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第二章 中核都市エンクホイゼン
第三十話 仮面盗賊団キラーコマンド
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--夕刻。
ジカイラとヒナ、ティナが宿屋に戻ると、程なくケニーとルナも宿屋に戻ってきた。
五人は宿屋の食堂に集まり夕食を取りながら、それぞれ探索の結果を話す。
ジカイラが口を開く。
「ま、少なくとも、この街の領主が無能だということと、孤児院があるってことは判った訳だ」
ヒナがため息を吐く。
「そうね。今日の成果は、今の所そのくらいしか無いわね」
ティナはケニーの話に関心があるようであった。
「孤児院の件、お兄ちゃんにフクロウ便で相談しよう。きっと、何とかしてくれるよ」
ジカイラが少し困った顔で答える。
「判った。孤児院の件は、オレからラインハルトに報告しておく。それと・・・」
ケニーが口を開く。
「それと?」
ジカイラが続ける。
「麻薬組織や盗賊団が動くとしたら、昼より夜だ。全員、装備は解くな。夕食後も、臨戦態勢を維持しておくように」
「「了解」」
夕食を終えたジカイラは自室へ戻ると、手早くラインハルトへの報告書を書く。
麻薬組織ジェファーソン・シンジケート、盗賊団キラーコマンドのこと。無能な領主のこと、孤児院のことを羊皮紙の報告書に綴る。
ジカイラは、ラインハルトへの報告書を作り終え、一階に降りて宿の主人にフクロウ便を頼む。
食堂の方を見ると、ケニーなどの他のメンバーは、食後の談笑をしていた。
宿屋に男が駆け込んでくる。
「出た! キラーコマンドが現れたぞ!!」
駆け込んできた男の叫びに、食堂 兼 酒場で酒を飲んでいた者達は、ジョッキやグラスを掲げ、キラーコマンドに喝采を送り始める。
駆け込んできた男にジカイラが尋ねる。
「何処だ? 何処に現れた?」
男は息を切らしながら答える。
「商店街だ!」
ジカイラは、食堂にいる他のメンバーに声を掛ける。
「皆、行くぞ! 商店街だ!!」
ジカイラ達は、宿屋を出て、商店街へ向かう。
--少し時間を戻した商店街の一角 輸入品店
店の奥で、丸々と太った商人と店員は、縄で縛られて芋虫のように床に転がっていた。
彼らの傍らには、銀色の仮面を付け、ローブを纏った八人が、縛られて床に寝転がっている商人達を見下していた。
ローブを着た八人のうち、五人は商人の金蔵から金貨の入った箱を運び出し始める。
商人がローブの者達に叫ぶ。
「『キラーコマンド』だか、何だか知らんが、誰の金か判ってやっているのか!! 組織の金だぞ!? お前ら全員、殺されるぞ!!」
ローブの者達は、『キラーコマンド』と名乗る盗賊団であった。
キラーコマンドの一人が屈んで商人に話し掛ける。
「どうせ麻薬を売って得た『汚れた金』だろう? オレ達が有効に使ってやる!」
まだ若い男の声に、商人が言い返す。
「ガキが! シンジケートに殺されるがいい!!」
キラーコマンドのリーダー格の者が、他のメンバーに指示を出す。
「皆、撤収するよ!!」
若い女の声であった。
キラーコマンド達は、金貨の入った箱を外の荷車に載せると、店を後にする。
金貨の入った箱を載せた荷車を押しながら、薄暗い商店街の路地裏を進むキラーコマンド達の前に、チンピラ達が現れる。
チンピラの一人が叫ぶ。
「居たぞ!! キラーコマンドだ!! 事務所に知らせろ!!」
チンピラ達の一人は、直ぐにその場から走り去った。
キラーコマンドのリーダーの女が舌打ちする。
「チッ! シンジケートが嗅ぎ付けて来やがった!! みんな! 戦闘用意!!」
チンピラ達は、それぞれナイフやダガー、棍棒を手にキラーコマンド達に襲い掛かる。
チンピラが叫ぶ。
「お前ら、やれぇ!!」
キラーコマンドのリーダーの女が指示する。
「ロブ! 煙玉だ!」
「あいよ!」
キラーコマンドの一人が懐から黒い玉を取り出すと、チンピラ達に投げつける。
投げられた黒い玉は、チンピラ達の前の地面に当たると、轟音と共に周囲一帯に煙幕を発生させる。
「行くよ!」
リーダーの女の声に、キラーコマンド達は、ショートソードを抜くと、チンピラ達に斬り込んで行く。
煙幕の煙で涙目のチンピラ達は、デタラメに得物を振り回すが、キラーコマンド達は巧みに攻撃を避け、チンピラ達に手傷を負わせ、叩きのめしていく。
「今のうちに荷車を!」
「判った!」
キラーコマンド達は、シンジケートの一隊を倒し、暗い路地裏を荷車を押しながら、走り去っていった。
路地裏の一角で立ち止まり、キラーコマンドのリーダーの女が指示する。
「ヒロ、クリス、マギー。お前達は荷車をいつものところへ運びな!」
ヒロと呼ばれた少年が聞き返す。
「ミランダ達は、どうするのさ?」
リーダーの女ミランダが、新手が現れた事に気が付く。
「新手が来た! 後で!」
キラーコマンド達の前に現れた新手。
それは、ジカイラ達であった。
銀色の仮面を被るキラーコマンド達を見たジカイラが口を開く。
「仮面盗賊団とは、なかなかシャレてるじゃねぇか!! みんな、殺すなよ?」
そう言うとジカイラは、愛用の斧槍を大きく二回振り回し、正眼に構える。
「帝国無宿人、ジカイラ推参!!」
ミランダがキラーコマンドのメンバーに指示する。
「みんな! やっちまいな!!」
ジカイラは、相手を観察しながら斧槍を振るう。
(こいつら、小柄だな!? それに、剣に殺気が無い。間合いを取って避ける、この動き方は・・・スカウトか?)
キラーコマンド達は、ジカイラ達に比べ、体格的に一回り小柄な者達であった。
ケニーとルナがジカイラの両脇を走り抜け、キラーコマンド達に迫る。
ケニーは、素早く二本のショートソードを抜くと、キラーコマンドの一人と斬り結ぶ。
二人のショートソード同士が金属音を立てて擦り合う。
ケニーも、相手の異様さに気が付く。
(なんだ? こいつら?? 技量的に良くて、基本職のスカウトか。それに・・・子供!?)
ルナも、ケニーとほぼ同じタイミングでキラーコマンドの一人と斬り結ぶ。
「やぁああっ!!」
ルナは、身を翻して左手に装備している小型盾でキラーコマンドを殴り付ける。
小柄なキラーコマンドは、ルナの小型盾による打撃で吹き飛び、商店の壁にぶつかる。
「ぎゃっ!!」
壁に当たったキラーコマンドの一人は、悲鳴を上げると地面に蹲る。
キラーコマンドの悲鳴を聞いたルナが驚く。
「えっ!? 子供の声??」
キラーコマンドのリーダーのミランダは、蹲るキラーコマンドのメンバーを庇うように、ルナとメンバーの間に割って入る。
蹲るキラーコマンドのメンバーが口を開く。
「ミ、ミランダ! こいつら、強ぇえよ!!」
「グズグズするな! 引くよ!!」
ミランダは、蹲るメンバーを一喝すると、逆手にショートソードを持ってルナに対して身構える。
ルナは、その名前に聞き覚えがあった。
「ミランダって!? まさか!!」
ミランダは、懐から煙玉を取り出すと、ジカイラ達の前に投げ付ける。
投げられた黒い玉は、ジカイラ達の前の地面に当たると、轟音と共に周囲一帯に煙幕を発生させる。
煙玉が作った煙幕が晴れる頃、キラーコマンド達はジカイラ達の前から姿を消していた。
ジカイラとヒナ、ティナが宿屋に戻ると、程なくケニーとルナも宿屋に戻ってきた。
五人は宿屋の食堂に集まり夕食を取りながら、それぞれ探索の結果を話す。
ジカイラが口を開く。
「ま、少なくとも、この街の領主が無能だということと、孤児院があるってことは判った訳だ」
ヒナがため息を吐く。
「そうね。今日の成果は、今の所そのくらいしか無いわね」
ティナはケニーの話に関心があるようであった。
「孤児院の件、お兄ちゃんにフクロウ便で相談しよう。きっと、何とかしてくれるよ」
ジカイラが少し困った顔で答える。
「判った。孤児院の件は、オレからラインハルトに報告しておく。それと・・・」
ケニーが口を開く。
「それと?」
ジカイラが続ける。
「麻薬組織や盗賊団が動くとしたら、昼より夜だ。全員、装備は解くな。夕食後も、臨戦態勢を維持しておくように」
「「了解」」
夕食を終えたジカイラは自室へ戻ると、手早くラインハルトへの報告書を書く。
麻薬組織ジェファーソン・シンジケート、盗賊団キラーコマンドのこと。無能な領主のこと、孤児院のことを羊皮紙の報告書に綴る。
ジカイラは、ラインハルトへの報告書を作り終え、一階に降りて宿の主人にフクロウ便を頼む。
食堂の方を見ると、ケニーなどの他のメンバーは、食後の談笑をしていた。
宿屋に男が駆け込んでくる。
「出た! キラーコマンドが現れたぞ!!」
駆け込んできた男の叫びに、食堂 兼 酒場で酒を飲んでいた者達は、ジョッキやグラスを掲げ、キラーコマンドに喝采を送り始める。
駆け込んできた男にジカイラが尋ねる。
「何処だ? 何処に現れた?」
男は息を切らしながら答える。
「商店街だ!」
ジカイラは、食堂にいる他のメンバーに声を掛ける。
「皆、行くぞ! 商店街だ!!」
ジカイラ達は、宿屋を出て、商店街へ向かう。
--少し時間を戻した商店街の一角 輸入品店
店の奥で、丸々と太った商人と店員は、縄で縛られて芋虫のように床に転がっていた。
彼らの傍らには、銀色の仮面を付け、ローブを纏った八人が、縛られて床に寝転がっている商人達を見下していた。
ローブを着た八人のうち、五人は商人の金蔵から金貨の入った箱を運び出し始める。
商人がローブの者達に叫ぶ。
「『キラーコマンド』だか、何だか知らんが、誰の金か判ってやっているのか!! 組織の金だぞ!? お前ら全員、殺されるぞ!!」
ローブの者達は、『キラーコマンド』と名乗る盗賊団であった。
キラーコマンドの一人が屈んで商人に話し掛ける。
「どうせ麻薬を売って得た『汚れた金』だろう? オレ達が有効に使ってやる!」
まだ若い男の声に、商人が言い返す。
「ガキが! シンジケートに殺されるがいい!!」
キラーコマンドのリーダー格の者が、他のメンバーに指示を出す。
「皆、撤収するよ!!」
若い女の声であった。
キラーコマンド達は、金貨の入った箱を外の荷車に載せると、店を後にする。
金貨の入った箱を載せた荷車を押しながら、薄暗い商店街の路地裏を進むキラーコマンド達の前に、チンピラ達が現れる。
チンピラの一人が叫ぶ。
「居たぞ!! キラーコマンドだ!! 事務所に知らせろ!!」
チンピラ達の一人は、直ぐにその場から走り去った。
キラーコマンドのリーダーの女が舌打ちする。
「チッ! シンジケートが嗅ぎ付けて来やがった!! みんな! 戦闘用意!!」
チンピラ達は、それぞれナイフやダガー、棍棒を手にキラーコマンド達に襲い掛かる。
チンピラが叫ぶ。
「お前ら、やれぇ!!」
キラーコマンドのリーダーの女が指示する。
「ロブ! 煙玉だ!」
「あいよ!」
キラーコマンドの一人が懐から黒い玉を取り出すと、チンピラ達に投げつける。
投げられた黒い玉は、チンピラ達の前の地面に当たると、轟音と共に周囲一帯に煙幕を発生させる。
「行くよ!」
リーダーの女の声に、キラーコマンド達は、ショートソードを抜くと、チンピラ達に斬り込んで行く。
煙幕の煙で涙目のチンピラ達は、デタラメに得物を振り回すが、キラーコマンド達は巧みに攻撃を避け、チンピラ達に手傷を負わせ、叩きのめしていく。
「今のうちに荷車を!」
「判った!」
キラーコマンド達は、シンジケートの一隊を倒し、暗い路地裏を荷車を押しながら、走り去っていった。
路地裏の一角で立ち止まり、キラーコマンドのリーダーの女が指示する。
「ヒロ、クリス、マギー。お前達は荷車をいつものところへ運びな!」
ヒロと呼ばれた少年が聞き返す。
「ミランダ達は、どうするのさ?」
リーダーの女ミランダが、新手が現れた事に気が付く。
「新手が来た! 後で!」
キラーコマンド達の前に現れた新手。
それは、ジカイラ達であった。
銀色の仮面を被るキラーコマンド達を見たジカイラが口を開く。
「仮面盗賊団とは、なかなかシャレてるじゃねぇか!! みんな、殺すなよ?」
そう言うとジカイラは、愛用の斧槍を大きく二回振り回し、正眼に構える。
「帝国無宿人、ジカイラ推参!!」
ミランダがキラーコマンドのメンバーに指示する。
「みんな! やっちまいな!!」
ジカイラは、相手を観察しながら斧槍を振るう。
(こいつら、小柄だな!? それに、剣に殺気が無い。間合いを取って避ける、この動き方は・・・スカウトか?)
キラーコマンド達は、ジカイラ達に比べ、体格的に一回り小柄な者達であった。
ケニーとルナがジカイラの両脇を走り抜け、キラーコマンド達に迫る。
ケニーは、素早く二本のショートソードを抜くと、キラーコマンドの一人と斬り結ぶ。
二人のショートソード同士が金属音を立てて擦り合う。
ケニーも、相手の異様さに気が付く。
(なんだ? こいつら?? 技量的に良くて、基本職のスカウトか。それに・・・子供!?)
ルナも、ケニーとほぼ同じタイミングでキラーコマンドの一人と斬り結ぶ。
「やぁああっ!!」
ルナは、身を翻して左手に装備している小型盾でキラーコマンドを殴り付ける。
小柄なキラーコマンドは、ルナの小型盾による打撃で吹き飛び、商店の壁にぶつかる。
「ぎゃっ!!」
壁に当たったキラーコマンドの一人は、悲鳴を上げると地面に蹲る。
キラーコマンドの悲鳴を聞いたルナが驚く。
「えっ!? 子供の声??」
キラーコマンドのリーダーのミランダは、蹲るキラーコマンドのメンバーを庇うように、ルナとメンバーの間に割って入る。
蹲るキラーコマンドのメンバーが口を開く。
「ミ、ミランダ! こいつら、強ぇえよ!!」
「グズグズするな! 引くよ!!」
ミランダは、蹲るメンバーを一喝すると、逆手にショートソードを持ってルナに対して身構える。
ルナは、その名前に聞き覚えがあった。
「ミランダって!? まさか!!」
ミランダは、懐から煙玉を取り出すと、ジカイラ達の前に投げ付ける。
投げられた黒い玉は、ジカイラ達の前の地面に当たると、轟音と共に周囲一帯に煙幕を発生させる。
煙玉が作った煙幕が晴れる頃、キラーコマンド達はジカイラ達の前から姿を消していた。
応援ありがとうございます!
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