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忘れてしまいたい事
しおりを挟む何故か黙ってしまったヘカテーさんは しばらく顎に手を当てて考えてから言った。
「 さっき、ハデス様に渡したあの花を持って無ければ自然に、しばらくすると思い出す様に出来てる。だから記憶は自ら思い出すのを待てば良い。
しかし、それでも思い出さないならば それだけ自分の名では無かった、もしくは忘れてしまいたいという事だろう。」
自分の名ではない?何??じゃあ誰かの名前を間違えてつけてたって事?
あー 何何?知ってるならどうして教えてくれないのかしら?
チラッとミノスさんの方を見てみるが、また綺麗な指を10 本左右に振って
「 俺は知らない、知らないから本当に。」
って否定して
「 なんだ?その禅問答の様な?トンチの様な謎は。
教えちゃまずいのか?そんなにまずい名前なら余計に気になるよなぁ?
でも、[ 大切にもてなせ ]なんだろ?
じゃあそんなにまずい立場では無いって事だよな?
まぁ お嬢さん、このヘカテーの女神様は滅多な事では口を割らないから、ここで聞き出すのは諦めた方が良いな。
じゃあ [ お、も、て、な、死 ] として
俺と冥界巡りの死の旅にでも行こうか?」
「 ミノは仕事溜まってるだろ!
誰か他の者をつける。」
「 えー そんな(T . T)
みんな眩しすぎて無理なんだろ? 俺 大丈夫だから。
俺、下っ端の雑用係だろ? ね?お嬢さんも 源氏名ミノリンで、ご指名して~ 」
「 いい加減にして仕事しろ!
アイアコスとラダマンテュスが、いつもすぐにいなくなるって怒ってたぞ。
早く行け! 」
「 わーったよ。
でも この子 良い子だよ。案内させるなら誰かいい奴つけてやってくれ。頼んだ。
俺 とっととお仕事終わらせて、後で主に会いに行くわ
気になって仕方がない。」
そう言うと くるっとこっちを振り返って
「 じゃあ、お嬢さんまたね。
このヘカテー様は、一見したら怖そうで口が悪いけど、ホントは誰より情が分厚い女神だから 大丈夫。
本気で怒る時は大概 大好きなハデス様に関連する事だけだから!
まぁ ゆっくり見て回ってねー 」
こっちをちらっと振り返ってからそう言って、ミノスさんは来た方向に戻って行く。
すらっとした背を向けて 右手を高く上げてヒラヒラと手を振ってお別れしてくれる。
「 ミノス様ー! 本当に色々とありがとうございました。
ここを出る時には忘れるとおっしゃられましたが、出来るだけ覚えておく様にして また 再会した時に恩返しできる様にしたいです。
ありがとうございました! 」
と、後ろ姿に頭を下げた。
ブハッ クックック
可愛いな~もう!
なんで主は合わないんだろうか。
見るからにいい子なのになぁ。
そんなに頭下げなくてもきっと偉い神の子なんだろうな。
恩を売っとけ!なんて醜いオッさんの心根だよねー
まぁ 滞在してくれたらまた遊べるし、カロン爺さんとこにもまた連れて行ってやろうと。爺さん喜ぶだろなぁ
さぁさ、お仕事お仕事。とっとと終わらせて お嬢さんと あ、そ、ぼ、っと。
あぁっと、その前に。ヘルメスの奴なら絶対俺に何か伝言を残していってるから、それから探さないと。
あいつ 天邪鬼だから分かりにくいんだよなぁ。
ヘルメスの仕事だから天界の使いだろうし、ゼウス様関係だなきっと。
地震とは関係ないのか?死者は出てないとか言ってたけど。他に何かあるのか?
まさか!お嬢さんの親神か!偉いさんだからヘルメスが来たんだ!そうだ、なんでさっき気が付かなかったんだよ~
俺のマヌケ。
えー🤨 ゼウス様関係か?もしかしてゼウス様の娘か…。
ヤバイかもな
なんだ、いい子だと思ったんだけどな。ママは 神か?ニンフ(妖精)か?人間か?まぁサラブレッドぽいけど。
なんだ、親戚かよ。広くて遠ーい親戚なんだろなぁ。まったく、よくやるよな親父殿は。なんでバ○ア○ラに親父殿の名前付いてないんだろうか?そうか、百発百中って売り出しにくいのか?マジで人類みな兄弟だぜ。
あーぁ なーんか 一辺にやる気なくした。
もうアイツらラーダとサルサルには黙っておくか。
どうせすぐに帰るんだろうし。
でもカロン爺さんは誰なのか知ってたっぽいよなぁ。
誰だろう。
ゼウスと女神で 娘、う~ん、うーん、
ん?
いたな。
それもあの界渡りの花は地上に置いてる花だったな。でも微妙に姿を変えてたな。それはどうしてか?ハデス様直々にお作りになった界渡りの花だよな?
何故、直々に作ったのか?
一人、ハデス様がずっと気にかけている女神が地上に居たな。
そして、ヘカテーが毛嫌いしている女神が居たな。ヘカテーは見た目は激しそうだけど、普段は もう少しあんな良い子には優しくする奴だものな。
しかも、あの女神様の子どもの名前を聞いた時も気に食わないって喚いてたなぁ。
全て、辻褄が合うじゃないか。
謎は全てとけた!だな。
わかったよ…
「 君の名は コレーだ 」
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