トリプルクラッシュ ~3つの星の時空を越えた運命~

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第一部 地球編

29 トラブルトラベラー (トリックスター目線)

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 僕とスノーメロディーの旅は荒れるとは思ったが、それが海上に出るための潜水艇から荒れるとは思ってなかった。どちらが操縦するかで揉め、操縦方法の違いで揉め、狭い空間内で殴り合いが起こっていた。潜水艇が海上にあるA.C.T アクトの戦艦に着くと、船員達は血だらけの僕らを見てビビってた。甲板に行くとまた口論が起こった

「レディを殴るなんて、酷いことするわね」

「あっ!女性だったんだ。あまりにも女性らしからぬ態度のため気づかなかった。女性として扱われたいんだったら、それなりの態度をとって欲しいね」

「へー。先輩の私に文句あるの?」

「そちらこそ年上を敬って欲しいね。もう歳なんだから、体のあちこちが痛いよ」

 僕は殴られた所を触った。一歳差だろ。という軽蔑の表情ともとれる顔で見られた

「あっそ。だったらお爺ちゃん。私が楽にしてあげようか?」

 そういうと僕を船の甲板から海へ突き落とした。何が起こったのか分からず海へ落ちてしまった。けど、突き落とされる前に僕はチェンジ用のボールを甲板に置いといた為、すぐ戻ってきた

「お優しいお方ですね。お陰様でびしょ濡れだよ」

「どういたしまして」

「そういう行動が嫌いなんだよ」

「何か言った?」

 彼女が首を鳴らしながら満面の笑みで言った

「幻聴だろ」
 
 僕も指をポキポキ鳴らしながら笑った。この後に起こった事は、また殴り合い。さっきのように狭い空間ではないので蹴りや寝技等も使うことができた。しかし数分後船長が出てきた

「お願いだから、お二人ともやめてください!」

 ふと周りを見渡すと、船員がブラスターを構えて僕らを囲ってる。彼女は僕が周りを見渡してる間に、僕の顎をおもいっきり殴った。そして意識が飛んだ



 目覚めは最悪だった。陸に着いても気絶してる僕に彼女は雪玉を、顔にぶつけた。殴ったろうかと思ったが、着いた場所が見覚えのある光景だったため、そんなことできなくなった 

「ここは?」

「オールロードが死んだ廃村」

「内陸部にあるはずだろ」

「えぇ。お姫様抱っこして運んであげたわよ」

 女が男をお姫様抱っこは奇妙だ 

「どうしてここに?」 

「最初に来るのはここだと、あなたも考えていたはずよ」

 確かに僕もここに来ようと思っていた。彼女の手を見ると花束が握られていた

「献花に来たわ」

「献花するなら、慰霊碑が必要だな」

「そうね。造りましょうか」

 戦いで倒壊してる建物の瓦礫から探そうかと思ったが、修繕班が見事な仕事ぶりで片付けてくれていたので、それらしいものは落ちていなかった。仕方がないので、近くに生えていた木を勝手に伐採し、加工して。十字架をつくった

「彼はキリスト教だった?」

「知らない」

「キリスト教であったことにするか」

 その十字架に花束をお供えして、二人で黙祷をした。そして

「楽器出しなさい!」

「何の楽器?ていうか命令すんな」

「フルート」

「『解』」

 フルートを手渡すと彼女は、葬送曲を奏で始めた。彼女の演奏は初めて聴いたが、誰が聴いても惚れてしまうほどのものがあった。彼女はそのまま一時間演奏していた。一曲一曲を終えるごとに聴くのに没頭していた僕は、我に返ってた

「行きましょうか」

「もういいのか?」

「これ以上聴かされても迷惑でしょ?」

「僕は別に」

「あんたじゃなくて、オールロードがよ」

「そうだな。眠りの邪魔はできない。次の目的地は?」

「決めてない。もう遅いし寝床を探しましょうか」

 ということで、ホテルを探すことになった




「・・・」

「どうした?」

「何で一緒の部屋なの!」

「だって、予約もしないで押し掛けたからだろ。普通は泊まれないからな。部屋が空いてただけいいだろ?」

「だからって一緒の部屋は嫌だ!あなたは野宿しなさいよ!」

「断る。一緒の部屋が嫌なら、お前がそうしろ!」

「美女を危ない外で野宿させるつもり?」

「メキシコ人は女性だと認識してくれるといいな」

「チッ!私に変なことしようとしたら、凍死させるから」

「大丈夫だ。こっちにも選ぶ権利というものがある」

「何か言った?もう一度言ってくんないと分かんないわ」

「大丈夫だ。そんなことしないよ。と言ったんだ」

「あっそ。バック出して!」

 僕が彼女の大きなバックを取り出した。受け取った彼女は

「シャワーは私が先だから」

 と言って更衣室に行ってしまった。彼女がシャワーをするため指輪を外したら、調べてみようかと思ったが、更衣室に鍵をかけられ調べられなかった。やることが無いので、武器を取り出して手入れをしてるとバスローブを着て、指輪をしてバックを持った彼女が出てきた

「どうぞ」

 機会はいつでもあると考えて、風呂に入った。彼女の入った後の浴室は、冷蔵庫のように寒かった。能力により仕方がないことなのか、僕への嫌がらせで、わざとやったのかは分からないが、どちらにしろ舌打ちしたくなった。風呂からあがり、寝室に向かうと、彼女は下着姿で布団もかけずに寝ていた。僕を試してるのか?寝てるんだったら、指輪も調べられるぞ!だが、下手に触れたら殺されるぞ。それより起こしであげるべきか?彼女のことだ狸寝入りしてるに違いない。僕の頭の中は、いろいろな考えで渋滞していた。僕が導き出した答えは。無視して寝床につくことだった。だが、いざベッドに横たわると。男としてよくないと思い。結局、彼女のベッドに行き

「おい!」

 と言いながら、ビンタした。彼女は目をつぶりながら

「殺す」

 の一言。そして寝ている彼女は足で、立っている僕を蹴ろうとした。だが、僕は蹴られることを予想していたので足を掴んだ

「何すんだよ!」

「こっちのセリフよ!何でビンタすんの?」

「風邪引かないように起こしてやったんだろ!ていうかお前が何なんだよ!」

「何が?」 

「何が?じゃないだろ!僕を試したな」

「襲わないかって?」

「それ以外もだ。僕が取るどんな行動も正解はなかったはずだ。襲ったら、体も死んで、人としても死ぬ。布団かけたり、無視して寝ても、起こしても、女々しい奴だと馬鹿にしてきたはずだ」

「ご名答」

「何がしたかったんだよ」

「どんな選択肢を取るかと思って。よく予想できたわね」

「君が考えそうなことだ。はぁ。ところで、その指輪は?」

 僕が指輪を指差した

「これ?これはレッドマジシャンから貰ったものよ」

「彼女から?」

「正確に言えば、カーナさんが彼女に渡して、彼女が私に渡した」

「へー。カーナさんからね」

「あなたと潜水艇前で会う前に、レッドマジシャンと隊長室で会ったのよ。その時、御守りとしてくれたわ」

「少し見せてくれない?」

「嫌」

 結局見せてくれることはなかった



 その後の彼女といろいろな所に行った。ロッキー山脈で、お互いを標的とした、狩りをしたり。ブラジルで麻薬組織の本部を襲い、壊滅させたり。テュールと戦った島で無人島生活したり。この時は防衛システムに消されかけて大変だった。他にも、エイリアンとの戦いで壊れた町の様子を見に行ったり。時には、北欧の美しい広大な自然の中で、ただひたすら喋っていたり、組手をしてたり。貧困な国に行っては、子供達に勉強を教えたり。通信機のおかげで聞き取れるが伝わらず、言葉の壁が大変だった。それに彼女の音楽を一日中聴いていたり。街中で物が消えたり現れたりするマジックショーを披露してたら、彼女にこっぴどく怒られ、喧嘩してたりと。いろいろあったが一番面白かったのが、中国で彼女が演奏してたら、太ったブサイクな中年にナンパされてた。彼女が断りホテルに帰ろうとしたら、裏社会の男達に車で誘拐された。腕を縛られ車内で何でこんな目にあってるのか謎に思えてきた

「ねぇ。何で逃げないの?」

「だって、面白いじゃない」

「こんな奴らすぐ倒して帰ろうぜ」

「こういうのは黒幕を倒してこそ意味があるのよ。下っ端なんか興味ないわ」

「はぁ~帰りたい」

 車を下ろされると、豪邸に入らされた。高級品が揃ってる家に不釣り合いな見た目の、さっきナンパしてきた男が目の前に現れた。男は英語で喋りだした

「僕の誘いを断るから、こういう目になるんだぞ」

「いきなり求婚されたら、誰だって断るわよ」

「良かったじゃん。求婚されるなんて、君に惚れる物好きがいるとは。見たところ金には困らなそうだぞ。もうこの先、誰かに好きになってもらえる可能性は低いから、お受けすれば?」

「少し黙っててくれない」

「彼の言う通りだ。金には困らない。欲しいものは何でも買ってやるぞ」

「お金には困ってないわ」

「こんな奴と一緒にいるより。僕と居れば一生裕福な暮らしを送れるぞ」

 僕を指差した

「こんな奴か。・・・そう。じゃあ、僕はお邪魔なようなので帰ってもよろしいですか?」

「あなた。お金では買えないものもあるのよ。分からない?あなたは私のタイプに恐らくなれない」

 無視だ

「どういう意味だ?」

「顔と性格。体型と生活は比例するのよ。自分の見た目を見たことある?だいたい歳いくつ?中年ぽいけど」

「24」

 その見た目で24歳って、どんだけ老けてるんだよ。思わず吹き出して笑ってしまった

「失礼」

「僕を馬鹿にしやがって」

 どうやら怒らしてしまったらしい。さっき誘拐してきた男達が複数人入ってきた。男の一人が彼女に触れた瞬間に、手が青くなって凍った

「あ~あ。怒らしちゃた」

 部屋がどんどん寒くなっていく

「一つアドバイスしておくと。彼女を止めるには、ボコボコに倒すか、全員殺されるかのどっちかだから。じゃあ先にホテルに帰るわ。『チェンジ』」

 僕は真っ先にホテルの部屋に戻った



 なぜこれが一番面白かったかというと。僕らは行くところ行くところで事件を起こしたり、巻き込まれたりするA.C.T アクトきってのトラブルメーカー二人だが、この事件は彼女が全員を能力でボコボコにして、殺してしまったので、エイリアンだと思ったA.C.T アクトが出動したからだ。マスターウェザーが直々に出て、めっちゃ怒られた
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