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第一部 地球編
36 バリオンと
しおりを挟む「その後、冷戦に突入した世界は、緊迫してました。また、戦争が始まったら、さらに強い武器が世界を壊すと。だから、国際連合は私達を一掃する計画を立てました。私の最後の記憶は、やっと取引の資源の準備が出来たと、呼び出された所までです。マスターウェザーによると、世界中で私達を騙し討ちして殺していったそうです」
バリオンが過去に何があったか喋ってるのを九人は聞いていたが、これはみんな大まか知っていた。理由は、テュールに渡された暗号のUSBメモリがエイリアンとコンタクトをとったことのある国や機関の資料が入ってたからだ。なので、話聞くよりもコントロール室の外で何かが動く気配がしていたので、そっちに集中してた
「騙し討ちにされた時。部下の一人が命をかけて母星に連絡をし、宇宙船を砂の下に隠してくれました」
「母星に連絡した?」
「はい。ですが、50年程地球に来るのに時間がかかるので、私達は異星の地で死んでいきました」
「50年って・・・。あなた達って何年前に死んだの?」
「49年前です」
「嘘。あなた達の星は復讐するよね?」
「恐らく。地球を全力で潰しにかかるでしょう」
レッドマジシャンとビーストソウルは顔を見合わせた。二人とも顔面蒼白だ
「ところでレッドマジシャン。周りの人達は何かを恐れてるようですが」
「多分、この船の警備システムである黒い球体が動くのが気になるのでしょう」
「あれが恐いのですか?」
「未知は恐怖よ」
「なるほど。あなたはマスターウェザーに育てられたのですか?」
「直接ではないけど」
「彼は、あれを恐れませんでしたよ。警備システムの球体を壊すことを楽しんでいました」
「人格変わってた?」
「狂気を感じました。彼があれを恐れなかったように、レッドマジシャンと隣の青年からは恐怖を感じません」
「手帳に書いてあって知ってたからな」
「私達も知らなかったら恐かったでしょう」
「レッドマジシャンと隣の青年。ゲームをしましょう。この星にはチェスという遊びがありますね。あれで、勝負です」
「勝ったら、何か貰えるかな?」
「景品無いと、あなたやる気でないもんね」
「あなた達が勝ったら、地球に来たエイリアンのデータを見せます。どんな能力を持ってた人がいたかを知れますよ。あなた達が把握してるのは全てではないはず」
「もし負けたら?」
「負けたら、全員に死んでもらいます。マスターウェザーが寄越したなら負けないはずなので」
「いいよ」
「こっちもだ」
レッドマジシャンとビーストソウルは了承したが、他のメンバーは意見が割れていた
「何で死なないといけないの?何でこんなところ来たんだろう。暑い上に死ぬかもしれないとか最悪」
「上司たるもの命を部下に預けられる」
「僕はいつでも命預けてるからいいよ」
「教え子に殺されるのなら本望」
「彼に同じく。というより、あの二人は負けたりしない」
「おめでたい人たちだな。俺の願望の死に方じゃない」
「こんな死に方より、俺が全員殺してやろう。そっちのほうが熱くなれそうだ」
二人はみんなのやり取りを見てた
「そうだ。ゲームをもっと面白くしよう。ここの警備システムを初期化して君らを襲わせよう」
「面白そう。運動しながら頭脳戦出来るなんて」
「ガキの頃、マラソンしながら二人で脳内オセロやったの思い出すな」
「おい!二人で進めるな!」
タンクがそう言ったが無視だ
「無視か。先輩なのに。副隊長なのに」
「警備システムの初期化は、私にはできないので、私の指示通りあなたがやってください」
バリオンは二人にそう言うと、二人をデスクがない椅子に座らせた。すると、バリオンと同様にリアルなホログラムのデスクが映し出された。それを二人に指示した通りいじらせた。すると、無数の黒い球体が猛スピードで九人に襲いかかってきた
「この船のどこで戦っても、どこに逃げてくれても構いません。ただし、船からは逃げないこと。じゃあ私から先攻ですね。e4」
ホログラムのチェス盤が浮かび上がると思っていた全員だったが、何も浮かび上がらなかった。その間に黒い球体は容赦なくぶつかってくる。みんな、能力を使って攻撃を防いだり、壊しにかかった
「脳内か。e5」
「ナイトをf3」
一対二のチェスが始まった。しかし、他の七人は必死だった。タンクは鉄球に破壊エネルギーを込めて撃ってるが、球体は鉄球を上手く避けるので倒せず。ガントンは手からエネルギー弾を撃ってるが他の人に当たりそうになっていた。カーナは相手が生命ではないので、サンストーンの背中に隠れ。サンストーンは二刀流で球体を斬ろうとしたが、球体に刃が通らず、まるで球体と鍔迫り合いとなっているようだった。スノーメロディーは球体を氷に閉じ込めようとしたが、その氷がトリックスターに当たってしまった
「こんな時でも、僕を殺そうとするのか?」
「そこ邪魔なのよ」
「『解』」
トリックスターは小刀を三本取り出し、スノーメロディーに飛ばした。それをスノーメロディーは氷で防いだ
「刃物を人に飛ばしてはダメって教わらなかった」
「後ろの球体を狙ったんだ。君を助けようとしたんだ。僕ってなんて優しいんだろう」
二人はその後、球体そっちのけで殺し合いを始めたが、テュールに二人ともぶつかってしまった
「俺と勝負したいのか?」
二人が揃って首を横に振る。その時、タンクの鉄球とガントンの弾が飛んできた。テュールは二人を突き飛ばした
「おい!タンク、ガントン!お前ら他でやれ!宇宙船内どこ行ってもいいんだから、こんな所でやるな」
テュールにそう言われた、タンクとガントンはコントロール室から出ていった
「テュールさん。この球体どうやって倒せばいいの?」
トリックスターに言われたテュールは浮遊してる球体の一つを鷲掴みにして、握り潰した
「こうだ!」
球体をテュールは握力だけで壊した。トリックスターとスノーメロディーは
「なるほどな(ね)。出来るか!」
それを見ていたサンストーンがテュールに向かって言った
「テュール。お前しかそんなこと出来ないぞ!現実的な倒し方無いのか?」
「サンストーン。ここにいる者に現実的な倒し方は無いだろ」
色々、球体を通して各々が揉めている間、レッドマジシャンとビーストソウルは襲いかかってくる、球体を避けながら脳内チェスをしていた
「ナイトを使うべきでしょ?」
「ポーンを一つ進めるのが最善だ」
「そんなの読まれてるに決まってる」
「君もだろ?」
こっちも色々、揉めていた。すると、一つの球体が二人を狙っていた。二人はそれに気付いていないようだ。それを見た、トリックスターとスノーメロディーが二人を狙う球体向かって走り出した
「『ff』」
二人が球体を殴ると、その球体は反対側の壁に飛んでいった
「なるほど、飛ばせばいいのか。『解』」
トリックスターは棍棒を取り出した。それをサンストーンの後ろに隠れてるカーナに投げた
「カーナさん野球得意?思う存分、球を打てるよ。ただし、棍棒は一つしかないから折らないで。僕とこいつは拳で飛ばすから、二人で使って」
その時、レッドマジシャンとビーストソウルがトリックスターを呼んだ
「ねぇ。あなたならどうする?ナイトを使う?ポーンを使う?」
「僕?」
二人は、紙に今の配置を書いて、トリックスターに見せた
「僕はビショップをここに持ってくる」
「了解」
「なるほど」
二人は言われた通り、駒を動かした。次のバリオンは悩んでた
「理解できません。なぜ、このビショップを動かしたんですか?」
「彼に言われたから」
「ここに動かされるとは思いませんでした。こんな、凡人がやったような一手」
バリオンは頭のいい二人とやってたが、急に戦法が変わったので同様が隠せなかった。一方、球体と戦ってる者は楽しんでいた。テュールは久しぶりに握り潰しのある物と遊んでいる感覚だった。タンクは鉄球に破壊エネルギーを込めるのではなく、自分の拳に込めて殴っていた。その度に腕が壊れるので、カーナを呼ぶことになってしまった。ガントンはコントロール室に来るときに通った空洞を球体に追われながら移動してたら、先程見かけた操作盤が付いた板が浮遊してるのを見つけた
「さっきは浮遊してなかったのに。動力源が入ったからか」
それに飛び乗り、操作盤に付いてたボタンを一つ押してみた。すると、球体が沢山いる後ろに猛スピードで動き出した
「違う!違う!違う!逆だ!」
ボタンを適当に押し始めた。すると、球体にぶつかる直前に前に進んだ。球体からは逃げ切れたが、今度はどうやって停まっていいか分からず、宇宙船内をグルグル回っていた
「もういいよ。宇宙船内を移動する乗り物の凄さ分かったから。そろそろ停まって欲しい」
ガントンは結局諦め、飛び降りた。レッドマジシャンとビーストソウルは長いチェスの戦いを終盤に迎えていた
「なるほど、先程のビショップが後々効いてきました」
「でしょ?彼はそういう人間よ」
「これで、チェックメイトだ」
バリオンとの脳内チェスに二人は勝った
「参りました。しかし、警備システムは私には止められないので、自力でどうにかしてください」
「そこは大丈夫。みんな楽しんでるもの」
「そうですか。では、約束通りにデータを見せます」
バリオンは先程と同様、二人に機器をいじらせた。すると、ガラスだったところがモニターに変わった
「ちゃんと、地球の言葉で表示されてますね。これが、乗っていた二千人の一覧です」
顔写真と能力や家族構成等が書かれた、データが順番に再生されていた
「もう少し速く、スクロールできないの?」
「そこのボタンを押してください」
ビーストソウルがホログラムのボタンを押すと、二倍速になった。数十分後、最初の人物に戻ってきた。その間、球体は倒し終えたらしい
「行ってしまうのですか?」
「バリオン。ありがとう」
レッドマジシャンはそう言うと、指輪を抜いた。宇宙船内は真っ暗になってしまった
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