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第二部 エリミア編

36 亀裂

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「リッゾルの行動は、どう説明しますか・・・」

「リッゾルは、他の事件とは関わってはいないの?」

 シュリオンが聞いた

「例えば?あなたは、他のテロを知ってるのですか?」

 フェーナがいる前で、シュリオンは事件の話をできなかったのに気づいた。記憶を書き換えられているから、何の話をしているのか理解はできないはだが

「え?他にもテロがあったの?」

「あぁ。公にされていないけどな」

 アイリン・クルトナが答えた

「そうなの・・・。何で、シュリオンが知ってるの?」
 
「あ~」

「どうして、他にもテロがあるって」

「それは、テロリストが一回だけで終わるのかということだ」

 ガルクがすかさずフォローした。その直後、アイリン・クルトナの元に連絡が入った

「リッゾルが目覚めた。いくぞ!」

 アイリン・クルトナとフェルムス一同は、真っ先に校長室を出ていった

「フェーナは、部屋に帰りなさい。ガルクとシュリオンは、フェーナを部屋に連れていったら、すぐに来なさい」

「え?何で私だけ・・・」

 ネオルノ先生と校長は、三人を校長室から追い出して、医務室に向かった。取り残された、三人は喧嘩しだした

「どうして、私だけ!」

「それは、あれだろ・・・」

 シュリオンとガルクも真意は分からなかった。だが、トラウマがあるフェーナをこれ以上、巻き込まない為だとは考えていた

「リッゾルの一番側にいたのは私よ!」

「だが、先生に部屋に行けと言われたろ。行くぞ」

 シュリオンはフェーナの腕を掴んで、歩きだした。しかし、フェーナがすぐに振りほどいた

「先生達は、私が二人より劣っていると思ってんの?!」

「それは、違うだろ」

 シュリオンはそう言ったが、ガルクは否定しだした

「いや、君は僕らより劣る。勉強では、上だが。その人の価値が出るのは、緊急時だ。シュリオンとフィオルは、生徒を助けに。僕は、テロリスト達を追っていた。その時、君は何してた?」

「ガルク・・・。やめろ」

 シュリオンはガルクの口を手で塞いだ

「は?何それ。何が言いたいの?!」

「安全な広間で、喪失してただけだろ」

 シュリオンの手を振りほどいて、ガルクは言った

「爆発音を聞いたら、両親のことを思い出したのか?」

「あんたに何が分かるの?!私の何を知ってるの?!」 

「フェーナ。落ち着け」

「あんたもよ!ガルクが、私を役立たず扱いしてるとき。あんたも、そんな風に考えてた」

「そんなこと、思っていない!」

「嘘よ!私には分かるから!」

「フェーナ。勝手に心に踏み込むのは失礼だぞ!」

「ガルク。黙れ!それ以上喋るな!」

「何命令してんだ?シュリオン。ところで、お前がフェーナの役に立ってんのか?」

「は?」

「フェーナを元通りに能力を使えるようにさせたのは僕だ!リンドルズ学校が襲撃された時に、お前はフェーナと広間に居ただろ。何で、側から離れたんだ?その時に、なだめてれば良かったのに!」

「なだめる。って何よ!」

「フェーナが、広間で塞ぎこんだのを俺のせいにするな!フェーナ自身の問題だ!」

「私の心が弱いと言いたいの?」

「シュリオンは言いたいんじゃない。そう、言ってんだ。いい加減、前に進めよ!」

 フェーナはガルクをビンタした
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