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アポロンとヘルメス
しおりを挟むこの無駄に光り輝く系?知ってる。
真っ昼間に松明の飾り?そんな明かりいる?って感じ。どこかの誰かさん系よね?
そんな風に思ってると、
「私はアポロンと言う者です。
地上を照らす太陽の役目を父から貰ってます。
父はー 」
喋ってる途中だったけど、私は思わず言い出した。
「ええ昔から知ってるわ。
ゼウスの愛息子の方ね
古の神族、ポイペとコイオスの娘達の、妹の方のレトの息子でしょ。
貴方たち双子はかなり有名よ。出産の時から大騒動だったわよ。
一応あれでも姉妹だからヘラのした事は謝っておくわ。」
そう謝罪すると、笑顔で「いいえ」首を振る。
やっぱりニッコリ笑うと次世代王の候補だけあって、似ているし、眩しすぎる顔が今の私には辛いわ。
「ありがとうございます、デーメテール様。
ですが、デーメテール様は随分とやつれて いつものお美しい御姿とはかけ離れていらっしゃいますが。
一度ゆっくり何もかも忘れて、周りを見回してはいかがですか?
案外探し物はその方が見つかり易いものですよ。」
なんで?何を言ってるのかしら?コレーを探してあちこち見てるわよ?
そう思いながらも、足元からゆっくりと向こうまで 少しコレーから意識を置いて改めて見てみる。
え? これは何?
草一つ生えない干からびた大地、凍りついた水、飢えて動けなくなっている人々。見渡す限りの畑が枯れ木となっている惨状。
どうしたの?
「ご覧になって頂けましたか?
デーメテール様の地上の愛が無くなれば、いくら私どもが太陽の光や熱を注いでも この有様ですよ。
一人娘のコレー様の事で心労が祟っているのは充分に理解しておりますが。
この事態は全知全能の神であるゼウス様も心配しております。
私にコレー様を探すのをお手伝いさせていただき、この大地に元の豊穣の恵みを取り戻していただきます様に 人々の祈りをお聞き届け下さい。」
知らなかった。いや見てるはずなのに。
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
唖然とする中でようやく謝罪の言葉だけ出た。
だけど急いで元に戻そうとしても コレーの事が心配でうまく力が働かない。
それを見てアポロンが、横に控えてる以前に見た男を そばにくる様に呼んだ。
「前にもお会いした事があったと思いますが。
この男はヘルメスと言って使いの役目をしております。」
「ええ、知ってるわ。この前の子がヘルメスだったのね。
マイアの息子ね。
古の神イアぺトスとクリュメネの息子達のアトラスね。そのアトラスとニンフのプレイオネーの間に生まれた娘達、七姉妹だったかしら?その七姉妹の一番姉の切れ者のマイアの息子なら ゼウスに使役の役目を言われるぐらい頭は良いわね。」
取り乱して飛び出したけど、今度は不機嫌そうな顔はしていないみたい。神妙な顔しているのはアポロンに従ってるからね。
へぇアポロンと仲良しなのね。
そうあの牝牛の窃盗事件から仲良くなったのね。良かったわね。
そうね、昔はゼウスもハデスもポセイドン達も兄弟仲は良かったのよ。
色んな事があったからね。
そんな昔話よりも
「コレーを探すのを手伝ってくれる?」
そう言うと、光り輝くアポロンが
「はい。コレー様は、もう冥界にいる事は間違いないでしょう。
ええ、わかってます、そう睨まなくても。 そう ただ不死のコレー様は死んで冥界に行った訳ではないでしょう。
そうなれば何か事故があって冥界に行ってしまい、事情があって帰って来れなくなっているのでしょう。
それを このヘルメスが冥界に使者としてどのような事情か聞いて参ります。
だからデーメテール様は その待っている間にこの地上をまた豊かな恵で潤わせて下さいね。お願いしますね。」
そう言われたら、従わざるおえないわね。
「わかりました。ありがとうアポロン。
冥界まで行ってくれるのね。よろしくお願いしますヘルメス」
そう言いながら近づいて ヘルメスに頭を下げたが、ボソッとアポロンには聞こえないぐらいの小声で言われた。
「だからこの前も言ったのに。俺ホントこのオバさん嫌いだわ」
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