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「Suicaとボクが出会ったよく分からない不良」

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《ある日、駅構内の券売機の前で少年が不良に絡まれていた》


不良「おい、お前見とけや。
今からこのSuicaに俺の全財産1万円入れるぞ。
……こえーだろ?
まだ、俺は今月分のスマホ代払ってねーんだよ。
つまり、Suicaに全財産入れちまったら、スマホ代払えねーんだよ。
スマホ代払えねーと、電話会社から請求の電話がくるんだぜ?
支払い日までに払えって電話がよ。
社会人不適合者になりそうで、こえーだろ?」
少年「……はい」
不良「あぁ?なんなんだ、その態度は?
てめー、ビビり散らかしてろくにリアクションも取れねーのかよ!?」
少年「……はい」
不良「人のSuicaなのに、そんなにビビり散らかすなんて、お前は相当なチキン野郎だな。
じゃあ……、もっと怖がらせてやるよ」
(不良、券売機の中にSuicaを入れる)
不良「この中にこの1万を入れたら……、俺は終わりだぜ」
少年「…………」
不良「びびってろくに声も出せねーのかよ?
……へっへっへ……。じゃあ、こんなん見たらどうなっちまうんだろうな……?」
(不良、券売機のタッチパネルで『10000円』の表示を選ぶ)
不良「……これで……、この諭吉を入れたら……、俺は社会不適合者……、つまり電話会社からの信用を失っちまうんだぜ……。
たったの、ちょっとの行動で信用を失う……。
……こえーだろ?」
少年「……はい……」
不良「ふっ……。お前が内心ガタガタ震えてんのは分かってんだよ。こんな状況誰が見たってこえーよな?」
(少年、下を向いて黙っている)
不良「……ふん……、口も聞けなくなってやがる……。1万、俺は入れるぜ……?」
(不良、券売機のお札投入口に1万円を入れる)
(機械が、お札を吸い込む音)
(少しすると、Suicaが出てくる)
(不良が少年の顔の前で、Suicaを見せつける)
不良「ほらほら……。ここに俺の全財産入っちまったぜ……。たった一瞬で俺は社会不適合者だ……」
少年「……あの、確かSuicaって返却すれば、残金戻ってきますよ?」
不良「……あ?」
少年「いや、もし、スマホ代払いたいならSuicaを返却すれば、残金戻ってくると思うんで、心配ないかと……」
不良「あぁ??」
少年「……あ……!……手数料は引かれると思いますけど……。200円くらい……」
不良「あぁ??なんだ、てめー!?」
少年「いえ……、ですからボクは、あなたがスマホ代を支払えなくて、社会不適合者になって、電話会社から信用を失わないようにアドバイスを……」
不良「ごちゃごちゃうるせーんだよ!俺の邪魔してんじゃねーっ!」
少年「……だって、スマホ代払えなくて、電話会社から連絡くるの…………怖いんですよね……?」
不良「バカじゃねーの!それをギリギリの所で味わうからチキンレースなんだろうが!」
少年「……レースっていうか、一人ですけどね……。僕はそれを見守ってる立場というか……」
不良「なんだ、てめっ!!俺に文句あんのか!?こら!!」
少年「……文句というか……。チキンレースではないなと、お伝えしただけで……」
震え「もういい!!どっか行けやっ!!」
(少年、一礼して去っていく)
不良「ちっ……余計なことしてんじゃねーよ!!!」

(不良、少年が見えなくなるのを確認。
『みどりの窓口』に向かう)

窓口『いらっしゃいませ』
不良『あ、あの……、Suica解約?したいんスけど……。一万円入ってて……それで……友達……が解約できるって言ってたんスけど……』





〈あとがき〉
本当は最初、不良君の全財産は3万円の予定でしたが……、Suicaの券売機のタッチパネルで表示される最大の金額が1万でした……(入金画面は、最大金額10000円の表示しかない)。
なので、不良君は全財産1万の設定になったんですが……。
ショボい……(笑)。
最初から、怖くない(笑)。
そんなところも笑って頂けたら、幸いです。
Suicaチャージするとき、思い出してね(笑)。
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