51 / 107
give me MYNAME ♪油性ペンでは無いはず♪
しおりを挟む~~~ 名前をつけて~~~
「私は、お嬢さんの名前が気に入らないんだ。だってお嬢さんの名前の意味知ってる?」
ってヘカテーが、問いかける
ーーーーー
長い旅を一緒に過ごした彼女から名前を聞かれて、コレーはもう我慢がならなくて名前を聞きに行こうとしていた。
裁きの場から出ようとして、服を着ていない事を思い出した。
そういえば死者である彼女はさっさと気持ちを切り替えて好きな服を纏っていた。
裸のお嬢様はコレーだけだったのだ。
どうしようかなと迷っていると、そこにはヘカテーさんがコレーに新しい服を持ってきてくれていた。
ヘカテーが、コレーに声をかける。
「お疲れ様でした。彼女を救ってくれてありがとう。長く長く私達の心配の一つだったんだ。」
(ヘカテーさんから礼を言われると本当に困る。
救ったのはミノスさんの言葉だ。ミノスさんが何度も何度も彼女の悲しみ怒りと共に過ごして受け入れるまで付き合ったからだ。)
何より彼女と旅したコレーは身に染みた実感だった。
「私は、本当に、何も」
と否定するが、あちこちでありがとうと言われた。
少し悪いが便乗して、
「じゃあ、私の名前を教えてくれませんか?」
と問いかける。
ここで冒頭のヘカテーの言葉だった。
「いやいや、言ったらダメだってハデス様から言われてるんだよ。
でもね、一つだけ言えるのなら、私は子どもに一生になる名前をつけるとしたら、それは子どもの為につけるべきだと思うんだ。
決して親の為の名前じゃなくてな。」
ここで少し申し訳なさそうな顔をチラッとこちらに向ける。
「だから私はあの女が嫌いなんだ。お嬢さんには悪いとは思うけど。」
そうヘカテーさんは言った。
「これはあんたのせいでは無いんだよ。ここにいるみんなはハデスの事が大好きだから、あの女の事はあんまりよく思っていない。だけど、だからと言ってあんたに意地悪するような根性の曲がったやつはここ冥界にはいないから、それは安心していいよ。もしいたら私にいいな、このヘカテーが根性を叩き直すから。」
本当にこの人(女神)はちょっとキツく見えるけど、姉御肌で人情味あるれる人なんだと思う。
「だから、あんたが思い出すまで、私達が気に食わないと思ってる名前を呼ばなくてもいいんじゃないか?今のところ客人はお嬢さん一人だし、お嬢でいいでしょ?」
「じゃあ、それなら、此処での冥界での名前をつけてください!
名前が欲しいんです!
ただ、不便なだけならお嬢さんでもいいけど、私も名前を聞きたくて、忘れたくなくて覚えていたくて。」
あーあー ヘカテーさんがお嬢さん泣かせてるって他の者の視線が痛い。
「でも、それもダメって言われたら。私も彼女の事が好き、ミノスさんもカロンのお爺さんもケイロンさんもヘカテーさんも此処の慰めてくれた人達も花達もみんな皆んな好きなんです!
ここ冥界だけでもいいから名乗ってもいい名前をください。」
半分泣き叫んでヘカテーさん、ごめんなさい。
でも、何度も名前を聞かれる度に寂しい思いをするの。もう嫌なんです。
ヘカテーが、答える。
「この世界ではあんまり勝手に名前をつけるのはダメなんだ。わかるだろう?契約する事になるから。縛りが出てくるんだ。お互いにな。」
うーんと、ヘカテーが迫ってくるコレーにやや後退りしながら言う。
「この世界で名前をつけれるのはただ主だけだ。」
コレーは
「じゃあ、ハデス様の所に連れて行ってください。ハデス様から名前を頂きます。」
ニッコリと笑ってヘカテーに告げた。
ヘカテーは考える。
あーーー。
まぁちょうど、ハデス様の面接するって言ったな。
覚悟決まったかなあ?
なんでお嬢さんの覚悟じゃなくてハデス様の覚悟なんだか。
なんだか、急なこのお嬢さん逞しくなった気がする。
ハデス様、大丈夫かなぁ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。
伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。
しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。
当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。
……本当に好きな人を、諦めてまで。
幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。
そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。
このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。
夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。
愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる