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16 後見、人。
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あまり知られておりませんが。
この国のお城には放置された一角があって、まるで廃墟のようになっています。
そこは生い茂る草の中に建物が点在し、ねじれた塔が伸びているのです。
塔のてっぺんは田舎風のお部屋で、黒いニワトリが床を歩きます。いつの頃からかこの場所は、偉い魔女の住みかなのでした。
「おじゃましまっす!」
「おや王さま、久しぶり。」
「今日はちょっと用事があって来たんだ。
あ、これおみやげね。」
王さまが差し出したのは、たいへん立派な干しイチジクでした。
「ありがとさん。悪いねえ。」
「色々お世話になってるお礼だよ。」
彼女は人間が困ったとき、たまーに力を貸してくれるのです。
「それで用事ってのはなんだい?」
「うーん、言いにくいんだけど。実はうちの息子が幼女趣味に目覚めちゃって。それで、どうしようかなって……。」
「良いじゃないか。あの坊やは素直でまっすぐで、燃費を気にしないパワーがある子だよ。
悪運をけとばす気力がすっからかんであるがゆえにスルー能力ばかりが進化した、うちのお嬢ちゃんにとっちゃさぞかし魅力的だろう。
あの子があきらめて生きてるものを全て持ってる相手だ。そういうのは、わかってしまうものだからね。」
「あ、やっぱりお宅のお嬢さんなんだ。」
「私の娘じゃないよ?私はあの子の後見人さ。」
魔女はえばって胸をはります。
「あの子が望むなら、私が嫁に出してやる。安心おし、引き出物にヤモリを付けるくらいの甲斐性はあるんだから。」
「なるほど。乗り気なんだね。
……うん、わかった。この件に関して、私は手を出さない。本人たちに任せることにしよう。」
王さまは魔女を信じることにしました。
この国のお城には放置された一角があって、まるで廃墟のようになっています。
そこは生い茂る草の中に建物が点在し、ねじれた塔が伸びているのです。
塔のてっぺんは田舎風のお部屋で、黒いニワトリが床を歩きます。いつの頃からかこの場所は、偉い魔女の住みかなのでした。
「おじゃましまっす!」
「おや王さま、久しぶり。」
「今日はちょっと用事があって来たんだ。
あ、これおみやげね。」
王さまが差し出したのは、たいへん立派な干しイチジクでした。
「ありがとさん。悪いねえ。」
「色々お世話になってるお礼だよ。」
彼女は人間が困ったとき、たまーに力を貸してくれるのです。
「それで用事ってのはなんだい?」
「うーん、言いにくいんだけど。実はうちの息子が幼女趣味に目覚めちゃって。それで、どうしようかなって……。」
「良いじゃないか。あの坊やは素直でまっすぐで、燃費を気にしないパワーがある子だよ。
悪運をけとばす気力がすっからかんであるがゆえにスルー能力ばかりが進化した、うちのお嬢ちゃんにとっちゃさぞかし魅力的だろう。
あの子があきらめて生きてるものを全て持ってる相手だ。そういうのは、わかってしまうものだからね。」
「あ、やっぱりお宅のお嬢さんなんだ。」
「私の娘じゃないよ?私はあの子の後見人さ。」
魔女はえばって胸をはります。
「あの子が望むなら、私が嫁に出してやる。安心おし、引き出物にヤモリを付けるくらいの甲斐性はあるんだから。」
「なるほど。乗り気なんだね。
……うん、わかった。この件に関して、私は手を出さない。本人たちに任せることにしよう。」
王さまは魔女を信じることにしました。
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