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第五章 転機
第三十三話 クラスチェンジ
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アキックス、ヒマジン、ナナシ、エリシス、リリーの五人は首都ハーヴェルベルクの路地裏の小路を街の外へ向けて走っていた。
エリシスが微笑みながら言う。
「久々に面白いものが見れたわ。なかなかやるじゃない、あのボウヤ達。『大陸最強の竜騎士』と言われる貴方に剣を抜かせるなんて」
アキックスが答える。
「うむ。あの間合いを一気に詰めた踏み込みといい、速く重い一撃といい、実に素晴らしい。天賦の才だ」
ヒマジンも感想を言う。
「魔法騎士のオレはお前と違って近接戦専門じゃないからな。オレは胆が冷えたぜ? オレが切り結んだあの娘も只者じゃあない」
エリシスがウットリと話す。
「あの二人、攻撃も後退も息がピッタリだったわ。恋人同士かしら。素敵ね。ウフフ」
アキックスがエリシスに言う。
「かもしれん。見事な連携だった。しかし、帝国騎士の筆頭たる緋色の肩章が革命軍に居るとは解せん」
エリシスが微笑みながら話す。
「アキックス。あの二人を直接、鍛えたくなったんでしょ?」
「うむ」
エリシスが別れの言葉を口にする。
「それじゃ、名残惜しいけど、この辺で私達は帰るわ。今度は安酒場じゃなく、ルードシュタットの迎賓館にしてね。イケメンさん達、また会いましょう。行くわよ。リリー」
「はい」
そう言うと、エリシスとリリーの二人は路地裏の小路から、教会の尖塔の屋根までジャンプして飛んでいった。
その様子を見ていたヒマジンがアキックスに話し掛ける。
「・・・まさに人外だな」
「ああ」
アキックスがナナシに依頼をする。
「首都は転移魔法が使えない。すまんが、街の外まで頼む。シュタインベルガーをここに呼ぶ訳にもいかないのでな」
ヒマジンが苦笑いした。
「お前の相棒、古代竜なんて街に呼び寄せたら、大惨事になるだろ」
ナナシが口を開く。
「ここいらで良いだろう」
三人は立ち止まった。
ナナシが召喚魔法を唱える。
「Я приказываю своему слуге на основании договора с джинном.」
(我、魔神との契約に基づき、下僕に命じる。)
「Убирайся! Нижний дьявол!!」
(出でよ!下等悪魔!!)
ナナシの足元に一つ、頭上に三つの魔法陣が現れる。
ナナシの前に山羊の頭を持ち、四本の腕、蝙蝠のような翼を持った、赤黒い皮膚をした三体の下等悪魔が現れた。
三体の下等悪魔は、それぞれアキックス、ヒマジン、ナナシを抱えて飛び立ち、夜の空へと消えていった。
-----
--時間を戻した、首都ハーヴェルベルクの革命軍訓練所
ジカイラ、ハリッシュ、ケニー、ティナ、クリシュナ、ヒナの六人は、革命軍の命令によって訓練所へやってきた。
ハリッシュは訓練所の窓口で書類関係の手続きを行い、各人の書類を受け取ってきた。
ハリッシュが皆に説明する。
「軍の命令による訓練も経験値上げの訓練のようですから、中堅職への転職と一緒にやってしまったほうが良さそうです」
ジカイラが疑問を呈する。
「中堅職への転職って、どんな職になれば良いんだ?」
ハリッシュが説明する。
「基本的には現在の基本職の延長線上が良いでしょうね。戦士ならば戦士系の中堅職で。いきなり別の職種になれるほど能力値があれば別ですが」
ジカイラが軍隊手帳の職業のページを開いて、窓口の隣にある水晶の下に置く。
水晶に職業の名称の文字が浮かび上がる。
「オレが転職出来るのは、高地戦士か、剣闘士か」
ハリッシュが説明する。
「高地戦士は両手持ちの大剣使い、剣闘士は武器はほぼ全て扱えますね」
「扱える武器の制限が無いほうが良いな」
「なら、剣闘士ですね」
「あれ? 選択出来ないぞ??」
ハリッシュが水晶を覗き込む。
「ああ、文字が薄くなってます。ちょっと能力値が足りないようですね」
ジカイラが困惑する。
「おい! 足りないって、どうすんだよ!?」
ハリッシュが説明する。
「訓練するしかないですね。あそこに戦士系の訓練場所があるので行って補習訓練してきて下さい」
「補習かよ!? ・・・しょうがねぇな。行ってくるわ」
そう言うと、ジカイラは訓練場所へ行った。
ハリッシュとヒナは無事に中堅職の魔導師に転職出来た。
クリシュナも無事に召喚士に転職出来た。
ティナは高位僧侶へ転職するための能力値が足りなかった。
「ええッ!? 私も補習!?」
ティナはハリッシュに神官系の訓練場所に行くように促され、しぶしぶ向かった。
ケニーは、水晶に盗賊と暗殺者の文字が浮かび上がった。
「僕は、攻撃力を上げて小隊に貢献したいんだよね」
ケニーの要望にハリッシュが説明する。
「なら、暗殺者ですね」
ハリッシュの説明を受けて、ケニーは暗殺者を選択しようとしたが、文字が薄くなっていて選択出来なかった。
「僕も補習か・・・」
ケニーも肩を落として盗賊系の訓練場所に向かった。
結局、全員が転職と訓練が終わったのは、夜になってからであった。
-----
宿舎に小隊全員が集まった時には、夜になっていた。
ラインハルトとナナイは、他の小隊メンバーに斬り合ったローブの男達の事を話す。
訓練所に行っていた六人は驚きの声を上げた。
「「竜騎士!?」」
ラインハルトは淡々と答える。
「ああ。私の居合の斬撃を剣で受け止めた。その時に竜紋の籠手が見えた。あれは間違いない。竜騎士だ」
ハリッシュが竜騎士について解説し始めた。
「竜騎士は、火炎を吐く飛竜を駆り、戦場を縦横無尽に巡る強力な上級職です。中でも帝国竜騎兵団の団長は古代竜を駆る竜騎士という事で有名です。」
ハリッシュは自分なりに分析した結果を話す。
「革命軍に竜騎士は居ませんから、間違いなく帝国騎士ですね。帝国軍ですよ。しかし、竜騎士が所属する帝国竜騎兵団は北部方面軍の中核として、はるか北方に展開しているはず。彼等が首都で一体、何を??」
ラインハルトが答える。
「それは判らない」
ティナがナナイに質問する。
「ナナイが斬り合った相手はどうだったの?」
ナナイが自分が斬り合った相手の印象を語る。
「魔法騎士みたいだったわ。盾は持っていなかったし、指輪をいくつかしていた様だったから」
クリシュナが上を向いて考えを巡らせる。
「確かに。指輪をする騎士って、魔法騎士くらいしか無いわよね? うーん・・・」
ハリッシュが再び口を開く。
「革命軍に魔法騎士は居ませんから、やはり彼等は帝国軍ですね」
ラインハルトが補足説明する。
「他にドレスの女が二人と、正体不明のローブの男が一人居た。きっと彼等も上級職の軍人だと思う」
ジカイラが感嘆する。
「すげぇな。オレ達が補習訓練や転職している間に、二人はそんな凄い奴等とやりあっていたのか」
ラインハルトとナナイは、ジカイラの言葉にお互いに顔を見合わせ苦笑いする。
流石に「皆が訓練や転職している時にナナイと二人きりで一日中デートしていました」とは言いづらかったので、話題を変えようとラインハルトは六人に尋ねた。
「六人は無事に転職できたのか?」
ジカイラが得意気に答える。
「おうよ。剣闘士になったぜ」
転職した他の五人も口々に自分の職業を挙げた。
ジカイラが意気込みを語る。
「あー、早く実戦で試したい」
ラインハルトは苦笑いする。
「けど、しばらく休暇だろうな」
エリシスが微笑みながら言う。
「久々に面白いものが見れたわ。なかなかやるじゃない、あのボウヤ達。『大陸最強の竜騎士』と言われる貴方に剣を抜かせるなんて」
アキックスが答える。
「うむ。あの間合いを一気に詰めた踏み込みといい、速く重い一撃といい、実に素晴らしい。天賦の才だ」
ヒマジンも感想を言う。
「魔法騎士のオレはお前と違って近接戦専門じゃないからな。オレは胆が冷えたぜ? オレが切り結んだあの娘も只者じゃあない」
エリシスがウットリと話す。
「あの二人、攻撃も後退も息がピッタリだったわ。恋人同士かしら。素敵ね。ウフフ」
アキックスがエリシスに言う。
「かもしれん。見事な連携だった。しかし、帝国騎士の筆頭たる緋色の肩章が革命軍に居るとは解せん」
エリシスが微笑みながら話す。
「アキックス。あの二人を直接、鍛えたくなったんでしょ?」
「うむ」
エリシスが別れの言葉を口にする。
「それじゃ、名残惜しいけど、この辺で私達は帰るわ。今度は安酒場じゃなく、ルードシュタットの迎賓館にしてね。イケメンさん達、また会いましょう。行くわよ。リリー」
「はい」
そう言うと、エリシスとリリーの二人は路地裏の小路から、教会の尖塔の屋根までジャンプして飛んでいった。
その様子を見ていたヒマジンがアキックスに話し掛ける。
「・・・まさに人外だな」
「ああ」
アキックスがナナシに依頼をする。
「首都は転移魔法が使えない。すまんが、街の外まで頼む。シュタインベルガーをここに呼ぶ訳にもいかないのでな」
ヒマジンが苦笑いした。
「お前の相棒、古代竜なんて街に呼び寄せたら、大惨事になるだろ」
ナナシが口を開く。
「ここいらで良いだろう」
三人は立ち止まった。
ナナシが召喚魔法を唱える。
「Я приказываю своему слуге на основании договора с джинном.」
(我、魔神との契約に基づき、下僕に命じる。)
「Убирайся! Нижний дьявол!!」
(出でよ!下等悪魔!!)
ナナシの足元に一つ、頭上に三つの魔法陣が現れる。
ナナシの前に山羊の頭を持ち、四本の腕、蝙蝠のような翼を持った、赤黒い皮膚をした三体の下等悪魔が現れた。
三体の下等悪魔は、それぞれアキックス、ヒマジン、ナナシを抱えて飛び立ち、夜の空へと消えていった。
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--時間を戻した、首都ハーヴェルベルクの革命軍訓練所
ジカイラ、ハリッシュ、ケニー、ティナ、クリシュナ、ヒナの六人は、革命軍の命令によって訓練所へやってきた。
ハリッシュは訓練所の窓口で書類関係の手続きを行い、各人の書類を受け取ってきた。
ハリッシュが皆に説明する。
「軍の命令による訓練も経験値上げの訓練のようですから、中堅職への転職と一緒にやってしまったほうが良さそうです」
ジカイラが疑問を呈する。
「中堅職への転職って、どんな職になれば良いんだ?」
ハリッシュが説明する。
「基本的には現在の基本職の延長線上が良いでしょうね。戦士ならば戦士系の中堅職で。いきなり別の職種になれるほど能力値があれば別ですが」
ジカイラが軍隊手帳の職業のページを開いて、窓口の隣にある水晶の下に置く。
水晶に職業の名称の文字が浮かび上がる。
「オレが転職出来るのは、高地戦士か、剣闘士か」
ハリッシュが説明する。
「高地戦士は両手持ちの大剣使い、剣闘士は武器はほぼ全て扱えますね」
「扱える武器の制限が無いほうが良いな」
「なら、剣闘士ですね」
「あれ? 選択出来ないぞ??」
ハリッシュが水晶を覗き込む。
「ああ、文字が薄くなってます。ちょっと能力値が足りないようですね」
ジカイラが困惑する。
「おい! 足りないって、どうすんだよ!?」
ハリッシュが説明する。
「訓練するしかないですね。あそこに戦士系の訓練場所があるので行って補習訓練してきて下さい」
「補習かよ!? ・・・しょうがねぇな。行ってくるわ」
そう言うと、ジカイラは訓練場所へ行った。
ハリッシュとヒナは無事に中堅職の魔導師に転職出来た。
クリシュナも無事に召喚士に転職出来た。
ティナは高位僧侶へ転職するための能力値が足りなかった。
「ええッ!? 私も補習!?」
ティナはハリッシュに神官系の訓練場所に行くように促され、しぶしぶ向かった。
ケニーは、水晶に盗賊と暗殺者の文字が浮かび上がった。
「僕は、攻撃力を上げて小隊に貢献したいんだよね」
ケニーの要望にハリッシュが説明する。
「なら、暗殺者ですね」
ハリッシュの説明を受けて、ケニーは暗殺者を選択しようとしたが、文字が薄くなっていて選択出来なかった。
「僕も補習か・・・」
ケニーも肩を落として盗賊系の訓練場所に向かった。
結局、全員が転職と訓練が終わったのは、夜になってからであった。
-----
宿舎に小隊全員が集まった時には、夜になっていた。
ラインハルトとナナイは、他の小隊メンバーに斬り合ったローブの男達の事を話す。
訓練所に行っていた六人は驚きの声を上げた。
「「竜騎士!?」」
ラインハルトは淡々と答える。
「ああ。私の居合の斬撃を剣で受け止めた。その時に竜紋の籠手が見えた。あれは間違いない。竜騎士だ」
ハリッシュが竜騎士について解説し始めた。
「竜騎士は、火炎を吐く飛竜を駆り、戦場を縦横無尽に巡る強力な上級職です。中でも帝国竜騎兵団の団長は古代竜を駆る竜騎士という事で有名です。」
ハリッシュは自分なりに分析した結果を話す。
「革命軍に竜騎士は居ませんから、間違いなく帝国騎士ですね。帝国軍ですよ。しかし、竜騎士が所属する帝国竜騎兵団は北部方面軍の中核として、はるか北方に展開しているはず。彼等が首都で一体、何を??」
ラインハルトが答える。
「それは判らない」
ティナがナナイに質問する。
「ナナイが斬り合った相手はどうだったの?」
ナナイが自分が斬り合った相手の印象を語る。
「魔法騎士みたいだったわ。盾は持っていなかったし、指輪をいくつかしていた様だったから」
クリシュナが上を向いて考えを巡らせる。
「確かに。指輪をする騎士って、魔法騎士くらいしか無いわよね? うーん・・・」
ハリッシュが再び口を開く。
「革命軍に魔法騎士は居ませんから、やはり彼等は帝国軍ですね」
ラインハルトが補足説明する。
「他にドレスの女が二人と、正体不明のローブの男が一人居た。きっと彼等も上級職の軍人だと思う」
ジカイラが感嘆する。
「すげぇな。オレ達が補習訓練や転職している間に、二人はそんな凄い奴等とやりあっていたのか」
ラインハルトとナナイは、ジカイラの言葉にお互いに顔を見合わせ苦笑いする。
流石に「皆が訓練や転職している時にナナイと二人きりで一日中デートしていました」とは言いづらかったので、話題を変えようとラインハルトは六人に尋ねた。
「六人は無事に転職できたのか?」
ジカイラが得意気に答える。
「おうよ。剣闘士になったぜ」
転職した他の五人も口々に自分の職業を挙げた。
ジカイラが意気込みを語る。
「あー、早く実戦で試したい」
ラインハルトは苦笑いする。
「けど、しばらく休暇だろうな」
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