冥界の愛

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ビックリしない?

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場面は再びコレーとヘカテーの居る部屋に戻る。
ーーーーーーーーーーーー



ノックの音がすると、
「 ハデス様からこちらに向かう様にと言われて来ました。」

と、声がかかる。
声だけで誰かわかったのか ヘカテーは

「 何故?ケイロンさんが?」

と驚いた顔をしている。

すぐに扉に向かい開けるが、中には入れずにヘカテーが部屋の外に出て話している。


「 大事なお客人が来られて、お相手する様にハデス様から仰せつかったんだけど、中に入れてもらえないのかい? 私では驚かせてしまう様な客人かい? 」
そう笑いながらケイロンはヘカテーに聞く。

「 ハデス様から何もお聞きになっていないのか?」

「 あぁ、直接は聞いてはいないが。
ここに来る途中にミノスに会ったよ。なんだか、一応合格点は貰えたようだからね クックック」

と思い出したように笑っている。


「 まだアイツ サボってましたか?」

「 いや?何か探してるみたいだったが、俺が気になった事を言うと『それだ!』って礼を言いながら駆けて行ったよ。相変わらず謎の男だな。」

「 やっぱりサボってるんですね💢 」

「 それに随分とお客様を気に入った様子で、カロンの爺さんのとこにも連れて行けって言われたよ。後で会いに?逢いに来るそうだな。」

そう楽しそうに語るケイロンにヘカテーは少し安心する。


( まぁハデス様がお命じになり、ミノも認めたならばいいのか?私も人の事は言えないな。随分と過保護だ。
 記憶を残させてはいけないと言いながらも、多少驚かせるのは良いのか?よく分からん。) 
ヘカテーは色々と考えながらケイロンに向き合い、

「 ケイロンさん 紹介します。」

そう言いながらヘカテーは扉を開けて中に入る。

「 お嬢さん、こちらはケイロンさんです。
これから色々とご案内をしてくださいます。」


お客様のコレーが紹介されたケイロンに挨拶する。

「 はじめまして。私は、、、。ごめんなさい自分の名前を忘れてしまって名乗れません。
お手数をおかけしますがよろしくお願いします。」

そう言いながらペコリと頭を下げる。

驚いたのはケイロンの方だった。目を見開きヘカテーを見る。
(良いのかい?僕で)


ヘカテーはケイロンにおもむろに目配せで肯定して話し始める。



「 まだお客人にも説明してなかったのですが。

お嬢さんは、どうやら界渡りの花でこちらの世界に来られた様です。その花の所為で今、記憶が一時的に無くしてると考えて、しばらくこちらで様子を見ることになりました。
いずれ、記憶を取り戻して 界渡りの花もハデス様がまた力を注いで治ったら、お客人もお帰りになれると言う手筈になっています。」


説明を受けて、
コレーは(あっ そうなんだ)って顔してるし
ケイロンは 事情を聞いてなかったのか「ふーん」と言ったきり黙っている。
尚もヘカテーが説明を続ける。

「 後、何点か気をつけてもらわないといけない事があります。」

二人を見ながらヘカテーの少しハスキーな声が部屋に流れる。


「 すぐにお帰り頂くので、まずここで何も口にしない様にお気をつけ下さい。これは先程お嬢さんには言った通りですが、ケイロンさんもご注意して見守りください。

それともう一点 ケイロンさん、仮にお客様の名前を知っていたとしても名を呼ばない様にとハデス様から言われております。
全て忘れてお帰り頂く手筈ですが、何かの折に思い出す様な事が無いように。どこをご案内してもらってもいいらしいですが、呼名や思い出になる様な事は避けて過ごしてほしいそうです。」

そう告げるとなんとも言えない表情をするケイロンにヘカテーは軽く頷き同意を示す。
( じゃあさっさと送り返せばよいものを)とヘカテーの目が言っている。

ケイロンはコレーを見つめながら考える。

ミノスといいハデス様も?随分と過保護だ。

で?私は良いのか?私の姿形はビックリする事にはならないのか?
そうか、だからヘカテーは、すぐに部屋に入れてもらえなかったんだな。
それにこの娘は、確か地上の豊穣の女神デーメテール様とゼウス様の娘では無いのか?

ウンウン、俺も謎が解けた気分だ。
この娘だから ヘカテーは嫌がったんだな、で、俺が呼ばれたんだな。
それでミノスも遠慮してたのか?ヘルメスが何かを隠したとか言ってたのもこの娘の関連の事だな。



ケイロンは尋ねる

「 記憶が一時的に無いにしろ私のことは驚いたりしないんですか?
私の様な、ケンタウロス族は見た事があるんですか?」



「 ??半神半馬のケンタウロスの皆様の事は存じてますが、少し驚いたのは前足が私の記憶にある感じでは無い気がします。」

コレーは正直に気になった事を言ったが、それ以外にも自分が知ってるケンタウロスの中でも、優しそうで知的な雰囲気がこの人にはあるのが珍しい気がしていた。

ケイロンは目を細めてコレーを見ながら話し出した。

「  私は出生に色々といわくがありましてね。本来なら星になって夜空に居てるはずなんですが、それはずっと退屈で。色々子供達も気になってとお願いしたらここで手伝ってくれるならと、ハデス様がお仕事をくださったのですよ。」

自分のことを話して、コレーに聞く。

「  足の事はよく見てらっしゃるんですね。確かに私の前足は人の足先で後ろ足は馬の蹄になってます。
こんな姿は恐ろしいですか?」


コレーはここまでの事をケイロンに少し話した。


送ってもらったミノスさんの事、不安そうな顔していて慰めてくれたカロンお爺さんの事、ミノスさんに失礼な態度を取ってしまい、ヘカテーさんに注意されたけど、それは仲間を大切にしているだから不機嫌にさせてしまったとわかっている事など。
その上で

「 冥界という所は、死者と亡者の暗闇の世界で 恐ろしい所だと思っておりました。ですが、この冥界で出会った方達は皆様お優しい方ばかりでした。
自分の記憶は無いんですが、姿形を変えれる神の事も知ってます。
半馬と言うだけで恐ろしいとは感じません。」


そう正直に話すと、ケイロンはウンウンと頷きながら言った。



「   怪物が!と泣き叫ばれないのなら ご案内出来ますね 」


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