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「それゆけ日本男児!」

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俺の友達(女)が知り合いに、外国人の友達(女)を紹介してもらうというので、俺も一緒に行くことになった。

俺達が、約束した喫茶店で待っていると、知り合いと外国人女性が俺達のテーブルに向かってきた。
俺は動揺した。
その外国人女性は大分胸元の開いた服を着ていたのだ。
女友達が小声で言う。
「あの……、ちょっと動揺してるみたいですけど……。こういう時は、サムライジャパンらしく振る舞う方がいいかと……」
「は?俺、サムライじゃねーし……。でも動揺なんてしてないけどね……」
これは、海外の人にとってはごく当たり前の服なんだ。
日常で誰しもが着てる服なんだ。
こんなところで、動揺を見せては日本男児の名が廃る……。
いや……、俺、日本男児なんて自覚したこと一回もねーけど……。
とりあえず、彼らは俺達の向かい側に座り、挨拶もそこそこに飲み物を注文し始めた。
あぁ……。座ると余計目立つんだよな……。
きっと海外の人にとってはこれは普通のことなんだろうけど……。
まぁ、だからこそ俺は日本代表として、この場で動揺を見せてはいけないんだ……。
日本男児なんてこんなもんだと思われたら困るからね。
俺が色々考えているうちに会話は進んでいるようだった。
俺は英語が全く話せないので、友達が替わりに俺を紹介してくれた。
紹介が終わると、外国人女性がこちらを見て、ニッコリ笑う。
……ほぉ……。
これでドキッとしたり、ニヤついたりしたら、俺(日本男児)の負けだ。
俺は、クールジャパンを決め込むぜ。
「あのさ……、さっきから何にやついてんの……?やめなよね」
「は?俺全然にやついてねーし」
「目が鋭くて、口元が緩んでるから、余計気持ち悪いよ」
「は?緩んでねーし」
どうやら口元に隙が出来ていたらしい……。ただ、『目は口ほどに物を言う』というので、目が緩んでいなければそれは、オーケーだろう。
「あのさ、彼女が質問したいって言ってるんだけど……」
ほぉ……。
そうきたか……。
俺は受けて立つぜっ!
女友達は言いにくそうに言った。
「なぜ、あなたは私の胸ばかり見ているのですか?……って」
ほうほうほう!やっぱりそう来たか!
じゃあ、答えてやるよっ!
「……じゃあ、こう言ってくれ。俺は日本産まれの男だから……だと」
俺は逃げない!
この言葉がその証明さ!

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