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第一部 地球編

32 地球の守護神達

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「止められなかった。核ミサイルが発射された」

 センスの辛そうな声に

「ハンドジェット!」

 タンクが耳が痛くなるほど叫んでる

「無理だ。俺は今、塔の中だ。それに最高スピードでもミサイルに追い付けない」

 ハンドジェットが膝から崩れ落ちた

「終わった。戦争が始まる」

「まだ、無効化できるかもしれない!発射装置についてるかも!」

 トリックスターの声に反応するものは誰もいなかった。沈黙はある人からの通信で破られた

「大丈夫だ。誰が地球を守ってきたと思ってるんだ?」

「エドガー隊長?」

「地球最強が味方で良かったな。今、奴が頑張ってる頃だ」

「マスターウェザーはミサイル止めれるの?スピードが違いすぎる」

「奴は天候そのもの。陸ではクイックに敵わない。なぜなら狭すぎるからだ。奴は飛行距離があればあるほどスピードも上がる。綿飴を作るときにどんどん大きくなっていくように。周りの天気や気圧等を巻き込みながら強くなり、速くなる」

「ミサイルより速いの?」

「あぁ。ミサイル発射された時には地球三周し終わっていた」

 通信を聴いていた全員が思っていた。ミサイル発射される事が分かっていた、エドガー隊長が凄い。そして、恐い

「今、新機軸開発班が制作したミサイルを機能停止にしてくれる機械を付けた頃だろう。これなら周りへの影響を最小限に抑えられる」

 エドガー隊長の用意がよすぎるくらいだ。A.C.T アクトの隊長二人は、老人という感じではなく。仙人。いや、神と思われているだろう

「戦士隊隊長に代わって命令する。お前らは必ずエイリアンを仕留めろ」

「了解!」

 全員が覇気がある声で答えた



 トリックスターとハンドジェットが塔の上に行くと

「二人とも右の方だ。赤の帽子を被って、端で立ってる背の高い男」

 二人がセンスに言われた通りの男を見つけた

「目を瞑ってる」

「憑依中はこうなるんじゃないか?」

「立ったまま、寝てるみたいだ」

 その時、男が目を開けた。目を開けると二人が目の前に居ることにビックリしてる

「なるほどな。執務室に飛び込んできた奴もお前らの仲間か。久しぶりだな。トリックスターだっけ?」

「名前を覚えてくれてたんだ。シドニーではわざわざ味方を殺してくれてどうも」

「どういたしまして」

 ハンドジェットがブラスターを構えたが、トリックスターが静止させた

「先輩ちょっと待って」

「殺さないと」

「一分待って。誰かに憑依したら速攻で殺していいから。お願いします」

 ハンドジェットがブラスターを下ろした

「さて。おっさん質問があるんだけど」

「こっちは無い。さぁ殺せ!撃っていいぞ!」

「どこかで会ったことあるか?」

「シドニーで」

「それは憑依した後だろ。普通の姿で」

「お前みたいな奴会ってたら忘れん」

「だよな」

「宇宙船はどこだ?何しに地球に来た?」

「愛と救いを求めてかな?」

 エイリアンはニコニコ笑ってる

「殺してくれていいぞ。それとも捕虜にでもするか?」

「いや危険だから殺す。なぁ、本当に会ってないか?」

「くどいぞ!」
 
「トリックスター。そろそろ」

「分かった」

 ハンドジェットはブラスターを体中に連射した。エイリアンは叫び声をあげながら血が吹き出ている。撃たれた所が再生しかけては、また撃たれる。やがて声があがらなくなった

「『解』」

 トリックスターは試験管を取り出し、血を採り始めた



 六人は本部に帰ってきた。トリックスターだけ、空間移動で先に帰ってきて速攻でビーストソウルに会いに行っていた

「兄弟!」

 再会のハグをした。そして、ビーストソウルの次の一声でトリックスターは青ざめた

「メロディーは?」

「あっ。忘れてた!ヤバい!ヤバい!殺される!」

「忘れてたって。忘れるか普通」

「ワシントンD.C.行ってくると言った時から、少し嫌な顔してたから、存在忘れて本部に帰ったなんて聞いたら殺される」

「落ち着け!すぐに瞬間移動すれば気付かれない。転移用の物、置いてきてるだろ?」

「そうか、俺は空間移動能力者だ。焦ることないじゃないか。じゃあ行ってくるわ。『チェンジ』」



 ワシントンD.C.に行ってくる。と言われて、丸一日経った。スノーメロディーはトリックスターに放ったらかしにされて怒っていた

「連絡しろよ!帰ってきたらカリブ海沈めたろうか」

 そう言ったスノーメロディーは泊まっていた水上コテージでトリックスターが場所を入れ替える用のボールを目の前に置いて待機していた。三時間待機してると、ボールが消えトリックスターが現れた

「ただいま~」

「遅いよ。心配したんだから!」

 スノーメロディーは泣き出しながら、トリックスターの胸に飛びついた

「もう離さないよ」

「寂しかった?ちょっと離れてくれないかな。締めつけがキツいよ。そして、キモい」

 スノーメロディーが顔を上げてトリックスターを見た。泣き止んで笑っている

「私に言わないといけないことない?」

「特に無いな。嘘泣きやめてくれない?」

 トリックスターは平然と答えた。すると、スノーメロディーはトリックスターに触っている所を凍らせ始めた

「もう一度聞くわよ。言わないといけないことあるよね?」

「凍らせないでくれるかな?逃げられないよ」

「触られてると空間移動できないでしょ。何でビーストソウルの匂いがするの?答えなさい!」

「あー。ワシントンD.C.に行った後、君を忘れて本部に帰ってしまいました。申し訳ありません」

「私を忘れて本部に帰った!?」

「そう言ったろ。解放してくれるかな?凍死しそうだ」

「そうよ。今、凍死させてるのよ!」

 スノーメロディーは怒ってる。水上コテージの中は、霜ができ始めた

「悪いが、お前に殺されるのは屈辱すぎる。『解』」

 トリックスターが爆弾を取り出して、水上コテージが吹き飛んだ

 

 トリックスターとスノーメロディーは殺し合いを始め、カリブ海の一部が凍っていた。やがて二人は殺し合いに疲れて、氷上の上で仰向けになっていた

「立てよ。メロディー」

「あなたこそ立ちなさいよ!」

「はぁ。疲れたな。旅の始めより、いい勝負になった」

「同じ人と戦い続ければ、そうなるわよ」

「そろそろ。本部に帰ってもいいんじゃないか?」

「あの組織には、もう私の居場所は無いわ。だから、帰れない」

「オールロードの事か?」

「CAとの戦いで情報を流していたことは事実。私の行動のせいで、彼は死に。一般人達にも迷惑をかけた」

「それは君や俺を含めた全員のせいだろ?」

 スノーメロディーは泣き出した。今度は本当の涙だ

「みんなそう言ったけど、一番責任があると思ってる」

「みんな君の事を責めたりはしないさ。それでも、裏切っていたことに罪悪感の気持ちがあれば、なおさらあの組織に帰って、貢献することで居場所を少しづつ取り戻していけばいい」

「一緒にやってくれる?」

「僕も彼を殺してしまったことの贖罪をしよう」

「そろそろ、ちゃんと向き合わないとね。帰るか~我が家に」

「ビーストソウルが退屈に待ってる」

「ところで、何で一緒に旅をしたの?私のこと嫌いなのにわざわざ。それも、私への贖罪?」

「う~ん。それもあるけど、一番の理由は指輪だ」

 スノーメロディーが天に手を伸ばし指輪を見た

「これ?ずっと興味があったよね。詳しく話しなさい!」

「命令すんな!」

 二人は顔を見合わせ笑いだした。憎みあって、いがみ合って、殺しあった結果、最後に残ったのは絆だった。二人だけのちょっと変わった絆



 スノーメロディーとトリックスターが本部に帰ってきた。今度はトリックスターは空間移動を使わず、正規の入り方で来た。潜水艇から降りるとビーストソウルが待っていた。だが、降りてきた瞬間ビーストソウルは絶句した

「何で二人とも全身血だらけなんだよ」

「隣の奴のせいよ(だ)」

 二人が互いを指差して言った

「冷凍食品の気持ち体験したいようね」

「凍らせる前に切り刻んでやろうか?」

「良かった。仲良くなったんだな。昔は会話すら出来なかったのに、会話出来てるなんて」

 ビーストソウルの方を二人が見た

「どこがよ(だ)」

「ハモるな。どんだけ仲良しなんだよ」

「そうね。仲良しかもね」

 スノーメロディーはそう言うとトリックスターの首に手を回した

「ねぇ。トリックスター。あとで私とヤろうよ?」

「あぁ。僕も同じ気持ちだった」

「えっ!二人で何すんの?」

「男と女がやることなんて一つしかないでしょ(だろ)」



 その後、訓練場Ⅲでトリックスターとスノーメロディーがやりあってる

「トリックスター。もっと速く」

「メロディー。そろそろ体力の限界か?鈍いぞ!」

 二人が体術で殺し合っている。それを遠くからビーストソウルが見ている

「男と女が楽しめることなんて殺し合いよ(だ)!」

「ヤろうよ。って殺ろうよかよ」

「それ以外こいつと何があるの(んだ)?」

「・・・」

「真似やめてよ(ろよ)」

「愛憎という言葉がお似合いの関係だな」
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