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第一部 地球編
25 ライバルで仲間 (レッドマジシャン目線)
しおりを挟む「レディ達。先輩である僕を倒すつもりかな?」
オールロードはニッコリ笑っていた。多分集中砲火が終わって、つかの間の休息を楽しみたいんでしょう。私の横にはスノーメロディーが真剣な眼差しでオールロードを見上げている
「大丈夫」
私はスノーメロディーの肩を叩いた。スノーメロディーは頷いた
「オールロード!決着つけましょう!」
「それはデートのお誘いかな?メロディー。悪いがレディ二人とデートするほどクズではないのでね」
「気絶するまで楽しませてあげるわ」
「主導権は僕には握らせてくれないのか?レッドマジシャン」
相変わらずオールロードとスノーメロディーの会話の中に入るのは楽しい。恐らく、人種や歳の違い、先輩後輩等がビーストソウルやトリックスターと違うからだろう。勿論あの二人は申し分ないほど一緒にいて楽しい
「さぁそろそろ始めようか。男女の激しい運動を」
オールロードは空中で止まっていたのに、私達二人に向かって降下してきた。オールロードは武器を使わず、素手で向かってきている。拳と拳でぶつかり合いたいんだと悟った。しかしスノーメロディーは
「『アレグロショット』」
指先から氷の銃弾を何の躊躇なく撃っている。しかし、オールロードは避けながら走ってきた。結局一発も当たらず目の前まで来た
「『f』」
オールロードと同時に言う。スノーメロディーが撃っていて準備出来てなかったので、私が迎え撃つことになった。というよりはオールロードが私を狙ってきた。拳同士ぶつかった。私の指の骨にヒビが入った。けど相手はなんともなさそうだ。力で負けた。相手が男だから?技の本家だから?両方とも可能性はあるが恐らく違う。拳にのせた、凝縮した能力量が相手のほうが多いんだ。本気で潰しにきてるのがわかった。けどこれで相手に隙ができた
「メロディー。凍らせて!」
すぐに凍らせてくれると思ったが、彼女は私の予想より遅く動いた。メロディーが凍らせようと、オールロードに触れようとしたが、オールロードはもう後退してた
「ごめん・・・」
「いいよ。相手が相手だもの」
「メロディー本気出せよ!それとも僕じゃ本気になれないか?」
スノーメロディーはそう言われると、音叉を取り出し膝で叩いて使った
「まだやってなかったのか?それを使わないと、調子でないもんな」
「うるさい」
スノーメロディーは目を閉じて集中してる
「今宵はブルースね」
「そろそろいいか?」
スノーメロディーは目を開けた。目つきが変わった
「いいね~。もっと冷たい目で僕を見ろ!氷の心でかかってこい!」
スノーメロディーはコスチュームの白いマフラーを口元まで上げた
「『アッチェレランド』」
スノーメロディーは足裏から氷を出して浮上していった。そして氷でできた高さの違う柱のような物をオールロードを囲うように至る所に出して、柱の間を氷で繋げた。遠くから見れば、一種の観光スポットや遊び場のように見える。そして、その氷の上を走り出した。徐々にスピードが乗っていく。スピードスケートの様だ。オールロードはブラスターで狙って撃つが、速くて当たらない。スノーメロディーは走りながら柱を造り出していく。そしてオールロードに一番近い柱を使って、スキージャンプのようなジャンプ台を創作した。彼女はそこを滑って翔んだ
「『f』」
「最高だメロディー!強くなったな!だが、僕にもとっておきがある。『f』」
メロディーは拳で殴りかかったが、オールロードは違った。脚で迎え撃ったのだ。私はずっと見とれてた。そこに入ることができなかった。自分達で考えた技を互いにぶつけ合う。これ程哀しいことはあるだろうか?そして、スノーメロディーが負けた。理由はいろいろあるかもしれない。脚と腕じゃ筋肉量が違うし、彼女の細い身体じゃもっと差が出る。しかし、私は違和感を覚えた。いや、ずっと前から違和感を感じていた。スノーメロディーは地面に落ちてきた
「大丈夫?立てる?」
私は手を差し出した。彼女はその手を握って起き上がった
「残りの能力は?」
「結構能力を使って技を出したから。半分くらい」
「彼はもう無いでしょう。ずっと空中に居て、能力を凄く乗せて技を出してるし」
「そうね。ただ悔しい・・・」
彼女は泣いてしまった。だが、私は彼女の涙より、違和感の正体を探して、周囲を見た。すぐ隣では、トリックスター&ハンドジェット対ゴースの戦いが繰り広げられており。時々、トリックスターと目が合う。他を見てると、みんな疲れてきてるのか、息切れが激しい。そんなことをしてると通信が入った
「そろそろだ。ジャンヌ頼む!」
マスターウェザーがそう言うと、A.C.T 側の人達の体が光始めた。疲れが一気に飛んで、力が湧いてくる。感情がポジティブになる。そして、心臓の鼓動が速くなってる。ジャンヌさんの能力は噂には聞いていたが、実際にやってもらったのは初めてだ。A.C.T の切り札といわれる理由も分かる。CAの連中は表情が厳しくなったのが、すぐ分かる
「ジャンヌどれくらい持つ?」
「この人数だったら、数時間いけるわよ」
オールロードを見た。少し考え事をしてるように見える
「先輩~!メロディーが泣いちゃってるよ」
「えっ!マジ?」
空中にいるオールロードが動こうとした瞬間。オールロードは突き飛ばされたかのように、空中で動いた。異様な光景だが、何故かすぐにわかった。ブルズアイが撃ってきたのだ。さすがだと思ったが、周囲を見てその能力が必要な所を見つけた
「コンピューター!センスとブルズアイに繋いで」
「繋げました」
「センスさんとブルズアイさん。ワイルドエコー達の戦い見えてる?」
ワイルドエコー&エスプーマ対ディスガイズ&バルドルの戦いを見た。少しA.C.T 側が劣性に見えた。ディスガイズとバルドルにより連携が取れてないんだ
「あぁ」
「バルドルの光の空間に苦戦してるようだから、センスさんの能力で場所を特定し、情報をもとにブルズアイさんが撃って!」
「了解」
通信が切れた。またオールロードの方を見た。ブルズアイによってできた傷を癒してない。能力もそろそろ限界なのね
「大丈夫?」
「ご心配どうも」
「あなたに言ったんじゃない!泣いてるメロディーに言ったの!」
彼女が涙を拭った。悔しかったのだろうか?ライバルに負けて
「援護して!『ビーストソウルの能力』」
私はトキに変身して、オールロード向かって翔んだ。皮肉なものだ。家族を苦しめてる能力を使ってるなんて。私も時々、我を忘れそうになる。だがビーストソウルほど様々な動物には手を出してないから、この苦しさは彼ほどじゃない。オールロードに翔んでいく最中に、スノーメロディーが撃ってくれている。そして目の前で変身を解いた
「『f』。ヴッ!」
「『f』」
私の拳がオールロードに先に当たりそうになったら、腕に激痛が走った。スノーメロディーの弾が当たってしまったのだ。その一瞬により、彼の拳が顔面に当たって、仮面が割れた。そして下に落ちた。けどこの出来事で違和感の正体を知った
「ごめんなさい!痛かった?怒った?」
彼女は私に抱き着いてきた
「大したことないわ。それより・・・」
私は彼女の頭をいきなり地面に叩きつけて、首を膝で押さえつけた。彼女も、オールロードですらビックリしてる
「CAに入りたいんなら、手土産はいらないぞ!」
私は彼女の耳元で囁いた
「あなたよね?」
「な・・にが?」
声を出すのが苦しそうだ
「裏切り者よ」
一瞬。呼吸が変わったのを見逃さなかった
「答えなくていいわよ。『トリックスターの能力』」
私は新しくもらった日本刀を取り出して、彼女の首に先を押しつけた。彼女は何も言わない
「例え。私があなたを殺しても、CAに歓迎される。裏切り者だと証明できればA.C.T の役に立てる。まぁ、茶番劇にしてはなかなかだったわよ」
私はニッコリ笑った
「証明っ・・てどう・・・やって?」
「今からやるわ!喋ったら殺す」
耳元から顔を遠ざけ、オールロードの方を向いた
「オールロード!味方になるわ!」
「どうして急に?」
「そんなこと別にいいじゃない。そっちにはメリットしかないはずよ!」
彼は考え込むが、時間を与えなかった
「それじゃ。彼女には悪いけど、死んでもらうわ」
刀をグッと首に力強く押し当てた。血が出てきた。そして、私は刀を振りかざした。オールロードが
「やめろ!」
と言いながら走り出した。かかった。そう思った。オールロードは私の背後に走りながら、腰から小刀を取り出す。ブラスターで撃ったところで頑張れば刀は振り下ろせると分かってるのだろう。刀を振り下ろした。オールロードが来たところを、取っ捕まえる。そう考えた。しかし、横からボールが飛んできていたこに気付けなかった。刀をスノーメロディーの右肩に突き刺した。振り返るとオールロードは、私の首めがけて斬りつけようとした。ところが、目の前にトリックスターが現れた。私もオールロードも予想外だった。トリックスターは
「背後から手を出すな!」
トリックスターは現れた瞬間。オールロードを袈裟斬りにし、そこから右薙で斬った。もう能力が残ってなかったのだろう。その切断された彼の体が癒えることはなかった。スノーメロディーが絶叫した。私も呆然だった。他で戦ってる人も攻撃を止めて、こっちを見てる
「カーナ!テュール!」
マスターウェザーが叫んでる。スノーメロディーの絶叫が止んだのでふと見ると、失神してた。多分首を締め付けられながら、叫んだからだろう。失神したその顔には涙があった。トリックスターは刀をその場に落とし、血がついた手を見て、震えて固まった。私もスノーメロディーから離れた。オールロードの周りに敵味方関係無しに集まった
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