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北方動乱
第四十三話 帝国軍総旗艦ニーベルンゲン
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ジークとソフィアは、王城の礼拝堂からニーベルンゲンに戻ると艦橋に向かう。
先に飛空艇で戻っていたアストリッドとフェリシア、カリンと老執事の四人がニーベルンゲンの艦橋でジークとソフィアが戻って来るのを待っていた。
艦橋に着いたジークが艦長のアルケットに話し掛ける。
「艦長、戻ったぞ。 艦を出せ!!」
「殿下、御無事でしたか。・・・判りました」
アルケットは、艦橋の士官達に次々と指示を出す。
「全方位に威嚇射撃! 斉射三連!!」
「スベリエの飛行艦隊に手旗信号を送れ。『本艦は、戦闘空域から退避する。進路を開けられたし』だ」
ひと通り指示を出し終えたアルケットがジークに尋ねる。
「殿下。進路はどちらに向けますか?」
「ティティスへ向かえ」
「判りました」
アルケットが艦橋に通る声で士官達に指示する。
「ニーベルンゲン、発進準備! 発艦手順に掛かれ!!」
艦橋の航法士官達がアルケットの指示を復唱しながらニーベルンゲンの発艦手順をこなしていく。
「了解! 魔力水晶、共振。異常無し。臨界を維持。供給弁、開きます」
「魔力供給確認。魔導発動機、始動。出力臨界まで、あと少し」
「水平安定機構、異常なし。仰角プラスマイナスゼロ。現状を維持」
「浮遊水晶、異常なし。高度100。そのまま」
「艦首旋回補助機構、異常なし。旋回角ゼロ。現状を維持」
「魔導発動機、出力臨界。動力供給、開始」
「動力供給確認、勢車接続」
発艦手順の進捗をじっと聞いていたアルケットが、号令を出す。
「ニーベルンゲン、発進! 進路、ゴズフレズ北部、ティティス!!」
バレンシュテット帝国軍総旗艦ニーベルンゲンは、その純白の巨大な艦体をティティスに向けて航行を開始した。
アレク達ユニコーン小隊は、ティティス上空の飛行空母ユニコーン・ゼロから王都ハフニアへ向けて飛空艇で飛んでいた。
アレク達は、半時ほどでハフニアの上空にたどり着く。
ゴズフレズ王国の王都ハフニアの上空に到達したアレク達が目にしたのは、大型の戦闘飛行船二十隻からなるスベリエ王国の飛行艦隊と、その飛行艦隊による砲撃を受けて炎上する王城。飛行艦隊の真っ只中に滞空しているバレンシュテット帝国軍総旗艦ニーベルンゲンの純白の巨大な艦体であった。
ニーベルンゲンを見たアルが口を開く。
「スゲェ! スベリエの大型戦闘飛行船が小さく見える!!」
ナタリーも口を開く。
「あの白い大きな艦、帝国軍の飛行戦艦だよね」
アレク達は、戦闘に巻き込まれないように編隊の飛行高度を上げる。
上空からスベリエの飛行艦隊と王城に籠るゴズフレズ軍が戦闘している様子を見ながらアレクが口を開く。
「遅かったか!?」
ルイーゼが答える。
「どうかしら?」
突然、ジーク達の乗る飛行戦艦ニーベルンゲンが周囲に向けて連続三回の威嚇射撃を行う。
アレクが驚きを口にする。
「ニーベルンゲンが撃った!?」
「ええっ!?」
ニーベルンゲンが射撃した砲弾は、全て空中で爆発し、周囲で戦闘中のスベリエの飛行艦隊を威嚇する。
砲弾が空中で炸裂して爆発するのを見たアレクは、少し安堵する。
「砲弾が全て空中で爆発!? ・・・威嚇射撃か!!」
王都ハフニアの上空に滞空する巨大な飛行戦艦であるニーベルンゲンから、突然、威嚇射撃を受けたスベリエ飛行艦隊は驚愕し、ゴズフレズの王城への攻撃を中断する。
ニーベルンゲンは、ティティスの方角に艦首を向けると、スベリエ飛行艦隊の間を突っ切る形でゆっくりと航行を始める。
艦隊行動するため、陣形を組んでいたスベリエの大型戦闘飛行船は、ニーベルンゲンから逃げるように移動して航路を開けていく。
スベリエ飛行艦隊を分断して押し進む純白のニーベルンゲンの勇姿は、まさにバレンシュテット帝国の力の象徴であった。
アレクが呟く。
「ニーベルンゲンが・・・動いた!?」
ルイーゼは、動き始めたニーベルンゲンを望遠鏡で観察する。
「アレク。ニーベルンゲンが手旗信号を上げているわ」
「手旗信号!? なんて上げているんだ??」
「『本艦は、戦闘空域から退避する。進路を開けられたし』よ」
アレクが呟く。
「戦闘空域から退避?」
アレクは、乏しい情報の中で必死に状況を考える。
(何故、退避する? ニーベルンゲンは帝国最大最強の飛行戦艦。スベリエの飛行艦隊なんて、何隻いても一方的に叩き潰せるはず。どういう事なんだ?? ゴズフレズの王女は? 兄上は既に何か、行動されたのか? ・・・判らない)
意を決したアレクは、ルイーゼに告げる。
「ルイーゼ。ニーベルンゲンに着艦する。手旗信号を!」
「了解!」
アレク達は、ニーベルンゲンに飛空艇の編隊を寄せて手旗信号で着艦許可を求めると、ニーベルンゲンから後部甲板への着艦許可が出る。
アレク達は、飛空艇の高度を下げてニーベルンゲンの後部甲板に着艦する。
ニーベルンゲンに着艦したアレク達は、士官によって応接室に案内される。
アレクとルイーゼ以外の小隊のメンバー達は、応接室へ向かう途上、飛行空母より遥かに豪華なニーベルンゲンの内装を見て、落ち着かない様子であった。
エルザが不安げにアレクに寄り添いながら尋ねる。
「ちょっと! ちょっと! アレク!! この艦、飛行空母より豪華で、まるで宮殿みたいよ!? 大丈夫なんでしょうね? 大丈夫なんでしょうね??」
アレクが苦笑いしながら答える。
「大丈夫だよ」
不安を口にするエルザにトゥルムが続く。
「この白い戦艦は、皇帝座乗艦ではないのか? 噂でしか、聞いた事はないが・・・」
ドミトリーも同様であった。
「恐らく、『白い死神』とよばれる帝国軍の総旗艦だろう。だとしたら、乗っているのは、皇帝陛下か、皇族ではないのか?」
小隊の皆がしている話を聞きながら、ルイーゼは、考えていた。
(皇帝陛下が乗っているのなら、これ一隻で航行するはずがない。だとしたら・・・)
アレク達は応接室に通されると、案内の士官が告げる。
「こちらでお待ち下さい」
先に飛空艇で戻っていたアストリッドとフェリシア、カリンと老執事の四人がニーベルンゲンの艦橋でジークとソフィアが戻って来るのを待っていた。
艦橋に着いたジークが艦長のアルケットに話し掛ける。
「艦長、戻ったぞ。 艦を出せ!!」
「殿下、御無事でしたか。・・・判りました」
アルケットは、艦橋の士官達に次々と指示を出す。
「全方位に威嚇射撃! 斉射三連!!」
「スベリエの飛行艦隊に手旗信号を送れ。『本艦は、戦闘空域から退避する。進路を開けられたし』だ」
ひと通り指示を出し終えたアルケットがジークに尋ねる。
「殿下。進路はどちらに向けますか?」
「ティティスへ向かえ」
「判りました」
アルケットが艦橋に通る声で士官達に指示する。
「ニーベルンゲン、発進準備! 発艦手順に掛かれ!!」
艦橋の航法士官達がアルケットの指示を復唱しながらニーベルンゲンの発艦手順をこなしていく。
「了解! 魔力水晶、共振。異常無し。臨界を維持。供給弁、開きます」
「魔力供給確認。魔導発動機、始動。出力臨界まで、あと少し」
「水平安定機構、異常なし。仰角プラスマイナスゼロ。現状を維持」
「浮遊水晶、異常なし。高度100。そのまま」
「艦首旋回補助機構、異常なし。旋回角ゼロ。現状を維持」
「魔導発動機、出力臨界。動力供給、開始」
「動力供給確認、勢車接続」
発艦手順の進捗をじっと聞いていたアルケットが、号令を出す。
「ニーベルンゲン、発進! 進路、ゴズフレズ北部、ティティス!!」
バレンシュテット帝国軍総旗艦ニーベルンゲンは、その純白の巨大な艦体をティティスに向けて航行を開始した。
アレク達ユニコーン小隊は、ティティス上空の飛行空母ユニコーン・ゼロから王都ハフニアへ向けて飛空艇で飛んでいた。
アレク達は、半時ほどでハフニアの上空にたどり着く。
ゴズフレズ王国の王都ハフニアの上空に到達したアレク達が目にしたのは、大型の戦闘飛行船二十隻からなるスベリエ王国の飛行艦隊と、その飛行艦隊による砲撃を受けて炎上する王城。飛行艦隊の真っ只中に滞空しているバレンシュテット帝国軍総旗艦ニーベルンゲンの純白の巨大な艦体であった。
ニーベルンゲンを見たアルが口を開く。
「スゲェ! スベリエの大型戦闘飛行船が小さく見える!!」
ナタリーも口を開く。
「あの白い大きな艦、帝国軍の飛行戦艦だよね」
アレク達は、戦闘に巻き込まれないように編隊の飛行高度を上げる。
上空からスベリエの飛行艦隊と王城に籠るゴズフレズ軍が戦闘している様子を見ながらアレクが口を開く。
「遅かったか!?」
ルイーゼが答える。
「どうかしら?」
突然、ジーク達の乗る飛行戦艦ニーベルンゲンが周囲に向けて連続三回の威嚇射撃を行う。
アレクが驚きを口にする。
「ニーベルンゲンが撃った!?」
「ええっ!?」
ニーベルンゲンが射撃した砲弾は、全て空中で爆発し、周囲で戦闘中のスベリエの飛行艦隊を威嚇する。
砲弾が空中で炸裂して爆発するのを見たアレクは、少し安堵する。
「砲弾が全て空中で爆発!? ・・・威嚇射撃か!!」
王都ハフニアの上空に滞空する巨大な飛行戦艦であるニーベルンゲンから、突然、威嚇射撃を受けたスベリエ飛行艦隊は驚愕し、ゴズフレズの王城への攻撃を中断する。
ニーベルンゲンは、ティティスの方角に艦首を向けると、スベリエ飛行艦隊の間を突っ切る形でゆっくりと航行を始める。
艦隊行動するため、陣形を組んでいたスベリエの大型戦闘飛行船は、ニーベルンゲンから逃げるように移動して航路を開けていく。
スベリエ飛行艦隊を分断して押し進む純白のニーベルンゲンの勇姿は、まさにバレンシュテット帝国の力の象徴であった。
アレクが呟く。
「ニーベルンゲンが・・・動いた!?」
ルイーゼは、動き始めたニーベルンゲンを望遠鏡で観察する。
「アレク。ニーベルンゲンが手旗信号を上げているわ」
「手旗信号!? なんて上げているんだ??」
「『本艦は、戦闘空域から退避する。進路を開けられたし』よ」
アレクが呟く。
「戦闘空域から退避?」
アレクは、乏しい情報の中で必死に状況を考える。
(何故、退避する? ニーベルンゲンは帝国最大最強の飛行戦艦。スベリエの飛行艦隊なんて、何隻いても一方的に叩き潰せるはず。どういう事なんだ?? ゴズフレズの王女は? 兄上は既に何か、行動されたのか? ・・・判らない)
意を決したアレクは、ルイーゼに告げる。
「ルイーゼ。ニーベルンゲンに着艦する。手旗信号を!」
「了解!」
アレク達は、ニーベルンゲンに飛空艇の編隊を寄せて手旗信号で着艦許可を求めると、ニーベルンゲンから後部甲板への着艦許可が出る。
アレク達は、飛空艇の高度を下げてニーベルンゲンの後部甲板に着艦する。
ニーベルンゲンに着艦したアレク達は、士官によって応接室に案内される。
アレクとルイーゼ以外の小隊のメンバー達は、応接室へ向かう途上、飛行空母より遥かに豪華なニーベルンゲンの内装を見て、落ち着かない様子であった。
エルザが不安げにアレクに寄り添いながら尋ねる。
「ちょっと! ちょっと! アレク!! この艦、飛行空母より豪華で、まるで宮殿みたいよ!? 大丈夫なんでしょうね? 大丈夫なんでしょうね??」
アレクが苦笑いしながら答える。
「大丈夫だよ」
不安を口にするエルザにトゥルムが続く。
「この白い戦艦は、皇帝座乗艦ではないのか? 噂でしか、聞いた事はないが・・・」
ドミトリーも同様であった。
「恐らく、『白い死神』とよばれる帝国軍の総旗艦だろう。だとしたら、乗っているのは、皇帝陛下か、皇族ではないのか?」
小隊の皆がしている話を聞きながら、ルイーゼは、考えていた。
(皇帝陛下が乗っているのなら、これ一隻で航行するはずがない。だとしたら・・・)
アレク達は応接室に通されると、案内の士官が告げる。
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