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「打ち明ける相手を間違えました。すみません……~大人に絶望しているもので~」

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私は、現在、学校でいじめられている。
学校の帰り道、たまたま親戚に遭遇した。
「暗い顔してどうしたの?」
私は、学校でいじめられていることを話してみた。
「あぁ~、そうなの~。でも、暗い顔してたら、お父さんとお母さん心配するわよ~。元気出して~。いじめなんかに負けるな~!頑張れ~♪頑張れ~♪」
「……あの……寄り添うって知ってます?」
「……ん?」
「まぁ……今の言葉で元気が出る人もいるかもしれませんが、私は毎日いじめられて傷付いてる訳です。ついさっきそういう話しましたよね?伝わってないかもしれませんけど。そういう人に対して、簡単に『頑張れ』って言ったところで、そんな風に出来ないことの方が多いと思います。
今この状況で必要なのって、『頑張れ』じゃなくて、寄り添うことじゃないんですか?……まぁ、おばさんがいじめられた経験がないなら、分からなくても仕方ないと思いますが……」
「……何を言ってるか分からないわ……。こ、子供は元気が一番なんだから!子供の頃の悩みなんて大したことないのよ!大人の方が大変なんだからね!!子供は楽でいいんだから!とにかく、お母さん達に心配かけないようにしなさいよ!!全く……口ばっかり達者で……」
「打ち明ける相手を間違えました。すみません……」
私は振り返らず、その場を立ち去った。
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