冥界の愛

これ以上は 失う訳には いかない

もし娘が死んでいたら、私にはわかるもの。気配が何処に居るのかわからないだけで　存在は私の心にちゃんとあるわ。だから死んで冥府に行ってるのでは絶対に無いわよ。
もう失礼な奴！やっぱりゼウスの部下だけあるわ。

「もう、わかったわ。やっぱりゼウスに尋ねたのが悪かったのね。自分でも探すから」

そう残された男に告げて、
私は思わず　天界の入り口を飛び出した。



それから当ても無く、コレーを探して　ただ彷徨って歩き回ったの。

私は　その間に小さき人と共に苦労して作った地上の作物が　どうなっているのかなんて考えもしなかった。
ごめんなさい。
小さき人たちが飢えて困ってるのも目に入らず、娘のコレーの事をそれだけを考えていた。



ただ　私は　これ以上　もう　私の子を　　　失う訳には　いかない


ただただ　そう感じて　必死で　探して　探して　探して




しばらくすると
(私にしたら本当にしばらくの時間だったけど)
上から声がかかり、光輝く一人の神が降りて来た。







「デーメテール様　もうこれ以上ご自身を傷つけるのをおやめ下さい」