【短編集】気ままにショートストーリー

「私のお見合い」

私は、父の薦めでお見合いをした。
相手の人は、真面目でいい人そうだし、安定した会社にも勤めている……。
私ももういい歳だし、迷ってる暇などないのだから……。
私は、一回目のお見合いで、この人と結婚しようと決めた。
そしてそれを、父経由で先方に伝えてもらった。

今日は、お見合いの相手と２回目に会う日。
場所は料亭の個室だった。

わぁ……。ここ……。すごいお高い所じゃない……？しかも個室って……。
こんな所を予約出来るなんて……。
やっぱりお金持ってるんだなぁ……。
自分と相手の金銭的余裕の違いを感じる。
私は、私の旦那さんになる予定の男が現れるのをドキドキして待っていた。

「どうも……。遅れてすみません……」
ニコニコとした様子で現れ、静かに私の前に座る。
「俺との結婚をＯＫしてくれたんですよね？」
私は、そう言われて少し照れる。
「……ということは……」
相手はテーブルの向こうから、身を乗り出してきた。
「……いつでも抱いていいってことですよね……？」
「え……っ？」
「好きなときにいつでも抱けるってことですよね……？やった！」
私は何を言われているか分からず、固まった。
男は、私が固まっている間に、いつの間にか隣に移動して来ていた。
「……とりあえず、今、２二人っきりなんで、キスしていいですか……？……いいですよね……？」
……この結婚、なしにしたい……。