極彩色の恋

やらぎはら響

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「オメガなんじゃないか?」

 目の前で赤ら顔で酒を飲んでいる男の言葉に、音石揚羽(おといしあげは)はぴくりとお酌をしていた手をかすかに動かした。

「もう十八だろう?そんなになよなよとしていては立派な後継ぎになれんぞ」

 わははと高級スーツに身を包んだ男が笑えば、周りの同じように酒をあおっている似たような恰好の年配男達がそうだそうだと笑って同意する。
 細く華奢な体に高校の詰襟の学生服を着ている揚羽は、何も答えられずに曖昧に眉尻を下げた。
 先ほどからずっと同じようなことを言われている。
 けれど、自分の家より格上の家の人間に失礼な態度をとればあとで父親に叱られる。
 内心重い溜息を吐いた。
 今日は石一族と呼ばれる大きな一族の本家での会合だった。
 土地も転がし会社を経営し色々な事業で名を馳せている一族だ。
 揚羽の家は末端ながら、それなりに金を持っている家なので父親が他の家に金を払って会合へ音石家をねじ込んだ。
 少しでも上からのお目こぼしをもらうために。
 だからこの広い座敷の大広間で父親が他の家の家長や後継者に顔を覚えてもらおうと挨拶をしてまわっているあいだ、会合はもう終わったのにダラダラと酒を飲んでいる男たちに揚羽は酌をするよう命令された。
 今日は石一族の筆頭である石動家の当主が亡くなって初めての会合だ。
 遺言も残っているし、以前からずっと決まっていた石動の長男の後継ぎ問題に自分の家へわずかでも利益が入るようにと遺産を狙って、一族の老齢たちが後を継ぐのはまだ早いと文句を言うために開いた会合だった。
 それもそうだろう。
 揚羽は会合に参加したのではなく、終わって酒宴が始まってから部屋に呼び出されたのだが、ちらりと上座に座っている男を見れば年若い。
 たしか二十五だと聞いている。
 自分よりはるかに若い男に頭を下げるのは、年老いた男達には我慢ならないのだろう。
 父親も、自分より若い後継者に不満を言っていた。
 上座には後継者になる男が隣にいる人物と話している。
 名前はたしか石動奈夏(いするぎななつ)といったはずだ。
 少し長めの黒髪に、形の良い鼻筋と薄い唇。
 涼し気な目元もあいまって、綺麗に整った顔をしていた。

(凄いなあ。あんなに若いのに堂々としてる)

 委縮することもなく上座に当然のように座っている男は、すでに他家の家長なんかよりも格上の存在だと雰囲気でわかった。
 そして彼はアルファだ。
 その気配は濃厚で、どれだけ力のあるアルファなのか周りもまざまざと感じているはずだ。
 それは揚羽も同じだった。
 この世にはバースという第三の性がある。
 男や女とは違う、アルファ、ベータ、オメガと呼ばれるものだ。
 アルファは上位種でありすべからく能力が高い種だ。
 そしてベータは大多数の一般的な人間。
 それに対してオメガは劣等種と呼ばれている。
 数ヶ月に一度、動物のように発情期が起こり男でも子を産むことのできる体を持っている。
 オメガはその発情期にフェロモンを出し、アルファを誘惑する種だ。
 だからオメガは下等に見られている。
 フェロモンだけでなく発情期のあいだはまともに生活も出来ないので、当たり前のように仕事や学校に支障が出るからだ。
 ただ、オメガはアルファを産みやすい。
 発情期の性行為のなかアルファがオメガの項を噛めば、番となる。
 その番からは高確率でアルファやオメガが産まれるのだ。
 石一族もそうだがアルファ至上主義のなかでオメガは蔑みながらも道具としては優秀。
 そんな立ち位置だった。

「オメガだったら孕ませてやるんだがな」
「おいおいやめろ、こんなパッとしない顔に」

 ゲラゲラと笑う声。
 縦長の大広間に揚羽の周りから下卑た笑い声が上がったときだ。

「いい加減やめとけよ」

 滑らかな声に、目の前の男たちが息を飲んだ。
 揚羽がおそるおそる男たちの目線を追って振り向くと、後ろに立っていたのは石動奈夏だった。
 彼は笑みを浮かべて男たちを見下ろしていた。

「耳障りだからさ」

 圧倒的な存在感と眼差しに、男達が一瞬にして縮こまってしまった。
 笑っているのに威圧感がある。
 それはまるで肉食獣が獲物を前に悠然と微笑んでいるようだ。
 揚羽も思わず背筋を伸ばしてしまう。
 そんな揚羽にちらりと一瞥すると、興味もなさそうに奈夏は。

「俺抜けるわ」

 スタスタと広間の襖を開けて出ていってしまった。
(助けてくれたんだよな)
 襖の向こうに消えた背中に、揚羽は次期当主に助けられるとは思わなかったと驚いた。
 こんな年上の人間達にまったく退けをとらないなんて、凄いなあと思ってしまう。
 この中にはアルファだって何人もいるのにだ。
 男達は揚羽を酒の肴にすることが出来なくなって鼻白んでいたが、まだ他の本家の人間が広間に残っているので文句を言うことも出来ず面白くなさそうだった。
 結局揚羽は父親から先に帰るように言われて、ほっと肩の力を抜きながら帰ることにした。
 音石家の車は父と乗って来たので待つことなく揚羽は早々に落ちつかない本家の屋敷を出た。
 まだ薄寒い春の始まり。
 空は水色をはけではいたように淡い色をしている。
 それでも空気はどこか柔らかく、近くだし歩いて帰ることにした。
 通りに出るためにコンクリートの歩道を歩いていると、視界の端に淡いピンク色が目に入った。
 思わずローファーを履いている足を立ち止まらせる。
 視界に入ったピンクは、公園を囲んでいる木々のようだった。

「桜……だよな」

 もう咲いてるんだとぼんやり思いながら、その方向をじっと見た。
 桜なんて珍しくない。
 揚羽の通っている学校にだってたくさんある。
 けれど、酒宴の場ですっかり疲れた心が癒しを求めて、なんとなく揚羽は寄り道していくことにした。
 横断歩道を渡って近づいていけば、公園の入口には揚羽でも知っているチューリップが花壇に植えられていた。
 赤いチューリップではなく、白に赤い絵の具をつけたような二色のチューリップが植えてあり、こんな色もあるのかと花に詳しくない揚羽には物珍しかった。
 コンクリートの歩道からゆっくりと公園に入ると、外から見たほど桜はまだ満開ではなかった。
 遠目に見たときは満開に見えたが、近くで見るとまだ蕾もあり六分咲きといった感じだ。

「満開までもうちょっとかな」

 少し残念に思いながらも桜を見上げながら思いのほか大きな公園内をのんびり歩いていると、いっそう立派な桜の木が見えた。
 その桜はもう八分ほど咲いていて、ピンクの花をこれでもかと主張している。
 もっと近くで見たくて歩いていくと、その木から少し離れた場所に男が立っていた。
 まっすぐな長身は一八十はあるだろう。
 上等なスーツのジャケットが汚れるのもかまわず地面に放置して、シャツを捲り上げて彼はスケッチブックだろうか、何かを書いていた。
 その横顔は真剣で、けれど花と手元を交互に見る眼差しは柔らかく楽しそうだった。
 熱心な横顔に、思わず目が吸い寄せられる。
 男は先ほど揚羽を助けてくれた、石動奈夏だった。
 何故こんなところにいるのかはわからないが目が離せずにじっと見つめていると、視線に気づいた奈夏がちらりとこちらを見た。
 それにドキリとする。
 時期当主に失礼なことがあったら、あとでこっぴどく父親に叱られるだろう。
 けれど、さきほどの礼を言いたくて。

「あの……」
「なんか用?」

 口元に笑みを浮かべた奈夏に、揚羽はほっと息を吐いた。
 案外気さくな人なのかもしれないと思う。

「さっき、助けていただいてありがとうございます」
「さっき?」

 訝し気に首を傾げたあと、奈夏はああと小さく頷いた。

「オッサンどもに囲まれてた」
「はい、ありがとうございます」

 上から数えた方が早い一族の男たちをオッサン呼ばわりに、揚羽は目を丸くしたがそれはともかくと、ぺこりとお辞儀した。
 丸い頭が下がると、サラサラとした艶やかな黒髪が風に揺れる。

「いーよ別に、うっとおしかっただけだし」

 顔を上げると、奈夏は肩をすくめてみせた。

「音石家の人間だっけ?」

 手に持っていたのはやはりスケッチブックで、奈夏は鉛筆でまた何やらさらさらと書き出した。
「え、なんでわかるんですか?」

「今日来る人間は頭に入れてある」

 こともなく言った奈夏に揚羽は驚いたけれど、それくらい出来ないと当主なんて務まらないのかなとチラリと思う。

「音石家の音石揚羽です」
「ふうん、父親と違って擦れてないね」

 その言葉に揚羽は思わずうつむいた。
 父親は今日、無理矢理出席して顔つなぎを必死でしていた。
 そのことについての当てこすりだろうかと思い、恥ずかしくなったのだ。
 けれど。

「父親の方はうっとおしいけど、あんたはそんなに悪くないね」
「へ?」

 思わぬ言葉にまぬけな声が出た。
 視線を上げて奈夏を見上げて見ると、悪戯気ににひりと笑っている。

「悪くないって?」
「媚びてこない」

 ハッキリと言い切った奈夏に、思わず揚羽はまじまじと男の顔を見た。

「あの野心家な父親じゃ、どんな息子かと思ったけどね。媚びた目もしてないし、態度もそんな素振りがない」

 なんと答えていいやらで、揚羽はへにょんと眉を下げた。
 そりゃあ当主とお近づきになれるなら、大抵の人間はへりくだるだろう。
 揚羽だってここに父親がいればそうした態度をとれと言われたはずだ。
 ただ元来引っ込みじあんな揚羽は、友達もいないしコミュニケーション能力が低い。
 それに所かまわずそんな態度をとられるのは嫌だろうというのが揚羽個人の考えだった。

「今は、父がいないので……」
「なるほど」

 揚羽の言葉に奈夏が頷く。

「えっと……」

 なんて呼んだらいいだろう。

(石動様?奈夏様?)

 考えて呼びあぐねていると。

「奈夏」

 突然そう言われて揚羽は小首を傾げた。

「奈夏でいい」
「奈夏様?」
「様もいらない、呼び捨てでいい」

 シャッシャッとスケッチブックに鉛筆を走らせながら、チラリと一瞬奈夏の眼差しがこちらを向く。

「そ、それはさすがに!」

 あたふたしながら呼べませんとブンブン首を振ったが。

「堅苦しいのは嫌いなんだよね。敬語も禁止な」
「ひええ」

 一族筆頭次期当主に恐れ多い。
 思わず情けない声が出ると、ぷっと奈夏が噴き出した。
 そしてケラケラと笑いながら。

「いーじゃん別に、ほかに誰もいないんだし」

 スケッチブックから揚羽に顔の向きを変えて、奈夏が人好きのする笑みを浮かべる。

「ほら、奈夏って呼んでみな」
「えぇ―……」

 ほらほらと促す奈夏に観念すると、揚羽はうろうろと視線をさまよわせた後に小さく呟いた。

「……奈夏」
「はいよ」

 軽く返事をした奈夏に。

「やっぱり無理です!」

 思わず声を上げた。

「硬いね揚羽」

 くすくすと笑われて、揚羽はカアッと頬に朱を走らせた。
 真面目一辺倒で面白みのない人間なのは自覚があるから遊ばないでくれと思う。
それに呼ぶ友達もいないので他人を名前で呼んだことなんてない。

「別に誰もいないときくらい気にしなくてもいいのに」

 言って、またスケッチブックに鉛筆を走らせる。
 何を書いているんだろうと気になって、思わず揚羽はその手元をじっと見た。

「気になる?」
「いえ!」
「ははっ嘘つきー」

 揚羽に視線をチラリと向けて悪戯気ににやりと笑う。

「ま、見てもいいけどね」

 ちょいちょいと手招かれたので近づいて隣に並ぶと、スケッチブックをほらと奈夏が見せてくれた。

「わあ!」

 その真っ白なスケッチブックには目の前にある立派な桜の木が黒一色で描かれていた。
 スケッチブックのページは線の一本一本がしっかり描かれているようでありながら、余白も上手く使って桜の大木を見事に描いている。

「すごい……すごい!黒一色なのに桜の木ってわかる」

 目をパチパチさせながらまじまじとスケッチブックの桜を見つめて揚羽は口の中で何度も凄い凄いと呟いた。
 ただの鉛筆で描いていたはずなのに、太さも濃淡も幅広くて、自分だったらとても描けないと思う。
 まるで魔法だ。

「凄いですね!」

 目をキラキラさせながらスケッチブックから顔を上げると、奈夏がぽかんと口を小さく開いたあとに。

「さーんきゅ」

 しんなりと瞳を細めると、奈夏の黒い目の光彩に春の日差しが当たりチカリと弾いた。

「絵、好きなんですか?」
「敬語」

 気になって尋ねると、間髪入れずに訂正された。
 うっと喉を詰まらせると、おかしそうに口端を上げてスケッチブックのページをまくり、奈夏は新しいページにまたペンを走らせ出した。
 その顔をちらりと一七十がギリギリの身長の揚羽は見上げる形になる。

「絵が、好き、なの?」
「ふは、なんでカタコト」

 おずおずとぎこちなく口を動かせば、奈夏がまたケラケラと笑う。
 その顔は爛漫で、なんだかよく笑う人だなと思う。

(なんか、太陽が似合う人だな)

 陽光のなか笑う表情は柔らかく、威圧感を感じない。
 こちらが素なのかなと思う。

「描くのは好きだよ。面白いからね」

 軽快に動いていた鉛筆が止まって、ほら出来たとスケッチブックを渡された。
 そこにはやたらとブサイクに大口を開けたデフォルメされた男の顔が描かれていて。

「さっきのオッサン」
「ぶふっ」

 その一言に思わず揚羽は盛大に吹き出した。
 よく特徴をとらえているその顔は、確かに先ほど揚羽に絡んできていた男の一人に似ている。
 ぶくくと笑いを噛み殺しながらも。

「もっとだらしない顔してたよ。こーんな」

 指先で口角を横にむにっと伸ばすと、揚羽はえらそうな顔だったと付け加える。
 すると、こらえきれないと言うように奈夏は声を上げて笑った。

「ははっ」

 ケラケラと笑い上戸なのだろう、笑う奈夏につられて指を離した揚羽もふは、と笑い声を上げた。

「さっきの桜、あれで終わりです、終わり?」

 敬語で言いかけて奈夏にチラリと口元を見られて、慌ててもごもごと言い直すと。

「いや、でかいキャンバスに描くよ。さっきのはただのスケッチで油絵で描くつもり」
「そんなに本格的なんです、なんだ」

 なにやら微妙な言い回しになってしまうが年上でもあるし敬語を使わせてくれないだろうかと思う。
 しかしこの目の前にある凛としたピンク色の咲き誇る見事な木を、どんなふうに描くのか揚羽は気になって仕方なくなっていた。

「タメ語慣れてね」

 無茶言わないでほしい。

「しばらくここで毎日描くつもりだから、気になるなら来てもいいよ」
「え!」

 軽く言われた誘いに、揚羽は丸い目をますます驚きで丸くした。
 てっきりこの場限りの会話だと思っていたのに。

「ただし父親には言うなよ俺のこと。あんたなら変に邪魔したりしないだろうから、言ってるんだし」
「も、もちろん!」

 こくこくと揚羽は大げさなくらい大きく頷いた。
 こんなふうに人に声をかけてもらえるなんて、初めてのことだ。

「絶対きま、来る!どんな絵か楽しみです、だ」
「はは、口調ぐちゃぐちゃ」

 おかしそうに笑う奈夏の少し長い髪を風がさらりとさらっていく。
 端正な顔は笑うと人懐こい雰囲気で、やっぱりお日様が似合うなあなんて揚羽は嬉し気に目を細めながら思った。
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