上 下
174 / 177
第八章 野営訓練

第百六十話 野営訓練(五)

しおりを挟む
 アレクとルイーゼは風呂から上がり、アレクはルイーゼを背負ったまま、自分達のテントへ歩いて行った。

「よし、次行ってくるわ!」

 アルはそう言うと、鼻歌を歌いながら浴場へと向かう。

 裸になって浴場に入ったアルは、お湯で身体を流し木の樽の浴槽に浸かる。

「イテテ・・・。みるなぁ~」
 
 日焼けと海水により、アルの肌にピリピリとした痛みが走る。

 浴槽に浸かりながら、アルは中堅職である剣闘士グラディエーターへの転職を考えていた。

(父さんは、戦士から剣闘士グラディエーター転職クラスチェンジした。・・・オレにもできるはず!!)

 アルは、浴槽から上がり椅子に腰掛ける。

転職クラスチェンジできるかどうか、試してみるか・・・)

 アルが椅子に座って考え事をしていると、ナタリーが全裸で浴場に入って来る。

 アルが驚く。

「ナタリー!?」

 ナタリーは、タオルを手に、恥じらいながら答える。

「アルの背中、流しに来たの」

 そう言うと、ナタリーはお湯で身体を流し、木の樽の浴槽に浸かる。

 裸のナタリーを見て、アルは焦ってしどろもどろになる。

「いや、ホラ・・・。結婚もしてないのに・・・、その・・・一緒に・・・風呂とか・・・」

 焦るアルの姿を見て、ナタリーは口元に手を当てて悪戯っぽく笑う。

「アルって、真面目なのね」

「そ、そうかな?」

 アルは、後頭部を手で掻いて誤魔化す。 

 ナタリーは、浴槽の木の樽の縁に両手を置くと、その上に顎を乗せ、アルに話し掛ける。

「ねぇ、アル。聞いても良い?」

「良いよ」

「私の事、好き?」

「・・・好きだよ」

「私も。アルが好き」

「愛してる?」

「愛してる」

「・・・でも、毎晩、一緒に寝ているのに、アルは、私の事を抱こうとしないのね」

「それは・・・」

 アルは夜空を見上げると、ゆっくりと自分の考えを話し始める。

「オレが帝国軍人になって、自分んで稼げるようになって、父さんや母さんに頼らないで、自分の力でナタリーと子供を養えるようになってから、って考えているからさ」

「そうなんだ」

 ナタリーは、自分の哲学を語るアルの背中をうっとりと眺め、聞き入る。

「オレの父さんと母さんは帝国軍人(※注1)で、家も貧乏って訳じゃないけど、アレクみたいに小遣いで帝国プラチナ貨(※注2)をジャラジャラ持てるほど、大金持ちって訳でもない」
 
(※注1 帝国軍佐官 年俸700万円~1000万円相当)

(※注2 帝国プラチナ貨:一枚百万円相当)

「父さんや母さんを頼るんじゃなくて、ナタリーと子供は自分の力で幸せにしなきゃ・・・って思うんだ。一人の男としてね」

 アルは、普段は冗談を言ったり、ふざけたりしているものの、仲間やナタリーの事は、真剣に考えていた。

 アルの哲学を聞いて、ナタリーは微笑みながら答える。

「アル・・・、立派よ」




 ナタリーは浴槽から上がると、アルの後ろに跪く。

「じっとしててね」

 ナタリーは、石鹸を泡立てたタオルを手にアルの背中を擦り、流し始める。

 ナタリーがアルの背中をタオルで擦って洗っていると、ナタリーの胸がアルの背中に当たる。

 アルが気不味そうに告げる。

「あの・・・、ナタリー。当たっているんだけど」

「何が?」

「おっ●い」

 ナタリーは、微笑みながら答える。

「もぅ・・・、こうしちゃうから!!」

 ナタリーは、アルの背中に自分の胸を押し当て、後ろから抱き付く。

「いや・・・、ぷにゅって・・・」

「アルの背中って、広いわね」

「そう?」

 アルは、父ジカイラに似て筋骨隆々とした体格であり、肩幅も広かった。

 ナタリーがアルの前に回って跪くと、アルは焦りながら告げる。

「いや、前は、自分で洗うからいいよ!」

 ナタリーの前にアルのそそり勃つ男性器が現れる。

「ああっ! アル・・・、オチ●●ン、勃ってる!!」

 ナタリーの裸と胸の感触にアルの身体は反応していた。

 アルのそそり勃つ男性器を見たナタリーは、恥じらいながら男性器の根元を右手で握り、アルに告げる。
 
「いいの。・・・恥ずかしがらないで」

 そう言うと、ナタリーはアルの男性器を口で咥え、口淫をし始める。

 アルの男性器は、ナタリーの柔らかい肉壺に包まれて吸引され、男性器のエラが頬の内側に擦れ、舌先が裏筋と小帯を舐め上げる。

「・・・ふっ! ・・・ううっ!!」

 半時ほどで、アルはナタリーの口の中に射精する。

 ナタリーの口の中に脈を打って大量に濃い子種が出され、ナタリーは二回に分けてアルの子種を飲み込むが、むせて咳き込んでしまう。

「ぐっ・・・、うぷっ! ケホッ! ケホッ!」

 アルがナタリーを気遣う。

「ナタリー、大丈夫?」

 咳き込んで涙目のナタリーが答える。

「・・・大丈夫。あんまり濃くて、量が多いから。・・・むせちゃった。・・・ずっと、してなかったもんね」

 アルは、照れ臭そうに答える。

「そうだね」

 口淫を終えたナタリーは立ち上がると、アルの頭を自分の胸に抱き締める。

「アル・・・。私は、他の女の子にアルを取られたくない。ルイーゼは平気みたいだけど、私は嫌。・・・ずっと私だけを見ていて。・・・ずっと私の傍に居てね」

「ナタリー・・・」 




 満天の星空の下で、愛を語らう二人だけの世界には、さざ波の音だけが繰り返し響いていた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

年代記『中つ国の四つの宝玉にまつわる物語』

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:8

帝政デュッセル物語〜アビオニクス戦記

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:0

流浪の魔導師

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:78pt お気に入り:38

アスカニア大陸戦記 黒衣の剣士と氷の魔女【R-15】

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:42

ボールド国年代記 史上初3D作戦誕生で世界は平和になる?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:221pt お気に入り:6

ユウグラティス戦記

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:0

一基当千ゴーレムライダー ~十年かけても動かせないので自分で操縦します~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:67

モルリント王国戦記

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:83

処理中です...