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ようやくのミノスの出番 越後屋やお代官よりも御奉行大○越前様がいい
しおりを挟むコレーの強い光の中、見守っていたジャッジメントが言葉をかける。
「ありがとう。初めて助けを求めてくれて。ようやく手を出してくれてありがとう。長い事、この瞬間を待っていたんだ。」
ようやくミノスの出番だった。
コレーは 突然声をかけられて戸惑う彼女に寄り添いながらミノスの方を向かせる。
ホント、君!根本的に間違えてるから。
もともと、地上で暮らす事は幸せになる順風満帆に幸せになんてならない様にできているんだ。そんな、すぐすぐ悩みなんて解決する様な人生を繰り返して何の意味があるんだか。
他の何の事でも練習ってそうだろう?
簡単なやり方、メニューで満足してると大きな事はできない。
今世で幸せになるために生まれ出たのではなく、修行の場所なんだもともと今世は。辛くて苦しくて苛められて酷い思いをして当たり前。自分がそう言う風に生まれて行きたいって設定して生まれ出ての「おんぎゃー」なんだから。
そう、例えその少しだけほんのりと初恋の匂いのする優しげな背負って送って男の人と添い遂げたとしても、その子は何らかの事情で君の元を去って行ったさ。
そうだな、きっと病気で死んでるな。君のお腹にその子の赤ん坊だけ残して。
そしてやっぱりあの男、夫の元へと行く事になる。前世よりももっと悪条件で。もっと彼の母にいびられるさ。
でも、それは君が選んだ設定なんだ。メニューなんだよ。
愛深き者は憎しみも強い。
君は誰よりも強く生きれる人で、どんな状況でも人を愛して、その中で人の役に立ちたいと思える宿命を持った魂なんだ。
洪水で被害が出た人達を放っておくことはできなくて、一緒に涙を流して立ち上がり、予防策を作り出しただろ?
だから、この人生を選んでメニューをこなしたんだよ。
ここで高いプライドを持ってしまって仮面を被ってやり過ごしたけどさ。本来ならそんな仮面を殴り捨てて夫に詰め寄ってもよかったし、怒り狂って憎んでも、結局は、君は愛あふれる宿命の人なんだよ。
あんたは、夫の様に弱いとこがあるわけじゃない。
強い強い意志と愛で出来てる魂だから。
相当ヘビーな設定入れてるよなぁって多分生まれ出る前に忠告されたと思うけど、次々と試練が起きるとか。
でも、ニッコリ笑って『心配してくれてありがとう😊。でも、やってみます。やってみてダメなら、またここに来れば愚痴れば良いし。』って言われたの覚えてなぁい?
まぁ、覚えてないのが普通なんだけど。そう設定してるんだけど。
それでも、
助けて!救ってほしい
って言われないと。
仮面を被ったまま、
「平気です。幸せでした。」
って言われてしまうと、俺の言葉は届かないでしょ?
『長らくの辛いお勤めお疲れ様でした。お見事です』って言いたいのに。
種明かしと言うか、思い出してもらえないこっちのもどかしさも辛いんだぜ。
何より君には
『 お帰り 』
って早く言ってあげたかったよ。
大変だったよねー?色々と途中変更余儀なくされたけど、やり切ったのにそんなに辛口点数付けなくてもって言いたかったよ。
早く気づいて欲しくて俺だけじゃなくてアイアコスや、ラーダとか皆んな心配して此処に来るたびにそっと覗いていたんだ。
まだまだ此処でも頑張って続けるのか?って。俺たちだけでなくて色んな所から心配されてたんだよ。
君は、強くて愛が溢れて何より人の為に尽くしたいって魂だったから。
此処に来る死者の中にどれだけ君に感謝している魂が多かったか。
もう、良いかい?ちゃんと『ただいま』って帰ってくる?
コレーが寄り添った彼女から、優しい光が溢れた。
彼女本来の魂の暖かさの光だった。
真っ直ぐにミノスに向かって顔を向ける。
『ありがとう。ただいま。御奉行様』
お嬢さんはすごいな、仮面を壊して彼女にようやく助けて次に行きたいって言わせたね
それが無ければ俺の言葉は魂に入らない入っていかない。仮に伝えても、聞いても聞くだけ心を滑るだけだ。
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