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第二部 エリミア編

43 契り屋

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「気づきましたか。ネオルノ先生のお察しの通りですよ」

「ねぇ。何の話?」

 ガルクは意味が分からず聞いた

「ガルク。誰かと約束をするときは、何が重要だと思いますか?」

 ネオルノ先生はガルクに質問した

「約束?僕は約束はしないんですよ」

「どうして?」

「父さんのせいですね。父さんは、息子との約束を守らず、唯一王の仕事を優先しました。その時から、僕とシュリオンは、約束しても親ですら裏切る事を知りましたから・・・」

「いわば、約束は信頼関係で成り立ってるんだ」

 アイリンが口を挟んだ

「だが、人には約束を守れない奴がいる。犯罪者とかもそうだ」

「だから、本当に重要な約束をするには、どうしたらいいと思いますか?いずれ、何かの授業でやるかもしれませんが・・・」

 ガルクは真剣に考えたが、分からなかった

「ごめんなさい。分かりません」

「分からないのは当然なので、謝らなくて良いですよ」

「ガルク。約束を守らせるには、対価を用意するんだ。それは、約束を守った報酬でも。裏切った場合の代償でもいいんだ」

「なるほど。褒美と恐怖ですね」

「えぇ。そして、ある職業があるのを知ってますか?」

「職業?」 

「契り屋。って知りません?」

「契り屋?聞いたことないです」

「まぁ、普通に生きてれば、聞くことないだろ。契り屋ってのは、約束を守らせる職業だ」

「例えばですよ。私が結婚してたとします。夫は浮気癖があり、日々頭を悩まされていました。けど、別れたくない!一緒に居たい!だけど、浮気をしてほしくなかったとします。そこで、契り屋に行き、夫と契りを交わすんです」

「どんな?」

「妻以外に好意を二度と持つことができない代わりに。私は、夫以外の異性と喋ることができない。みたいな」

「いわば、夫は浮気はできなくなるが、妻も対価を支払う」

「え?まだ、契り屋って存在してるの?」

「クルトナ家と同じ、ある家系で代々、一家の主が引き継いでいるそうです」

「というか、一家の主しか能力を使えないという契りを交わしてる」

「じゃあ、クルトナ家はどんな契りを?」

「もう、帰っていい?」

 ガルクは、どんどん質問していくが、ドードルは退屈そうだった

「行っていいぞ。悪かった」

 ドードルは、空間を切り裂いて消えた

「クルトナ家の契りは、契り屋の家系と似ていてな。代々、憑依能力を継承できる事の代償に、子孫を産んだ妻の命は失われる」

「だから、母親が存在しない」

「母親代わりを用意してもいいんだが、クルトナ家の存在はあまり知られない方がいい」

「母親の命って、対価が大きすぎない?」

「契りを交わすときに、命以外の対価では契れなかったそうだ」

「ガルク。代償というのは、同じ重さでなくてはならないのです」
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