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我が主
しおりを挟むミノスの惚れた 我が君主ハデス神
ここ冥界と地上で起きている最近の珍事について、真相を聞き出す為に、ハデス様に面会を申し込んだ。
ハデス様は、このエリュシオン(死後の安息地)で会うと言われた。ひょっとすると俺の話が薄々わかっていて、安息の地を指定したのか。他の者には、聞かれると不味い事もあるんだろう。
約束よりも、早い時間にも関わらず俺が行くと、既にハデス様が着いていた。
エリュシオンの黄金の地に、うっすらと輝く野原に佇んでいる長身のシルエット。
一見、細身に見えるが、あの膨大な神力を宿す身体は決して細身では耐えられない。よく見ると、その肉体のあらゆる所に筋肉が隆々としている。けれど長身で縦横のバランス、しかもあのスッキリとした顔立ちで細く見えるのだろう。
たなびく金色の野の中で、闇色の黒髪が風と遊んでいる。向こうにぼんやりと光る死者達を遠い目で眺めている横顔はシャープな顎の線が美男神を際立たせている。何を思い出しているのか?滅多にみない穏やかな表情をされていた。
そこだけ、まるで時が止まり、永遠を現象させている。
思わず見惚れてると、不意にこちらに気付いて、顔を向ける。薄い唇が動き名を呼ばれる。それだけだ。ただそれだけだ。
あーあーあー だけどこれ、『惚れてまうやろー』ってやつだ。女の子ならドキューンってハートを撃たれるやつだ。
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