冥界の愛

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我が愛しの娘 コレー

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デーメテールとゼウス




後ろから声がかかる。なんで天界の入口の後ろにいてるのよ!なんで大人しく天界にいてられないの?何してたんだか、バカゼウスー!
普段は聞きたくもない、無駄にいい声(私にとっては虫唾が走るほど不快な声)だけど、仕方なく本当に仕方なく振り返る。


「は?あんたのハニーなんて、ここにはいないわ! 誰から構わずに口説くのいい加減にしなさいよ!」
だめだついつい大声が出る。また地震起きちゃうから。

「そんな事より ちょっと、顔貸しなさいよ。」




一番優しいと人間界で有難たがられてる女神がおっかない顔で 顔(つら)貸せなんて脅かしてくる。
でも基本が優しい女神顔だから、うちの誰かさんと違って迫力無いんだよね。
可愛く見えてもっと虐めたくなっちゃうのわかってやってるのかな?それ、わざとだよね?



「聞いてるの?
私の娘のコレー、知らない?何か企んでない?絶対何か知ってるでしょ?
私、かなり怒ってるの。早く白状しなさい。
あの子に指一本でも触れたら、本気で復讐するわ。私がヘラと違って神に対しては全く容赦しないことわかってるでしょ。
早く知ってる事 言いなさい!」



やっぱりコレーの話か。

「えー? あの花の子、いないの?どこ行ったの?
いっつもニンフ達といるでしょ?聞くとこ間違えてるよ、それともわざと逢いに来てくれたの? ハニー❤️」


「うるさい!聞いたからここに来たのよ。
ニンフの子守に聞いたら、どうやら地上界から連れ去られた様なの。
私にも 急に動悸がして息苦しくて冷汗が出てわかったの。
あの子はこの大地にはいない、どこにも気配が感じられないから。
だから 可愛いコレーを連れ去ったのはゼウス、あなたの差し金でしょ。て言うか、あなたしかいないでしょ!コレー天界にいるの?早く戻さないと、乗り込んで行くわよ。
私の力が地上界に対してだけ大きな力が使えるとは思ってないでしょうね。バカにするのもいい加減にしなさいよ。

あの時とは違うのよ。
娘の為なら、天界であらゆる物を冥府に送り届ける事ぐらい簡単よ。バカ神どもが居なくなってさっぱりするんじゃない?迷惑な戦も無くなって人間界にも万々歳よ。」



本気でそれがいい考えに思えてくる。
相変わらず 無駄にキラキラしたイケメン面を見てると本当に腹が立って仕方ない。さっさと娘コレーを取り戻して帰ろう。またヘラに会っても、お互いに嫌な気持ちだし。これのどこが良いのか、本気で趣味わるーとしか思えない。

そんなプレイが好きなら周りを巻き込まずに勝手にして欲しいわ。


「どうせ、ゼウスの事だから後はいつもの知らんぷりで、全く知りもしないと思うけど。
私があの子の事どんなに可愛がっているのか、どんなに幸せにしたいと思ってるのか大事にしてるのか、わかってなくてもいいから早く動け!天界で探しに行け!って言うか、そこにいてるかどうかぐらいわかるでしょ?
どうせ、私が産んだ時のことも知らないでしょうから コレーの気配もわからない?でも、一緒に花が界渡りしてるはずなの。界を越えることできる花の気配と一緒に居ると思うわ。」



やっぱりそうだよねー。まぁ仕方ないちゃあ仕方ないし、自業自得って事だよー。落ち込んだ、結構グサッときた。後で慰めてもらわないと。


「いや~ごめんね。
デーメテールが子ども?産んだ時なんて知らないけど。地上界の花の娘が、可愛いって評判なら聞いた事あるから分かると思うよ。
でも、この天界にはいないね。
ついでに言うと海の界にも居ない様だよ。」


「は?嘘を言うのやめて!じゃあどこにいるのよ。
そんなはずないでしょ!
もう!いい加減にして 自分で探すからそこどいて!」

もう戻らないって言った天界だけど、私は天界に入ることもできるし、探して娘と一緒に地上に戻ることもできるのよ。いくら、くじ引きで全知全能になったか知らないけど、私の力も自分が渡る分ぐらいは結界をたたき壊せるの知ってるだろうに。


それに。
やっぱり。
知らなかったのね。

やっぱり。
幻聴だったのね。

当たり前だけど、声似てる様な気がして、ビックリしたんだ。
そんなはずないって否定してても もしかしてとか期待した自分がバカなのに。
まぁ あれはあれで、その後可愛いコレーが無事に産まれたから 幻聴でも助かったから良かったよ。
ホントよかったよ。だってあれがこの虫唾が走る声なら、じゃあ反対にどうしようってなったもの。
長年のモヤモヤがちょっとスッキリしたわ。
どうしてチクッとしたのか不思議ね。

そんな思いに囚われてると ゆっくり諭す様に
無駄なイケメン面の子種振りまき野郎に言われた。






「ここにも、海にもいないってなると後はどこだろうね? 可愛い娘さんは。」


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