冥界の愛

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太陽神アポロンは王道です。

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 デーメテールがヘルメスから話と視線を逸らした先に、アポロンがやって来るのが見えた。

 明らかに邪魔者が来たと言う渋面しかめっつらをした。こう言うのを取り繕わないデーメテールの素直さはアポロンもヘルメスも好感が持てた。やっぱりコレーの母親だなぁって心の中だけで二人ともに笑い合っていた。
 
 そんな幼児な態度でなく、きっと愛想笑いで取り繕う事もできるだろう。基本この女神は心根が優しく、大いに他人に同情して色々と貧乏くじを引いたり、騙されて連れ去られたりしている。なのに、まだこんな純粋なところがあるからこそ、育てた娘があのコレーの性格なんだろう。全知全能神の娘という立場や、高貴な血筋だけでなくコレーが男神達から人気があるのは、この女神譲りの綺麗な心がコレーの魅力となってるのだろう。実は大層人気があるなんて、本人は全く気がついてないが。まぁ今回、これだけ目立った帰還だったからますます求婚者は多くなる筈だ。誰かの横槍が入らない限り。

 不味いな、アポロンに本気でコレーの事を狙わせないと。いつまでも妹枠じゃアレスあたりが無理矢理に求婚してしまう。アレスの手に渡すぐらいなら私が貰いに行こう。
 ヘルメスがそんな策略を考えてる間にアポロンがデーメテールの前まで歩み寄ってきた。



 ブロンドの髪は一本一本が、自ら光り輝き、あまたの神々よりも均整のとれたハンサム顔をニッコリと眩しい笑顔で、何よりも若さが溢れる、これぞ王道の青年の太陽神アポロンが挨拶をする。

「お久しぶりでございます、大地豊穣の女神のデーメテール様。
数多に御栄光を顕はして下ださる様を拝し感謝申し上げます。
相変わらずの御力に加えて、御子神様の新たなる御力を及ぼされた事、お喜び申し上げます。」

 それは、話すと言うよりもまるで歌っているかの様に、周りの草木までも聞き惚れる若い声でデーメテールに口上を述べられた。


 流石に、しかめっ面のデーメテールとは反対にわざわざ、最上級の賛美を送るアポロンに対してバツが悪くなった様で愛想笑いで返事する。

「ありがとうございます。太陽神アポロン。私の力を及ばす地上界の小さき者たちに困難を与えてしまいましたが、もう地上界は大丈夫ですわ。
それに、娘の力の事まで本当に細かな所迄見ていただいてる様子で。さすが天界からあますところなく全てを照らし、輝く太陽神ですね。やっぱりお分かりになるかしら?」

「それは、以前とは桁違いですからね。コレー様は、誰が見ても覚醒後でしょう。それとも、何か不味かったのですか?
 それに、今日はお一人なんですか?せっかく御祝いを申し上げたかったのに。コレーさんはお健やかにお過ごしでしょうか?」

やや答えに詰まってこのまま誤魔化して帰ろうと思ったが、それではせっかく此処まで来た意味もない。何よりコレーが苦しんでいる様子を見てここは、何か知ってるのかをヘルメスにハッキリ聞いて帰りたかった。

 意を決してデーメテールはヘルメスに向き合う。
「帰った直後でも、コレーのことで何か気になる事はなかったかしら?」

「具体的に何がどこがおかしいのかは、教えて頂けないんですか?大事な事だからわざわざここまでお越しくださったのでしょう?
多分デーメテール様にはバレていると思いますが、私もこのアポロン様もコレー様とは幼い頃に内緒で親しくさせて頂きました。今回、冥界に下ってしまった時にも私たちも及ばずながらも心配しました。それが帰ってこられて何か不味い事が起きてるのですか?」

デーメテールはしばらく俯いて考えてる。

アポロンがデーメテールに真っ直ぐに見つめて言う。
「何を心配されているかわかります。しかし、決して私たちはコレーの不利益になる様な事や名誉が傷つく様な事は他に話したりはしません。コレーが無事に帰ってきてくれて本当に良かったと思っています」

「ありがとう。やっぱり貴方達が幼なじみだったのね。
昔、コソコソ誰かと遊んでるけど決して言わなかった時があったわね。
あの子案外に警戒心がなくて。」

「案外??いやいや結構誰とでも話して、何処にでも付いて行きそうにならから俺たちコレーに説教してましたよ」

「フフフ、ありがとう!兄弟たちよ。」

吹っ切れた様にデーメテールはコレーの夜中に声を殺して泣いている苦しんでる様子を二人に話した。










ーーーーーーーーーー


 太陽神アポロン 
コレーにとって幼馴染で異母兄弟で求婚相手だなんて。とってもギリシャ神話的だなぁ

 なんだろう。18禁?もっとかしら?成人向け?成人娯楽?自主規制?

まぁドロドロとは違う、エジプトや昔の古代の政略結婚風ですよね。
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