79 / 89
北方動乱
第七十九話 退去勧告受諾、捕虜交換
しおりを挟む
--翌日。
帝国軍の宿営地にカスパニア軍とスベリエ軍の軍使が訪れ、帝国軍からの退去勧告を受け入れる旨が伝えられる。
ただし、両軍ともゴズフレズ王国からの完全撤退までに一週間程度の時間的猶予を求めていた。
『冬の積雪のため、部隊や物資の移動に時間が掛かる』との理由であった。
ニーベルンゲンの艦橋で士官から報告を受けたジークは、カスパニア軍とスベリエ軍からの完全撤退までの時間的猶予の求めに応じる。
「致し方あるまい。両軍の軍使に『帝国は一週間の猶予を認める』と伝えろ」
「了解致しました」
ジークが報告に来た士官に尋ねる。
「カスパニア軍は『捕虜交換』に応じると言っていたか?」
「カスパニアの軍使は、そう言ってました」
「・・・そうか」
そう告げるとジークは、ニーベルンゲンの艦橋の窓から地上のスベリエ軍陣地とカスパニア軍陣地を見下ろす。
カスパニア軍も、スベリエ軍も、兵士達が本国へ撤退するための荷造りを行っている様子が伺えた。
帝国四魔将達がニーベルンゲンの艦橋にやって来る。
アキックスが口を開く。
「殿下。こちらでしたか」
ジークが答える。
「ああ。・・・カスパニアも、スベリエも、帝国からの退去勧告に応じるとの事だ」
アキックスが微笑みを浮かべる。
「ほう? 左様ですか」
ヒマジンが口を開く。
「両軍とも、我が軍の威嚇飛行を見て、肝を潰したようですな。・・・我々が帝都からゴズフレズに来て、翌日早々に解決とは。・・・ちょっと手応え無さ過ぎです」
ジークは苦笑いしながら答える。
「・・・まぁ、カスパニアは、捕虜交換にも応じるようだ。無駄な血が流れなかっただけ、良かったとしよう」
ナナシが口を開く。
「エリシス。カスパニアの王太子は、口を割ったのか? 奴らは、どうやって鶏蛇や食人鬼を手に入れたのだ?」
エリシスが答える。
「・・・カスパニアは、新大陸のダークエルフと取引して鶏蛇や食人鬼を手に入れたそうよ」
ナナシが呟く。
「・・・やはり、ダークエルフか」
アキックスが呟く。
「・・・恐らく、スベリエ側もそうだろう」
ナナシが唾棄するように告げる。
「人間の国と取引して妖魔を売り渡し、人間の国同士を互いに争わせるとは。・・・狡猾な奴らだ」
ジークが口を開く。
「ゴズフレズを巡る北方の動乱は、もうすぐ終わるだろう。・・・次にダークエルフはどう動くか」
アキックス伯爵は、不敵な笑みを浮かべる。
「なぁに。新大陸からダークエルフが出張って来たなら、我々が叩き潰すまでですよ。殿下」
ジークは笑い声を漏らす。
「確かに。その通りだな」
その日の午後、カスパニア軍とバレンシュテット帝国軍の間で『捕虜交換』が執り行われた。
カスパニア軍側は、レイドリックがカスパニア全権を務め、帝国側からはジークが全権として捕虜交換に立ち会う。
カスパニアの王太子カロカロは、以前、港湾自治都市群でジカイラ達に捕まった事があり、今回、エリシス達に捕まった事で、カロカロが帝国軍の捕虜になるのは二回目であった。
カスパニア軍に捕まっていたゴズフレズの人々が、リベから帝国軍の宿営地に向かって長蛇の列で歩いて来る。
釈放されたカロカロ、イナ・トモ、アルシエ・ベルサードの三人が、帝国軍の宿営地からカスパニア軍陣地に向かって歩いていく。
帝国軍の宿営地から警戒線まで、帝国不死兵団の不死者達が三人が通れるように道を空ける。
三人は、空けた道の両側に群がる不死者達に戦々恐々としながら歩いて行く。
ジークと帝国四魔将達がカロカロ、イナ・トモ、アルシエ・ベルサードの三人を見送る。
エリシスが去って行く三人に愛嬌良く手を振るが、三人は無言のまま、恐怖に引きつった顔でエリシスを一瞥する。
エリシスが呟く。
「・・・これで一件、落着ね」
アキックスが答える。
「・・・だと、良いが」
アキックスの懸念は、後ほど現実のものとなる。
--夜。 スベリエ本国 王都ガムラ・スタン 王城
スベリエ王国の国王、フェルディナント・ヨハン・スベリエは、王城の謁見の間で前線指揮官であるオクセンシェルナ伯爵からの緊急の伝令が携えてきた報告書を受け取る。
羊皮紙に綴られた報告書に目を通すフェルディナント国王の顔が強張る。
(あの百戦錬磨の勇将であるオクセンシェルナ伯爵が『ゴズフレズからの撤退』を主張するとはな・・・)
王太子のアルムフェルトが顔色を伺う。
「・・・父上、如何されました?」
したり顔でフェルディナント国王が答える。
「我が国のゴズフレズ派遣軍は、バレンシュテット帝国からの退去勧告を受け入れ、ゴズフレズから無条件で撤退するとのことだ」
王太子のアルムフェルトが素っ頓狂な声で尋ねる。
「は? 我がスベリエ王国の地上軍九万は、ほぼ無傷だったのでは? 何故、無条件で撤退を??」
「前線の指揮官であるオクセンシェルナ伯爵の判断だ」
「まさか、父上。伯爵の独断での撤退を許すつもりですか?」
「もちろん、許す。・・・オクセンシェルナ伯爵は勇将だ。前線での指揮を伯爵に任せている。・・・その伯爵が帝国からの退去勧告を受け入れ、無条件で撤退する判断をしたのだ。何か、理由があるのだろう」
王太子のアルムフェルトが異議を唱える。
「・・・納得できません。これではカスパニアと戦って死んだ兵は、無駄死にではありませんか」
そう告げると、アルムフェルトは謁見の間から去って行った。
去って行くアルムフェルトの後姿を見て、フェルディナント国王は想いを巡らせる。
(・・・せめて、あの愚息に帝国の皇太子の十分の一の才覚でもあったなら・・・)
王太子のアルムフェルトは、王城から馬車で飛行場へ向かう。
飛行場に着いたアルムフェルトは、飛行場に停泊している飛行艦隊の旗艦に乗り込むと、艦長に向かって告げる。
「飛行艦隊、出撃するぞ」
驚いた艦長が聞き返す。
「殿下、どちらへ向かわれるのですか?」
アルムフェルトが告げる。
「目標は、ゴズフレズ中部の都市ブナレスだ。行くぞ!!」
スベリエ軍の飛行艦隊は、王都ガムラ・スタンの飛行場からゴズフレズ中部の都市ブナレスを目指して出撃する。
帝国軍の宿営地にカスパニア軍とスベリエ軍の軍使が訪れ、帝国軍からの退去勧告を受け入れる旨が伝えられる。
ただし、両軍ともゴズフレズ王国からの完全撤退までに一週間程度の時間的猶予を求めていた。
『冬の積雪のため、部隊や物資の移動に時間が掛かる』との理由であった。
ニーベルンゲンの艦橋で士官から報告を受けたジークは、カスパニア軍とスベリエ軍からの完全撤退までの時間的猶予の求めに応じる。
「致し方あるまい。両軍の軍使に『帝国は一週間の猶予を認める』と伝えろ」
「了解致しました」
ジークが報告に来た士官に尋ねる。
「カスパニア軍は『捕虜交換』に応じると言っていたか?」
「カスパニアの軍使は、そう言ってました」
「・・・そうか」
そう告げるとジークは、ニーベルンゲンの艦橋の窓から地上のスベリエ軍陣地とカスパニア軍陣地を見下ろす。
カスパニア軍も、スベリエ軍も、兵士達が本国へ撤退するための荷造りを行っている様子が伺えた。
帝国四魔将達がニーベルンゲンの艦橋にやって来る。
アキックスが口を開く。
「殿下。こちらでしたか」
ジークが答える。
「ああ。・・・カスパニアも、スベリエも、帝国からの退去勧告に応じるとの事だ」
アキックスが微笑みを浮かべる。
「ほう? 左様ですか」
ヒマジンが口を開く。
「両軍とも、我が軍の威嚇飛行を見て、肝を潰したようですな。・・・我々が帝都からゴズフレズに来て、翌日早々に解決とは。・・・ちょっと手応え無さ過ぎです」
ジークは苦笑いしながら答える。
「・・・まぁ、カスパニアは、捕虜交換にも応じるようだ。無駄な血が流れなかっただけ、良かったとしよう」
ナナシが口を開く。
「エリシス。カスパニアの王太子は、口を割ったのか? 奴らは、どうやって鶏蛇や食人鬼を手に入れたのだ?」
エリシスが答える。
「・・・カスパニアは、新大陸のダークエルフと取引して鶏蛇や食人鬼を手に入れたそうよ」
ナナシが呟く。
「・・・やはり、ダークエルフか」
アキックスが呟く。
「・・・恐らく、スベリエ側もそうだろう」
ナナシが唾棄するように告げる。
「人間の国と取引して妖魔を売り渡し、人間の国同士を互いに争わせるとは。・・・狡猾な奴らだ」
ジークが口を開く。
「ゴズフレズを巡る北方の動乱は、もうすぐ終わるだろう。・・・次にダークエルフはどう動くか」
アキックス伯爵は、不敵な笑みを浮かべる。
「なぁに。新大陸からダークエルフが出張って来たなら、我々が叩き潰すまでですよ。殿下」
ジークは笑い声を漏らす。
「確かに。その通りだな」
その日の午後、カスパニア軍とバレンシュテット帝国軍の間で『捕虜交換』が執り行われた。
カスパニア軍側は、レイドリックがカスパニア全権を務め、帝国側からはジークが全権として捕虜交換に立ち会う。
カスパニアの王太子カロカロは、以前、港湾自治都市群でジカイラ達に捕まった事があり、今回、エリシス達に捕まった事で、カロカロが帝国軍の捕虜になるのは二回目であった。
カスパニア軍に捕まっていたゴズフレズの人々が、リベから帝国軍の宿営地に向かって長蛇の列で歩いて来る。
釈放されたカロカロ、イナ・トモ、アルシエ・ベルサードの三人が、帝国軍の宿営地からカスパニア軍陣地に向かって歩いていく。
帝国軍の宿営地から警戒線まで、帝国不死兵団の不死者達が三人が通れるように道を空ける。
三人は、空けた道の両側に群がる不死者達に戦々恐々としながら歩いて行く。
ジークと帝国四魔将達がカロカロ、イナ・トモ、アルシエ・ベルサードの三人を見送る。
エリシスが去って行く三人に愛嬌良く手を振るが、三人は無言のまま、恐怖に引きつった顔でエリシスを一瞥する。
エリシスが呟く。
「・・・これで一件、落着ね」
アキックスが答える。
「・・・だと、良いが」
アキックスの懸念は、後ほど現実のものとなる。
--夜。 スベリエ本国 王都ガムラ・スタン 王城
スベリエ王国の国王、フェルディナント・ヨハン・スベリエは、王城の謁見の間で前線指揮官であるオクセンシェルナ伯爵からの緊急の伝令が携えてきた報告書を受け取る。
羊皮紙に綴られた報告書に目を通すフェルディナント国王の顔が強張る。
(あの百戦錬磨の勇将であるオクセンシェルナ伯爵が『ゴズフレズからの撤退』を主張するとはな・・・)
王太子のアルムフェルトが顔色を伺う。
「・・・父上、如何されました?」
したり顔でフェルディナント国王が答える。
「我が国のゴズフレズ派遣軍は、バレンシュテット帝国からの退去勧告を受け入れ、ゴズフレズから無条件で撤退するとのことだ」
王太子のアルムフェルトが素っ頓狂な声で尋ねる。
「は? 我がスベリエ王国の地上軍九万は、ほぼ無傷だったのでは? 何故、無条件で撤退を??」
「前線の指揮官であるオクセンシェルナ伯爵の判断だ」
「まさか、父上。伯爵の独断での撤退を許すつもりですか?」
「もちろん、許す。・・・オクセンシェルナ伯爵は勇将だ。前線での指揮を伯爵に任せている。・・・その伯爵が帝国からの退去勧告を受け入れ、無条件で撤退する判断をしたのだ。何か、理由があるのだろう」
王太子のアルムフェルトが異議を唱える。
「・・・納得できません。これではカスパニアと戦って死んだ兵は、無駄死にではありませんか」
そう告げると、アルムフェルトは謁見の間から去って行った。
去って行くアルムフェルトの後姿を見て、フェルディナント国王は想いを巡らせる。
(・・・せめて、あの愚息に帝国の皇太子の十分の一の才覚でもあったなら・・・)
王太子のアルムフェルトは、王城から馬車で飛行場へ向かう。
飛行場に着いたアルムフェルトは、飛行場に停泊している飛行艦隊の旗艦に乗り込むと、艦長に向かって告げる。
「飛行艦隊、出撃するぞ」
驚いた艦長が聞き返す。
「殿下、どちらへ向かわれるのですか?」
アルムフェルトが告げる。
「目標は、ゴズフレズ中部の都市ブナレスだ。行くぞ!!」
スベリエ軍の飛行艦隊は、王都ガムラ・スタンの飛行場からゴズフレズ中部の都市ブナレスを目指して出撃する。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる