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スキンシップが増えることもなく、かといって突き放されるわけでもない。
いつもどおり。
それが心底ありがたかった。
ただ、深夜になり奈夏がベッドに入るのに、いつもどおりにいそいそとノートを持って近づくと。
「さすがに告白した男のベッドには入れられない」
キッパリと言われてしまった。
「あ……そうか、そうだよね」
「ごめんな」
「ううん!謝ることなんて何もしてないよ」
ぶんぶんと首を振ると、奈夏はさっさと横になりこちらに背中を向けてしまった。
眉を下げてその背中を見ていたが、ずっとこうしてるわけにもいかなくて、枕元に持っていたノートを置いて布団に横になる。
もう寝物語をすることはないのだろうか。
それを残念に思いながらちらりと布団の隙間からベッドの方を見上げる。
微動だにしない背中に寝てしまったのかと思い、自分も眠ろうと思ったがいつまでたっても眠気がこない。
いつもならベッドの中で傍らの体温に微睡んでから眠っていたから、一人であることがひどく寂しく思えた。
それに抱きしめられて眠ったのなんて和也が来た時の二回のみなのに、ドキドキして眠れなかったにも関わらずひどく恋しくなった。
結局うとうととしながらも眠りはとても浅かった。
浅い眠りにとろとろしていると、ふいに一瞬光が瞼の上に当たった。
もう朝だろうかとうっすら目を開ける。
まだ室内は薄暗いが、窓の方を見ると遮光カーテンが少しだけ開いている。
うっすらと初夏の生ぬるい風が室内に入ってきたことから、窓も開いているのだろう。
どうして窓がと思ってベッドの方を見ると、そこはもぬけの殻だった。
奈夏が開けたのだろうかと布団から這い出してそっと窓辺へ行きカーテンの細い隙間から外を見ると、たいして広くもないベランダにこちらに背中を向けた奈夏が立っていた。
そろそろと開いていた窓の隙間からベランダにするりと体を滑り出す。
「奈夏?」
おそるおそる声をかけると、ベランダに寄りかかっていた奈夏が驚いたように眉を上げて振り向いた。
「悪い、起こした?」
ふるふると首を振る。
「何してるの?」
「ああ、あれ」
揚羽の質問に奈夏はひょいとベランダの先にある顔を出しかけている紫のグラデーションを丁寧に塗ったような朝焼けを指差した。
「きれい」
ぼんやり呟くと。
「朝焼けが好きでよく早起きして見るんだよ」
「そうなんだ。どうして朝焼け?」
花も人もなにもかも好きだと言った奈夏の特別なのだろう。
ひろがっていく太陽光に瞳を細める眼差しは穏やかだ。
「きっかけなんだよ、絵を描き始めた」
「きっかけ?」
「六歳の頃たまたま早起きしたときに見た朝焼けがオレンジとピンクに紫色ってグラデーションで、感動して色鉛筆で画用紙にそれを描いたのがきっかけ。それ以来のめり込んで誕生日もクリスマスもプレゼントにねだったのは全部画材だったよ」
くすりと自分の過去を思い出して笑う奈夏の瞳はキラキラと輝いていて、揚羽はぽつりと声を零した。
「奈夏の見てる世界を見てみたいな。絵なんて僕には描けないけど」
奈夏に並んで朝焼けの方を見つめると、朝日はすっかり上がってしまい眩しくて目を細める。
奈夏が見る世界はきっと揚羽が見ているものよりも彼が描く絵のように綺麗なのだろうと思う。
眩しくて目線を太陽から逸らすと、奈夏がじっとこちらを見ていた。
光を弾いた瞳がまっすぐに揚羽を貫く。
昨日好きだと告げられたことを思い出して、揚羽は目をさっと逸らしてしまった。
告白をなかったことにさせたのに、傍にいてほしいなんて図々しいことを言った自覚はあるのだ。
一人気まずい気持ちになり、ベランダから室内に戻ろうとしたら、揚羽と名前を呼ばれた。
なんだろうとくるりと振り向くと。
「今日は出かけようか。植物園にでも、せっかくなら画材持ってさ、絵を描きに」
魅力的な提案だった。
「いいの?」
嬉しくて勢い込んで尋ねれば勿論と頷かれ、揚羽は嬉しいと満面の笑みを浮かべた。
植物園に行ってから数週間後。
仕事で帰れない奈夏の勧めでその日の夕食は、一人で美里の店へと来た。
扉を開けて、サンキャッチャーのチリンという音を聞く。
店内に入ると意外な人物がいて、揚羽は目を丸くした。
「やあ」
お客は一人だけ。
上等なスーツに身を包んだ石動和也だ。
「和也さん」
「奇遇だな、揚羽君」
和也の前には山盛りのペペロンチーノが置かれている。
相変わらずよく食べるなあと思いながら、ちょいちょいと手招きされるのに甘えて隣に座った。
「今日は兄貴は仕事か?」
「はい、和也さんもここのお店知ってたんですね」
「ああ、常連だ」
こくりと頷きながらも凄い勢いでパスタが減っていっている。
「本当、よく食べるわね」
「体が資本だからな」
美里の呆れたような言葉に、下品でない所作で和也は笑った。
「最近はどう?奈夏と仲良くしてる?」
ピッチャーからグラスに水を灌ぐ美里の言葉に。
「植物園に絵を描きに行きました」
「もっといい所連れて行ってあげればいいのに」
肩をすくめる美里に思わず苦笑してしまう。
彼女のいい所は、もしかしたらウィンドウショッピングなどかもしれないと思う。
「それより最近あんまり食べてないんだって?あいつが心配してたわよ。何かたべさせてくれって」
「え?」
美里がカウンター越しにその青い目を向けると。
「ああ、ただでさえ細いのに心配だと言っていたな」
和也も水の入ったグラスを持ち上げながら頷いた。
その言葉に、奈夏が気にかけてくれたことが嬉しくてひっそりと喜んでしまう。
胸がほわりと温かくなった。
「さっぱりした冷製パスタ作るから、しっかり食べてね」
美里がパチリと長い睫毛でウインクする。
「うん、ありがとう」
その後に美里が出してくれたのはトマトをふんだんに使った食べやすい冷製パスタでスルスルと喉を通ったが、結局半分も食べられなくて謝罪しながら店を後にした。
美里は気にするなと言ってくれたが、心苦しい。
家に帰ると桜がにゃあんと足にすり寄ってくる。
その頭をひと撫でして、リビングの壁にかかっているカレンダーの前に立った。
最近食欲が落ちている理由はわかっている。
発情期が近づいているのだ。
普通、発情期は体温が上がってその期間を乗り切るために睡眠欲と食欲が増す。
けれど揚羽は食欲が沸かない。
体が弱いせいなのか体質なのかはわからないけれど、体温の上がる気持ち悪さに睡眠も浅くなる。
二回目の促進剤を使われた発情期は気づいたら点滴が繋がっていた状態だった。
「やだな……」
発情期は無理矢理犯されたことしかない。
はっきり言って恐怖のトラウマだ。
「どうしよう、オメガって奈夏は知ってるかな」
奈夏なら揚羽の素性くらい簡単にわかるだろう。
「でも調べなかったって言ってたからバレてないかな」
発情期がくれば、嫌がおうにもアルファを誘ってしまう。
アルファの奈夏には迷惑しかかけない。
「その前になんとかしないと……」
奈夏にはオメガだと言うこと。
妊娠しないこと。
ましてどんな扱いを受けたかなんて絶対に
知られたくなかった。
(けど、多分もうすぐ来る)
「とりあえず、もうちょっご飯食べないと奈夏が心配する」
ここ二、三日はまともに食事をしていない
のでただでさえ風邪だと偽っても心配されて
いるのだ。
よし、と勢いよく顔を上げた瞬間。
目の回る感覚にへたり込んで、そのまま崩
れ落ちた。
「揚羽!」
帰ってきたらしい奈夏の叫び声が聞こえた。
すぐに病院へと揚羽を抱きかかえながら電話する奈夏に、揚羽はうわ言のように嫌だ、行きたくないと繰り返していた。
いつもどおり。
それが心底ありがたかった。
ただ、深夜になり奈夏がベッドに入るのに、いつもどおりにいそいそとノートを持って近づくと。
「さすがに告白した男のベッドには入れられない」
キッパリと言われてしまった。
「あ……そうか、そうだよね」
「ごめんな」
「ううん!謝ることなんて何もしてないよ」
ぶんぶんと首を振ると、奈夏はさっさと横になりこちらに背中を向けてしまった。
眉を下げてその背中を見ていたが、ずっとこうしてるわけにもいかなくて、枕元に持っていたノートを置いて布団に横になる。
もう寝物語をすることはないのだろうか。
それを残念に思いながらちらりと布団の隙間からベッドの方を見上げる。
微動だにしない背中に寝てしまったのかと思い、自分も眠ろうと思ったがいつまでたっても眠気がこない。
いつもならベッドの中で傍らの体温に微睡んでから眠っていたから、一人であることがひどく寂しく思えた。
それに抱きしめられて眠ったのなんて和也が来た時の二回のみなのに、ドキドキして眠れなかったにも関わらずひどく恋しくなった。
結局うとうととしながらも眠りはとても浅かった。
浅い眠りにとろとろしていると、ふいに一瞬光が瞼の上に当たった。
もう朝だろうかとうっすら目を開ける。
まだ室内は薄暗いが、窓の方を見ると遮光カーテンが少しだけ開いている。
うっすらと初夏の生ぬるい風が室内に入ってきたことから、窓も開いているのだろう。
どうして窓がと思ってベッドの方を見ると、そこはもぬけの殻だった。
奈夏が開けたのだろうかと布団から這い出してそっと窓辺へ行きカーテンの細い隙間から外を見ると、たいして広くもないベランダにこちらに背中を向けた奈夏が立っていた。
そろそろと開いていた窓の隙間からベランダにするりと体を滑り出す。
「奈夏?」
おそるおそる声をかけると、ベランダに寄りかかっていた奈夏が驚いたように眉を上げて振り向いた。
「悪い、起こした?」
ふるふると首を振る。
「何してるの?」
「ああ、あれ」
揚羽の質問に奈夏はひょいとベランダの先にある顔を出しかけている紫のグラデーションを丁寧に塗ったような朝焼けを指差した。
「きれい」
ぼんやり呟くと。
「朝焼けが好きでよく早起きして見るんだよ」
「そうなんだ。どうして朝焼け?」
花も人もなにもかも好きだと言った奈夏の特別なのだろう。
ひろがっていく太陽光に瞳を細める眼差しは穏やかだ。
「きっかけなんだよ、絵を描き始めた」
「きっかけ?」
「六歳の頃たまたま早起きしたときに見た朝焼けがオレンジとピンクに紫色ってグラデーションで、感動して色鉛筆で画用紙にそれを描いたのがきっかけ。それ以来のめり込んで誕生日もクリスマスもプレゼントにねだったのは全部画材だったよ」
くすりと自分の過去を思い出して笑う奈夏の瞳はキラキラと輝いていて、揚羽はぽつりと声を零した。
「奈夏の見てる世界を見てみたいな。絵なんて僕には描けないけど」
奈夏に並んで朝焼けの方を見つめると、朝日はすっかり上がってしまい眩しくて目を細める。
奈夏が見る世界はきっと揚羽が見ているものよりも彼が描く絵のように綺麗なのだろうと思う。
眩しくて目線を太陽から逸らすと、奈夏がじっとこちらを見ていた。
光を弾いた瞳がまっすぐに揚羽を貫く。
昨日好きだと告げられたことを思い出して、揚羽は目をさっと逸らしてしまった。
告白をなかったことにさせたのに、傍にいてほしいなんて図々しいことを言った自覚はあるのだ。
一人気まずい気持ちになり、ベランダから室内に戻ろうとしたら、揚羽と名前を呼ばれた。
なんだろうとくるりと振り向くと。
「今日は出かけようか。植物園にでも、せっかくなら画材持ってさ、絵を描きに」
魅力的な提案だった。
「いいの?」
嬉しくて勢い込んで尋ねれば勿論と頷かれ、揚羽は嬉しいと満面の笑みを浮かべた。
植物園に行ってから数週間後。
仕事で帰れない奈夏の勧めでその日の夕食は、一人で美里の店へと来た。
扉を開けて、サンキャッチャーのチリンという音を聞く。
店内に入ると意外な人物がいて、揚羽は目を丸くした。
「やあ」
お客は一人だけ。
上等なスーツに身を包んだ石動和也だ。
「和也さん」
「奇遇だな、揚羽君」
和也の前には山盛りのペペロンチーノが置かれている。
相変わらずよく食べるなあと思いながら、ちょいちょいと手招きされるのに甘えて隣に座った。
「今日は兄貴は仕事か?」
「はい、和也さんもここのお店知ってたんですね」
「ああ、常連だ」
こくりと頷きながらも凄い勢いでパスタが減っていっている。
「本当、よく食べるわね」
「体が資本だからな」
美里の呆れたような言葉に、下品でない所作で和也は笑った。
「最近はどう?奈夏と仲良くしてる?」
ピッチャーからグラスに水を灌ぐ美里の言葉に。
「植物園に絵を描きに行きました」
「もっといい所連れて行ってあげればいいのに」
肩をすくめる美里に思わず苦笑してしまう。
彼女のいい所は、もしかしたらウィンドウショッピングなどかもしれないと思う。
「それより最近あんまり食べてないんだって?あいつが心配してたわよ。何かたべさせてくれって」
「え?」
美里がカウンター越しにその青い目を向けると。
「ああ、ただでさえ細いのに心配だと言っていたな」
和也も水の入ったグラスを持ち上げながら頷いた。
その言葉に、奈夏が気にかけてくれたことが嬉しくてひっそりと喜んでしまう。
胸がほわりと温かくなった。
「さっぱりした冷製パスタ作るから、しっかり食べてね」
美里がパチリと長い睫毛でウインクする。
「うん、ありがとう」
その後に美里が出してくれたのはトマトをふんだんに使った食べやすい冷製パスタでスルスルと喉を通ったが、結局半分も食べられなくて謝罪しながら店を後にした。
美里は気にするなと言ってくれたが、心苦しい。
家に帰ると桜がにゃあんと足にすり寄ってくる。
その頭をひと撫でして、リビングの壁にかかっているカレンダーの前に立った。
最近食欲が落ちている理由はわかっている。
発情期が近づいているのだ。
普通、発情期は体温が上がってその期間を乗り切るために睡眠欲と食欲が増す。
けれど揚羽は食欲が沸かない。
体が弱いせいなのか体質なのかはわからないけれど、体温の上がる気持ち悪さに睡眠も浅くなる。
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「やだな……」
発情期は無理矢理犯されたことしかない。
はっきり言って恐怖のトラウマだ。
「どうしよう、オメガって奈夏は知ってるかな」
奈夏なら揚羽の素性くらい簡単にわかるだろう。
「でも調べなかったって言ってたからバレてないかな」
発情期がくれば、嫌がおうにもアルファを誘ってしまう。
アルファの奈夏には迷惑しかかけない。
「その前になんとかしないと……」
奈夏にはオメガだと言うこと。
妊娠しないこと。
ましてどんな扱いを受けたかなんて絶対に
知られたくなかった。
(けど、多分もうすぐ来る)
「とりあえず、もうちょっご飯食べないと奈夏が心配する」
ここ二、三日はまともに食事をしていない
のでただでさえ風邪だと偽っても心配されて
いるのだ。
よし、と勢いよく顔を上げた瞬間。
目の回る感覚にへたり込んで、そのまま崩
れ落ちた。
「揚羽!」
帰ってきたらしい奈夏の叫び声が聞こえた。
すぐに病院へと揚羽を抱きかかえながら電話する奈夏に、揚羽はうわ言のように嫌だ、行きたくないと繰り返していた。
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