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第一部 地球編

7 声明 (ビーストソウル目線)

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「『fffフォルティッシッシモ』」  

 僕とレッドマジシャン、トリックスターは氷でできた分厚い壁を一緒に殴った。技のあまりの威力に氷壁は粉々になった

「うん。いい感じね。ちょっと休憩にしましょうか」

 そうスノーメロディーに言われた瞬間

「『解』」

 トリックスターが能力でワサビチューブを取り出し吸い始めた。レッドマジシャンはスノーメロディーと談笑している。その光景を見て僕は眠くなった。目を閉じて数秒後、口に何か異物を入れられた。すぐ、目を開けたが遅かった。トリックスターがにっこり笑ってワサビを口に流し込んできた。痛い、辛い、息が

「あいうんあお!」

「何て?」

「何すんだよ!」

「あぁそう言ったのか。いや~眠そうにしてたから眠気覚ましに」

「殺す。お前絶対殺す」

「あれ?ワサビ苦手だった?」

「ワサビ食わされるのはいい。俺の眠りを邪魔したからだ」

 その時、警報がなった

「本部にいる戦士隊はすぐ隊長室に、兵士隊はそれぞれの班長室に集まって下さい」
    
 コンピューターの声が本部全体に響いた。僕らは一瞬誰も喋らなくなり、すぐ走り出した



 隊長室に行くと僕ら四人の他に、教官だったカーナやガントンと、仕事を一緒にしたことがある空間にバリアを生み出すケイナンや、分身を作るヒラン、音速の速さを誇るクイックや、任務では一緒になったことのない、物や体の大きさを変えられるフィート、人を強制的に眠らせて自由自在な夢を見せるソーンの七人がもう居た。僕らが部屋に入った数十秒後にマスターウェザーが入ってきた

「まずい事態になりました。G7の国の高官達が狙われてます。よし私含めて十二人いますね」

「何があったの?」

「エイリアンが犯行声明を出しました」

「犯行声明?内容は?」

「お前らが昔、私達にした罪に対する報復の用意ができた。バラバラになっていた同志達と結束し、失った同志達の為、ここに報復する。G7の高官達を我等に差し出すか、G7のそれぞれの首都に被害を出すか。好きな方を選べという内容です」

「質問!」

 レッドマジシャンが手を上げた

「どうしました?」

「罪とは何ですか?A.C.T アクトの謎の歴史と何か関係あるんですか?」

 その場に居た全員がレッドマジシャンを見た

「どういうこと?」

 トリックスターがそう聞いて、レッドマジシャンはにっこり笑った

A.C.T アクトで初めてブラスターを触ったときに違和感を覚えたの。地球人には弾が当たっても全く影響が出ず、エイリアンだけ致命傷を与える。あの技術は私達ではブラスターを複製できても設計できない。通信機だってそう。そこでコンピューターに頼んでA.C.T アクトの歴史を見ていくなかで、設立時の部分が空白過ぎるのよ。それにアクセス権限がかかってて、それ以上閲覧できないの。エイリアン達は現れるが、果たしてエイリアンはどうやって来てるのかしら?」

 それを聞いてたマスターウェザーが

「流石ですね」

 場が凍りついた。僕は頭の中を整理して

「エイリアンはずっと昔から地球にいる?」

「私もそう思うわ」

「じゃあ、罪というのは、まさかこっちが最初に手を出したということ?」

「マスターウェザーどうなの?」

 みんなマスターウェザーの方を見た

「いい洞察力をお持ちですね。私はA.C.T アクト設立時に関わった地球人最初の適合者です。だから、A.C.T アクトの歴史は全てでは無いですが知っています」

「話して」

「今話すの良くないでしょう。申し訳ありませんがこの任務が終わったら必ず話すとお約束します。だから今は私を信じてついてきてください」

 マスターウェザーがそう言うと、先輩達は深く頷いた

「あなたには何度も命を救っていただきました」

「レッドマジシャン達もそれでいいな」

「私はただ知りたいだけ。話してくれるなら過去がどうあれ貴方についていくわ」

「ありがとう。別の任務で居ない戦士達もすぐ応援に呼びますが、まずこのメンバーで今できることをしましょう」

「策はあるんですか?」

「あります。まず高官達を支部に隠します。そしてここにいる十二人で二人一組になりそれぞれの首都を守ります」

「二人一組だったら一国余るんじゃない?」

「日本にはサンストーンが今居ます。そして私は一人で戦います」

「なるほど」

「一人の戦士につき兵士隊から勇戦班八人と医班二人がつき援護します」

「兵士隊と組むの?」

「この際、そんなこと言ってる場合ではありません。他の兵士隊は支部を守る部隊や避難誘導する部隊、エイリアンと戦う部隊の3つに分かれます」

「ていうか、高官差し出せば?国のリーダーならみんなの為に命捨てられるでしょ」

「それができないからこの策なんです」

 マスターウェザーが板挟みにされて可哀想だと思ってしまった

「了解。で組み合わせは?」

「まず私はパリを担当します。一人なので危なくなったらロンドン、ベルリン、ローマからすぐ応援に来てもらえるよう」

「まぁ妥当な選択ね」

「次に」

 まずい俺には組んで欲しい人がいる

「すいません」

「どうしましたビーストソウル?」

「俺はソーンさんと組みたいです」

 次の瞬間レッドマジシャンの拳が飛んできた

「マスターウェザー。続けてください」

「えぇ。ロンドンはフィートとビーストソウルが守ってください」

「了解」

「えっ!ソーンさんとは?」

 また拳が飛んできた

「了解です。ロンドンですね」

「私に何かあったらビーストソウルが翔んできてくださいね。ベルリンはクイックとガントン。クイックは持ち前の速さで加勢に来てください」

「はい。マスター」

「ローマはカーナとソーンの女性ペア。東京は土地勘のあるレッドマジシャンが、サンストーンと合流して組みます」

「了解」

「ワシントンD.C.はケイナンとヒラン。オタワはトリックスターと気候と相性がいいスノーメロディーが守ってください」

 お互いのペアを全員見た。僕のペアのフィートさんは実力としては確かだが被害を結構出すという噂は聞いたことがあった。それにスノーメロディーの教官を務めた人ということでスノーメロディーから彼については色々聞いていた

「では皆さんすぐ向かって下さい。エイリアン達によると今から27時間後に襲われます」

 みんな一斉に部屋を出た。部屋を出たらトリックスターがみんなにボールを配った

「なんかあったら、すぐに向かうから持っといて。スノーメロディー先いくわ。『チェンジ』」

 トリックスターが消えた。スノーメロディーがこっちに来て

「何で彼となんだろう?私と彼はとても似ていると思うけど、なぜか好きになれないのよね。周りと圧倒的な差があると自分でも分かってるはずなのに、惨めったらしく努力しているのが」

「君も周りからそう思われてるんじゃないかと?」

「簡単に言えばそうかと」

 フィートさんが僕を呼ぶ声がした

「じゃあ、お互い頑張ろう。死ぬなよ」

「貴方も」

 フィートさんの後についていき、潜水艇に乗り込んだ



 僕とフィートさんはロンドンに向かった。ロンドンはあいにくの雨が降っていた

「フィートさん。今日僕は翔べませんよ」

「今日は嫌な日になりそうですね」

 僕らはロンドン支部に向かった。ロンドン支部の中で待っていたのは、僕とフィートさん共に隊を組む兵士隊の人達だった。僕についてくる十人は一塊になって、こっちが挨拶しても反応しなかった。僕はいつも思ってた。何でこんなに仲が悪いんだろうと。アルレットさんやガンドルドさんとは仲良くできたのに。いやこっちだって嫌われる要因あったかもしれないよ。特にサンストーン。あの人教官の時も野蛮な行動取って、迷惑かけたかもしれないけど。マスターウェザーに訓練生の時言われた

「自分で理解できないものを恐れ、恐れは嫌悪に変わってしまうから。私達は嫌われる」

 いや言いたいことは分かるよ。強い者の宿命だと思うけど。モヤモヤするわ。モヤモヤしたら眠くなってきた 。ロンドンが襲撃されるのは十二時か、まだ時間あるし寝るか。東京は夜で、ワシントンD.C.は朝か、二人とも死ぬなよ。ゆっくり目を閉じた
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