り上げていこう!」
教室の何人かがちらほらと拍手し始め、それはやがて全員の拍手となった。
櫻子は、そんな真面目で純粋そうな男性教師に複雑な感情を抱いた。
「では、出席を取ります。安部……、伊藤……」
次々と生徒が返事をしていく。
教師は、名簿を見て名前を確認し、声のする方を見る。
私は机の下のスカートに手を滑らせて、スカートをゆっくりと捲った。
私の太股はゆっくとその姿を見せた。
上田は、夢中でそれぞれの生徒の名前を呼んでいたが、私を視界に入れると、その『異変』に気付いた。
そして、少し動揺し、顔を赤らめた。
視界の中に私を入れないようにしているのが分かる。
動揺を見せないように、取り繕っているのも。
私は、すごく面白い、と思った。

『もっと遊びたい』

という気持ちが芽生えた。
今度は、少し脚を開く。
スカートは捲ったままで。
上田が私を視界に入れないようにしながら、とても気にしているのが分かる。

『もっと、その様子を崩したい……』

私は、露になった自分の太ももにゆっくりと手を這わせた。
撫でるように、ゆっくりと滑らせていく……。
教室では、上田の生徒を呼ぶ声が変わらず響いていた。
「……加藤……菊地……近藤……」
ただ、上田は見ないようにしようとするほど気にしてしまうようだった。
私の名前を呼ぶ時が近付く……。
「佐久間……篠崎……鈴木……曽山……」
私は自分の太ももに触れながら、ずっと上田の顔を見ていた。
それに気付いているのか、意識的にこちらを見ないようにしている。
その教師の困った顔に櫻子はすごくそそられた。
「滝川……」
私の名前が呼ばれた。
上田は、こちらをパッと見た。
私は、上田に見えるように、大きく脚を開いた。
上田の目を見つめる。
上田は、ばつの悪いような顔をすると、すぐに目線をそらした。
さっきより、顔が赤くなっている。
耳まで赤い……。
櫻子は、なんだか勝ち誇ったような気分になった。


放課後。
「滝川……」
後ろから呼び止められ、振り向くと、上田だった。
「ちょっと、話があるんだが……」
上田は私を科学準備室に招き入れた。
「今朝のことなんだが……」
「今朝……?私……何かしましたか……?」
私はとぼけて見せた。
上田が戸惑う。
言いにくそうに私を見ると
「あの……だから……っ、出席を取ってるときに……」
上田の顔が赤くなっている。
私は自分の心に嗜虐心のようなものを感じた。
「出席を取ってる時に、どうかしたんですか……?」
「……だから……、ス……、スカートを……っ」
「……はっきり言えばいいじゃないですか……。私のスカートの中を見て興奮した……って」
「なっ……!何を言って……!」
少し怒ったような、動揺した顔をする。
私は、上田の体を壁に押し付けた。
「私……、ずっと先生のこと見てたんです。だから分かるんです。
見ないようにしているけれど、本当は、私に触りたかった……んですよね……?」
「……っ……いい加減にしなさい!オレは……っ!」
私は、上田の耳元に顔を寄せて、囁いた。
「……触っても、いいんですよ……」
「……っ」
上田の体が少しビクッとした。
「わざわざ、こんな薄暗い科学準備室に私を連れ込むなんて……、そういう気があったんじゃないですか……?私は全然……」
上田は、力いっぱい私の体を引き剥がした。
私を見つめる。
少し呼吸が乱れていた。
「……そういう風に大人をからかうのはやめろよ……。そりゃあ、そういうことに興味がある年頃なんだろうけど……。オレはお前が心配で……」
このセリフを聞いて、なんだか私はカッとなった。
あんな風に顔を赤くした癖に。
大人ぶってるのはどっちだ?
私は嘘をつかれたり、いい顔をされるのは、キライ……。
「……先生……。見て下さい」
私は上田の前で再びスカートを捲った。
「……もういいよ……」
上田は再び見ないようにする。
「触って下さい……。私、さっきの先生の言葉で傷付きました……。あなたが教師なら、こんな私を受け入れるべきだわ……!」
私は、上田の手を取った。
自分のショーツの上から触れさせる。
「……温かいですよね……。中はもっと温かいですよ……」
私は、上田の手をショーツの中に招いた。
上田が私の手を払いのける。
「……どうしてこんなことがしたいんだよ……」
「興味を持って欲しいからです。私を見てほしい。私に触れたいと思って欲しい」
「……こんなことしなくても、オレは君を……」
私は、上田のシャツの襟を掴み、顔を寄せた。
「キスしてください……先生。寂しいです……」
上田は、何かを考えているかのように、私の顔を見つめた。
そうして、小さく私の唇に自分の唇を重ねた。
「……これが……正しいのか分からないけど……」
そう言って顔を背けた。
「先生……、足りません……」
そう言って、私は上田の襟首をぐっと自分の方に引き寄せ、唇を重ねた。
私にもっと興味を持てばいい……。
私から目が離せなくなればいい……。
そう思いながら。

私は今日も科学準備室の扉を開ける。
そこにはいつものように上田が待っていた。
慣れたように、私たちはしっかりとハグをし、
キスを始める。
上田がスカート中に手を入れ、身体中をまさぐる。
いつの間にか私たちの間で科学準備室での逢瀬が当たり前のこととなっていた。
こんな風になってから、上田は随分情熱的な愛撫をするのだと知り、私は素敵なものを手に入れた気持ちになった……。


妄想小説もこれで終わり……。
さて、実際の恋愛は……どうしようかな……。
私が少し空想に耽っていると、チャイムが鳴り、教室の扉が開いた。
日直の起立の掛け声。
「……では 、授業を始める」
現実は、ここから。

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