10 / 160
第一部 地球編
7 声明 (ビーストソウル目線)
しおりを挟む「『fff』」
僕とレッドマジシャン、トリックスターは氷でできた分厚い壁を一緒に殴った。技のあまりの威力に氷壁は粉々になった
「うん。いい感じね。ちょっと休憩にしましょうか」
そうスノーメロディーに言われた瞬間
「『解』」
トリックスターが能力でワサビチューブを取り出し吸い始めた。レッドマジシャンはスノーメロディーと談笑している。その光景を見て僕は眠くなった。目を閉じて数秒後、口に何か異物を入れられた。すぐ、目を開けたが遅かった。トリックスターがにっこり笑ってワサビを口に流し込んできた。痛い、辛い、息が
「あいうんあお!」
「何て?」
「何すんだよ!」
「あぁそう言ったのか。いや~眠そうにしてたから眠気覚ましに」
「殺す。お前絶対殺す」
「あれ?ワサビ苦手だった?」
「ワサビ食わされるのはいい。俺の眠りを邪魔したからだ」
その時、警報がなった
「本部にいる戦士隊はすぐ隊長室に、兵士隊はそれぞれの班長室に集まって下さい」
コンピューターの声が本部全体に響いた。僕らは一瞬誰も喋らなくなり、すぐ走り出した
隊長室に行くと僕ら四人の他に、教官だったカーナやガントンと、仕事を一緒にしたことがある空間にバリアを生み出すケイナンや、分身を作るヒラン、音速の速さを誇るクイックや、任務では一緒になったことのない、物や体の大きさを変えられるフィート、人を強制的に眠らせて自由自在な夢を見せるソーンの七人がもう居た。僕らが部屋に入った数十秒後にマスターウェザーが入ってきた
「まずい事態になりました。G7の国の高官達が狙われてます。よし私含めて十二人いますね」
「何があったの?」
「エイリアンが犯行声明を出しました」
「犯行声明?内容は?」
「お前らが昔、私達にした罪に対する報復の用意ができた。バラバラになっていた同志達と結束し、失った同志達の為、ここに報復する。G7の高官達を我等に差し出すか、G7のそれぞれの首都に被害を出すか。好きな方を選べという内容です」
「質問!」
レッドマジシャンが手を上げた
「どうしました?」
「罪とは何ですか?A.C.T の謎の歴史と何か関係あるんですか?」
その場に居た全員がレッドマジシャンを見た
「どういうこと?」
トリックスターがそう聞いて、レッドマジシャンはにっこり笑った
「A.C.T で初めてブラスターを触ったときに違和感を覚えたの。地球人には弾が当たっても全く影響が出ず、エイリアンだけ致命傷を与える。あの技術は私達ではブラスターを複製できても設計できない。通信機だってそう。そこでコンピューターに頼んでA.C.T の歴史を見ていくなかで、設立時の部分が空白過ぎるのよ。それにアクセス権限がかかってて、それ以上閲覧できないの。エイリアン達は現れるが、果たしてエイリアンはどうやって来てるのかしら?」
それを聞いてたマスターウェザーが
「流石ですね」
場が凍りついた。僕は頭の中を整理して
「エイリアンはずっと昔から地球にいる?」
「私もそう思うわ」
「じゃあ、罪というのは、まさかこっちが最初に手を出したということ?」
「マスターウェザーどうなの?」
みんなマスターウェザーの方を見た
「いい洞察力をお持ちですね。私はA.C.T 設立時に関わった地球人最初の適合者です。だから、A.C.T の歴史は全てでは無いですが知っています」
「話して」
「今話すの良くないでしょう。申し訳ありませんがこの任務が終わったら必ず話すとお約束します。だから今は私を信じてついてきてください」
マスターウェザーがそう言うと、先輩達は深く頷いた
「あなたには何度も命を救っていただきました」
「レッドマジシャン達もそれでいいな」
「私はただ知りたいだけ。話してくれるなら過去がどうあれ貴方についていくわ」
「ありがとう。別の任務で居ない戦士達もすぐ応援に呼びますが、まずこのメンバーで今できることをしましょう」
「策はあるんですか?」
「あります。まず高官達を支部に隠します。そしてここにいる十二人で二人一組になりそれぞれの首都を守ります」
「二人一組だったら一国余るんじゃない?」
「日本にはサンストーンが今居ます。そして私は一人で戦います」
「なるほど」
「一人の戦士につき兵士隊から勇戦班八人と医班二人がつき援護します」
「兵士隊と組むの?」
「この際、そんなこと言ってる場合ではありません。他の兵士隊は支部を守る部隊や避難誘導する部隊、エイリアンと戦う部隊の3つに分かれます」
「ていうか、高官差し出せば?国のリーダーならみんなの為に命捨てられるでしょ」
「それができないからこの策なんです」
マスターウェザーが板挟みにされて可哀想だと思ってしまった
「了解。で組み合わせは?」
「まず私はパリを担当します。一人なので危なくなったらロンドン、ベルリン、ローマからすぐ応援に来てもらえるよう」
「まぁ妥当な選択ね」
「次に」
まずい俺には組んで欲しい人がいる
「すいません」
「どうしましたビーストソウル?」
「俺はソーンさんと組みたいです」
次の瞬間レッドマジシャンの拳が飛んできた
「マスターウェザー。続けてください」
「えぇ。ロンドンはフィートとビーストソウルが守ってください」
「了解」
「えっ!ソーンさんとは?」
また拳が飛んできた
「了解です。ロンドンですね」
「私に何かあったらビーストソウルが翔んできてくださいね。ベルリンはクイックとガントン。クイックは持ち前の速さで加勢に来てください」
「はい。マスター」
「ローマはカーナとソーンの女性ペア。東京は土地勘のあるレッドマジシャンが、サンストーンと合流して組みます」
「了解」
「ワシントンD.C.はケイナンとヒラン。オタワはトリックスターと気候と相性がいいスノーメロディーが守ってください」
お互いのペアを全員見た。僕のペアのフィートさんは実力としては確かだが被害を結構出すという噂は聞いたことがあった。それにスノーメロディーの教官を務めた人ということでスノーメロディーから彼については色々聞いていた
「では皆さんすぐ向かって下さい。エイリアン達によると今から27時間後に襲われます」
みんな一斉に部屋を出た。部屋を出たらトリックスターがみんなにボールを配った
「なんかあったら、すぐに向かうから持っといて。スノーメロディー先いくわ。『チェンジ』」
トリックスターが消えた。スノーメロディーがこっちに来て
「何で彼となんだろう?私と彼はとても似ていると思うけど、なぜか好きになれないのよね。周りと圧倒的な差があると自分でも分かってるはずなのに、惨めったらしく努力しているのが」
「君も周りからそう思われてるんじゃないかと?」
「簡単に言えばそうかと」
フィートさんが僕を呼ぶ声がした
「じゃあ、お互い頑張ろう。死ぬなよ」
「貴方も」
フィートさんの後についていき、潜水艇に乗り込んだ
僕とフィートさんはロンドンに向かった。ロンドンはあいにくの雨が降っていた
「フィートさん。今日僕は翔べませんよ」
「今日は嫌な日になりそうですね」
僕らはロンドン支部に向かった。ロンドン支部の中で待っていたのは、僕とフィートさん共に隊を組む兵士隊の人達だった。僕についてくる十人は一塊になって、こっちが挨拶しても反応しなかった。僕はいつも思ってた。何でこんなに仲が悪いんだろうと。アルレットさんやガンドルドさんとは仲良くできたのに。いやこっちだって嫌われる要因あったかもしれないよ。特にサンストーン。あの人教官の時も野蛮な行動取って、迷惑かけたかもしれないけど。マスターウェザーに訓練生の時言われた
「自分で理解できないものを恐れ、恐れは嫌悪に変わってしまうから。私達は嫌われる」
いや言いたいことは分かるよ。強い者の宿命だと思うけど。モヤモヤするわ。モヤモヤしたら眠くなってきた 。ロンドンが襲撃されるのは十二時か、まだ時間あるし寝るか。東京は夜で、ワシントンD.C.は朝か、二人とも死ぬなよ。ゆっくり目を閉じた
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった
根上真気
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。
破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。
小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。
本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。
お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。
その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。
次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。
騎士学院のイノベーション
黒蓮
ファンタジー
この世界では、人間という種が生存できる範囲が極めて狭い。大陸の大部分を占めているのは、魔物蔓延る大森林だ。魔物は繁殖能力が非常に高く、獰猛で強大な力を有しており、魔物達にとってみれば人間など餌に過ぎない存在だ。
その為、遥か昔から人間は魔物と戦い続け、自らの生存域を死守することに尽力してきた。しかし、元々生物としての地力が違う魔物相手では、常に人間側は劣勢に甘んじていた。そうして長い年月の果て、魔物達の活動範囲は少しずつ人間の住む土地を侵食しており、人々の生活圏が脅かされていた。
しかし、この大陸には4つの天を突くほどの巨大な樹が点在しており、その大樹には不思議と魔物達は近寄ろうとしなかった。だからこそ魔物よりも弱者であるはずの人間が、長い年月生き残ってきたとも言える。そして人々は、その護りの加護をもたらす大樹の事を、崇拝の念を込めて『神樹《しんじゅ》』と呼んでいる。
これは神樹の麓にある4つの王国の内の一つ、ヴェストニア王国に存在する学院の物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる