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初めての お願い
しおりを挟むいったい、何度彼女に辛い事があるのか?いつになったら穏やかな日々を過ごせる様になるのか?
人生の中に穏やかな日々は少しはあったのだろうが、此処に辿り着いて、それなのにまだここでも苦しんでというのか?
あまりの理不尽の悲しみに、コレーはずっと彼女に力を流し続ける。
「どうしたい?どうなりたいの?
お願い。
あなたの力になりたいの。
どうしてあげたらいいのか?
あなたの気持ちが楽になる為にあなたの事を話して」
コレーがそう尋ねると、彼女は、少しずつ当時に戻って気持ちを話し始める。
その話は、何度も彼女の怒りの爆発に付き合ってきたミノスにとって初めて仮面が無い彼女の気持ちだった。
彼女の言葉
他人事ならば、恋愛もいい年してとかパートナーがいるのにとか言いながらも、まぁ恋ができるってある意味素敵かも?仕方ないなんて余裕があるかもしれない。
でも、当事者である伴侶やパートナーの恋愛は地獄だわ。
知ってしまった子ども達も地獄よね?
『 人の心を縛ることはできない。』
それはわかっている。
だからこそ、パートナーがいるのに他に心が移ってしまった時にはしなければいけない事があるでしょう?パートナーの心も思いやって欲しい。
全く周りが見えないのが恋愛なら、あなたにお茶を渡している人 側に居てる人、見えないの?
まぁそんな事ないでしょ?パートナーにはバレないように気を使っていたんでしょ?
それが一番傷つける。
傷つけるけど、自分も傷つくけど、白状してダメならダメで終わらせて欲しい。申し訳ないと思う気持ちが少しでもあるなら、今後の生活にしっかり申し訳なさを反映してほしい。
もしも、関係の再構築を望むなら償いを望んでほしい。その上で赦せるか赦せないかは傷つけられた方が決める事でしょ?
ええ、再構築が難しいのはわかってる。何度も何度も何度も必要以上に責め立てるわ。自分が傷つくのもわかったうえで責めるわ。だって赦せなから。
いいえ、『本当は、赦したいからこそ責めるの。』
本当はもう蟠りがなくなっていたなら責めることもなく、それは愛情もなくなった事でしょう?
浮気されたプライドの怒りだけなら、こんなにも長く怒っていられない。
だから、私がはっきり出来ないなら、終わりを告げるのを望んでいると話して欲しい。
そうしてくれたら、蟠りは残るけど悲しみはどうしようも無いけど、きっと時間はかかると思うけど、次には行けたと思うの。別れではなくて再構築だったとしても。やりなおすのはもっと大変かもだけど。次の二人の段階にも行く事ができたでしょう。
次に行けたら、例えそれが恋愛ではなくても、終わった事に囚われないで、人生を前向きに進んで行こうという気持ちが出てくると思う。仕方ないけど前に行かないと日常が押し寄せるから。
その日常の中で薄れてしまう怒りもあるし、忘れてゆく思い出もあるだろうし。
そして、気がつくとあれは辛かったけど過去の事として認識できるんだと思う。
それが『赦す』の第一歩ね。
意地でも、幸せにならないと。いいえ、同じ失敗なんてきっとするわ。でも今度こそは幸せになろうとしないと。その為にこれは、終わらせようとしてもがいてもがいて焦って苦しんで。
それが大事なんでしょ?
ええわかってる。
何故かまた同じ様な人にまた騙されて、失敗するわって臆病な心になって。
どうせ私なんて俺なんて結局はうまく行かないんだろうから。って落ち込んで動けなくなってしまって。
楽しかった事さえも全て忘れようとして、今までの自分の人生全てを否定するの。
そんな事ないって誰かに言ってほしくて何度も何度も繰り返す。
私の行動生き方全てを否定されたら、どうやって息をすればいいの?
でも、その苦しみこそ次に行くための必要な事だったはず。
なのに、だからこそ
だから、私が問い詰めた時に黙りだった夫は、別れも何も伝えずに、ただ見かけだけは現状維持を望んだ夫を赦せない。
悲しいけど、それに準じた自分を赦せない。
決定的に夫と向き合わずに
社会的地位や仕事の立場として
守ってきた結婚の契約と
何より愛する子ども達の事
もしも、向き合って話しあった結果が何もかも失う事になって、それが自分だけの事なら覚悟も決めるしサッパリしたと再出発も簡単だった。決意一つだったから。
けれど、子ども達の事を考えた時に決意が揺らいだ。
そうしている間に夫は命を絶ってしまった。
それは、仕事のトラブルの所為だったと理由が明記してあった。
そのため、ショックではあったが周りが余計なことを考えて落ち込むのを避けれた。
なにもかも話し合いもせずまま、女性の事もトラブルも放り投げた夫に、悲しみよりも怒りがあった。
まったく、死にたいのはこっちよ!
強引さに負けたとか、別れるつもりがなかったからとか、言い訳はたくさん。
夫の弱さから来てるのしても、女性との関係はもう長すぎる。わかりきってるのに。
何故 はっきりさせなかったのか?
夫は私に対してすまない気持ちがあったのかも知れないが、次に行く事を止められた私にはここをどうやって抜ければいいのか?
何故 私から出ていかなかったのか?
子ども達のため?
まだ愛してる夫が困るから?だって、あの家を出てくれたのは私の為でしょう?あの時には私と子ども達に愛があったのでしょう?
女性との関係を続ける中でも子ども達に愛があったから?
そんな中で、夫にハッキリと話し合い決別する決断をつける事が出来なかった自分が赦せない、ここまで赦せなかった。
何度かは止めてほしいと訴えた。
しかし、止めなければどうするのか?を実行に移す前に夫は 目の前からいなくなってしまった。
子ども達が大きくなるのを待った?
いつか別れてくれるのを待った?
ある程度女性と距離が開いたので諦めた?心の中にはいるのかもと疑いながら。
何より苦しんでいたのは自分が赦せなかったから。
たくさん苦しんで辛い思いもしたのに、どうすれば此処を抜け出せるのか?わからないの。
どうすれば良かったの?
どうすればいいの?
お願い
助けて
助けて
コレーが、ようやく初めて助けを求めて泣きじゃくる彼女を強く強く抱きしめる。
強く優しいコレーの力を精一杯流し込むと、溢れる光が二人を包む。
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