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第二章 中核都市エンクホイゼン
第三十ニ話 忍び寄る死の影
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深夜、貧民街の家々に金貨を配り終え、通りを進むキラーコマンドの七人にミランダが合流する。
マギーが口を開く。
「遅かったね」
ミランダが答える。
「ちょっと、ドジ踏んでね」
ミランダは、商店街の屋根の上でのケニー達との出来事について皆に話す。
ヒロが口を開く。
「アイツら、恐ろしく強かったよ。何者なんだろう?」
ミランダが答える。
「・・・判らない。シンジケートとは、関係無さそうだし。明日、皆で話してみよう」
キラーコマンドの八人は、貧民街から孤児院へ向けて歩みを進める。
しかし、彼らは、背後に黒い『死の影』が忍び寄っている事を知る由も無かった。
突然、それは夜の闇の中からキラーコマンド達に襲い掛かる。
キラーコマンド達の最後尾に居た、ロブとキャシーの二人が彼らに捕まる。
闇の中から、骸骨のような丸眼鏡の軍服の男が現れ、キラーコマンド達に話し掛ける。
「ヒヒヒヒヒ。ガキ共、『ジェファーソン・シンジケート』をナメてはいけませんよ?」
「クソッ!!」
「二人を離しな!!」
キラーコマンドのミランダ、ヒロ、マギーの三人が、剣を抜いて丸眼鏡の男に斬り掛かる。
だが、丸眼鏡の男と三人の間に、二人の丸眼鏡をした黒いせむし男が割って入り、指先の鉤爪を振りかざして立ち塞がる。
丸眼鏡の男達は、革命党秘密警察のアキ少佐と秘密警察の戦闘員達であった。
基本職のスカウトであるキラーコマンド達と、中堅職の暗殺者である戦闘員達では、暗殺者のほうが力量は数段、格上であった。
「二人は預かって行きますよ。明日を楽しみにしていて下さい。ヒヒヒヒヒ」
そう言うと、丸眼鏡の男達は二人を攫って再び闇の中に姿を消した。
ミランダが悔しそうに呟く。
「クソッ! スカウトの私達が背後を取られるなんて!!」
ジカイラ達が宿屋に戻ると、程なくケニー達も宿屋に戻ってくる。
全員が一階の食堂に集まり、キラーコマンドとの一戦について話し合う。
ケニーとルナは、屋根の上でのミランダとの出来事や、キラーコマンドが孤児院の子供たちであることを皆に話した。
ジカイラは大きくため息を吐く。
「はぁ・・・。粋がって麻薬組織相手にドンパチやっているのは、孤児院のガキ共か」
ケニーが口を開く。
「明日の昼に彼らが此処に来る。孤児院や院長先生は、ラインさんが何とかしてくれるから、もう危ない事はしないように言おう」
ローブを纏い、フードを深く被った二人がジカイラ達の席に近寄ってくる。
ジカイラはお茶を飲みながら、目で二人の動きを追う。
ローブの者の一人がジカイラの前に座り、被っているフードを捲る。
「やあ」
フードの下から出てきたのは、ラインハルトであった。
「ブーーーッ!!」
ジカイラは、盛大に飲んでいたお茶を噴き出す。
他のメンバーも、突然、ラインハルトが現れたことに驚く。
「お前、なんで此処に居るんだ!? 皇帝が辺境の宿屋にお忍びで来るなんて、お固いナナイに知られたら騒動だぞ!?」
もう一人のローブの者がラインハルトの隣に座り、被っているフードを捲る。
「あら? 私に知られたら、何かマズい事があるの??」
ジカイラは、更に飲んでいたお茶で噎せて咳き込む。
「ゲホッ! ゲホッ! ゲホッ!! 器官に入った。・・・ナナイまで来てんのかよ!?」
ラインハルトが口を開く。
「フクロウ便の報告書に『麻薬組織』と書いてあって、居ても立っても居られなくなってな」
ナナイが口を開く。
「私は、『孤児院』のほうに関心があるわね」
ジカイラが突然、現れた二人に話す。
「お前ら、バレンシュテット帝国の皇帝と皇妃が揃って皇宮を抜け出してこんな辺境の宿屋に来るとか、あり得ないだろ!? 皇太子はどうしたんだ??」
ナナイが答える。
「クリシュナに預けてきたわ。私達は、エリシスの転移門でいつでも帰れるし」
ジカイラが二人を冷やかす。
「・・・お前ら、何だかんだ言って、城勤めの鬱憤を晴らすのが、目的なんじゃないのか?」
図星であった。
ラインハルトとナナイは、互いに顔を見合わせて、苦笑いする。
ケニーが口を開く。
「ラインさん、頼みがあるんだ。孤児院と院長先生を助けて欲しい」
ラインハルトが答える。
「大丈夫。ナナイは、孤児院の運営に興味があるようだ。どちらも私が預かろう。金の心配はしなくて良い」
「ありがとう。ラインさん」
帝国の皇帝であるラインハルトから直接答えを聞いたケニーとルナは、安堵する。
ケニーが続ける。
「明日の昼に孤児院の子供たちがここに来る。『心配しなくて良い』と教えてあげて欲しいんだ」
「了解。明日の昼だね。・・・それじゃ、私達はこの辺で、お先に失礼するよ」
そう言うとラインハルトとナナイは、階段を登って、二階の部屋に向かう。
「オレ達も明日に備えて、今夜はこの辺にしよう」
ジカイラの言葉で解散し、皆、二階の部屋に向かう。
マギーが口を開く。
「遅かったね」
ミランダが答える。
「ちょっと、ドジ踏んでね」
ミランダは、商店街の屋根の上でのケニー達との出来事について皆に話す。
ヒロが口を開く。
「アイツら、恐ろしく強かったよ。何者なんだろう?」
ミランダが答える。
「・・・判らない。シンジケートとは、関係無さそうだし。明日、皆で話してみよう」
キラーコマンドの八人は、貧民街から孤児院へ向けて歩みを進める。
しかし、彼らは、背後に黒い『死の影』が忍び寄っている事を知る由も無かった。
突然、それは夜の闇の中からキラーコマンド達に襲い掛かる。
キラーコマンド達の最後尾に居た、ロブとキャシーの二人が彼らに捕まる。
闇の中から、骸骨のような丸眼鏡の軍服の男が現れ、キラーコマンド達に話し掛ける。
「ヒヒヒヒヒ。ガキ共、『ジェファーソン・シンジケート』をナメてはいけませんよ?」
「クソッ!!」
「二人を離しな!!」
キラーコマンドのミランダ、ヒロ、マギーの三人が、剣を抜いて丸眼鏡の男に斬り掛かる。
だが、丸眼鏡の男と三人の間に、二人の丸眼鏡をした黒いせむし男が割って入り、指先の鉤爪を振りかざして立ち塞がる。
丸眼鏡の男達は、革命党秘密警察のアキ少佐と秘密警察の戦闘員達であった。
基本職のスカウトであるキラーコマンド達と、中堅職の暗殺者である戦闘員達では、暗殺者のほうが力量は数段、格上であった。
「二人は預かって行きますよ。明日を楽しみにしていて下さい。ヒヒヒヒヒ」
そう言うと、丸眼鏡の男達は二人を攫って再び闇の中に姿を消した。
ミランダが悔しそうに呟く。
「クソッ! スカウトの私達が背後を取られるなんて!!」
ジカイラ達が宿屋に戻ると、程なくケニー達も宿屋に戻ってくる。
全員が一階の食堂に集まり、キラーコマンドとの一戦について話し合う。
ケニーとルナは、屋根の上でのミランダとの出来事や、キラーコマンドが孤児院の子供たちであることを皆に話した。
ジカイラは大きくため息を吐く。
「はぁ・・・。粋がって麻薬組織相手にドンパチやっているのは、孤児院のガキ共か」
ケニーが口を開く。
「明日の昼に彼らが此処に来る。孤児院や院長先生は、ラインさんが何とかしてくれるから、もう危ない事はしないように言おう」
ローブを纏い、フードを深く被った二人がジカイラ達の席に近寄ってくる。
ジカイラはお茶を飲みながら、目で二人の動きを追う。
ローブの者の一人がジカイラの前に座り、被っているフードを捲る。
「やあ」
フードの下から出てきたのは、ラインハルトであった。
「ブーーーッ!!」
ジカイラは、盛大に飲んでいたお茶を噴き出す。
他のメンバーも、突然、ラインハルトが現れたことに驚く。
「お前、なんで此処に居るんだ!? 皇帝が辺境の宿屋にお忍びで来るなんて、お固いナナイに知られたら騒動だぞ!?」
もう一人のローブの者がラインハルトの隣に座り、被っているフードを捲る。
「あら? 私に知られたら、何かマズい事があるの??」
ジカイラは、更に飲んでいたお茶で噎せて咳き込む。
「ゲホッ! ゲホッ! ゲホッ!! 器官に入った。・・・ナナイまで来てんのかよ!?」
ラインハルトが口を開く。
「フクロウ便の報告書に『麻薬組織』と書いてあって、居ても立っても居られなくなってな」
ナナイが口を開く。
「私は、『孤児院』のほうに関心があるわね」
ジカイラが突然、現れた二人に話す。
「お前ら、バレンシュテット帝国の皇帝と皇妃が揃って皇宮を抜け出してこんな辺境の宿屋に来るとか、あり得ないだろ!? 皇太子はどうしたんだ??」
ナナイが答える。
「クリシュナに預けてきたわ。私達は、エリシスの転移門でいつでも帰れるし」
ジカイラが二人を冷やかす。
「・・・お前ら、何だかんだ言って、城勤めの鬱憤を晴らすのが、目的なんじゃないのか?」
図星であった。
ラインハルトとナナイは、互いに顔を見合わせて、苦笑いする。
ケニーが口を開く。
「ラインさん、頼みがあるんだ。孤児院と院長先生を助けて欲しい」
ラインハルトが答える。
「大丈夫。ナナイは、孤児院の運営に興味があるようだ。どちらも私が預かろう。金の心配はしなくて良い」
「ありがとう。ラインさん」
帝国の皇帝であるラインハルトから直接答えを聞いたケニーとルナは、安堵する。
ケニーが続ける。
「明日の昼に孤児院の子供たちがここに来る。『心配しなくて良い』と教えてあげて欲しいんだ」
「了解。明日の昼だね。・・・それじゃ、私達はこの辺で、お先に失礼するよ」
そう言うとラインハルトとナナイは、階段を登って、二階の部屋に向かう。
「オレ達も明日に備えて、今夜はこの辺にしよう」
ジカイラの言葉で解散し、皆、二階の部屋に向かう。
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