【短編集】気ままにショートストーリー

「考え過ぎちゃう人（店員編）」

私はとあるコンビニの店員。
いつも感じの良いお客様がいる。
「ありがとう」や「お願いします」をいつも言ってくれるし。
こちらにさりげなく気を使ってくれるし。
正直、大好きなお客様の一人。
そんなお客様が、ちょっとピンチだ。
何かというと、口元に茶色い物が付いている……。
多分、ココアか何かを飲んだのかもしれない。
もしくはチョコレート系の何か……？？
カレーかな……！？
とにかく、口元に茶色い物を付け、それに気付かずに過ごされているようだ……！！
これは……。
教えて差し上げた方が良いのか……。
でも、さしでがましいかもしれない……。
でも、このまま鏡を見ることなくずっと過ごした場合、このお客様の口元を見て嗤う者がいるかもしれない……。
それも気の毒だし……。
好きなお客様だからこそ、お役に立ちたい……。
でも、逆に伝えてしまったことで、気にしてしまって、お客様が今後この店に来づらくなってしまったら……？？
その方が逆に良くないかも……。
逆に、ここはスルーして、ご自分で気付かれることを祈った方が良いのでは……？
それが最善の策では……？？
でも……、この後、デートに行くとしたら……？
口元の茶色い物のせいでフラれたら……？
私が勇気を出せば、このお客様のピンチ救うことが出来るかもしれない……！！
いつもこのお客様に、癒されてるわけだし、ここは私が一肌脱いで……！！


「あの……すいません……」
「はい！」
「……お釣り足りないみたいなんですけど……」
「あっ……、大変失礼致しましたっ！！！」

……結局言えなかった……。