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第1章 転生
第9話 七つ名の氷河迷宮を探せ
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先行して焔と氷麗はアクネス領に入っていた。
水と氷が美しい地域で水妖や氷魔が多く住んでいる。
氷麗にとっては過ごしやすい場所ではいるが、焔には過酷な場所だ。
「ツララ~、俺はここ苦手だ~。」
「何よ。
しっかりしなさい。
我が君が聞いたら怒られるわよ。」
「早いとこ見つけてしまおうぜ。」
たどり着いたのはアクネス領でも比較的小さな町であるトラマに到着した。
この町には、様々な妖魔の種族が暮らしている。
「先ずはこの町で情報を集めるわよ。」
「よっしゃ~、宿屋で作戦会議だ。」
「何よ。
宿屋なんて探さないよ。
先ずは聞き込み!」
街の情報はやはり酒場に行くのが定番であって、2人も酒場にたどり着いた。
酒場は「リックの酒場」と言う名前で結構広い店内の為、沢山の人が酒を楽しんでいる。
カウンターに座ると店主に話を聞くことにした。
「ちょっと聞きたい事があるんだけど。
アクネス様の領土に詳しい人を紹介してほしんだけど。」
「領土に詳しいね。
そこら辺の旅人に聞いてみたらどうだ?」
と言う事で、賑やかに酒を飲んでいる旅人に話を聞くことにした。
「ちょっと聞きたいのだけれど。
七つ名の氷河迷宮と言う場所を知らないかしら?」
「聞いた事ないなぁ。
それより妖魔の姉ちゃん。
俺たちと飲まないか?」
皆酒が入っていてまともに話が聞ける状態とは言い難い。
「あんた達。
迷宮を探してるのかい?」
氷麗と焔の様子を伺っていたのか、一人の妖魔の男が話しかけて来た。
その男は妖魔の割には色黒で髪は黒く背格好も低めだ。
顔はゴツゴツとした肌をしている。
「ああ、そうだけど。
あんたは誰だ?」
「おっと、そうだったな。
俺はトレジャーハンターのジン・グレックだ。
まあ、立ち話も何だから、あそこに座ろうぜ。」
3人は空いているテーブルに腰掛けると飲み物と食べる物を注文した。
「それで、何処の迷宮を探してるんだ?」
「七つ名の氷河迷宮を探してるのよ。」
「七つ名の氷河迷宮?
聞いた事ないなぁ。」
ジンは首を傾げた。
「そうか~、ちょっと期待したんだがな。」
「まあ、待て。
どうしてその迷宮を探しているんだ?」
「命の君で有らせられるラフィア様の命だ。」
「なんと!
命の君ラフィア様。
何と言う事だろうか。
この様な名誉な事があるだろうか。
分かった!
任せろ。
ラフィア様の命とあらば、何としても探さねば。」
ラフィアの命だと聞いてジンは一気にやる気を出し始めた。
「おお、そうか。
頼むよ。」
かえって2人の方が面食らった表情になってお互い顔を見合わせた。
「俺も大抵の迷宮は攻略して来たんだが、そんな聞いたことない迷宮があるとはな。
名前から推測するに、ゼラン氷河辺りが怪しいんじゃ。」
「ゼラン氷河ってここかしら?」
ジンは地図を広げた。
アクネス領の全体が記されている。
氷麗は地図の氷河地帯を指さした。
「ああ、そうや。
ゼラン氷河の辺りには迷宮が見つかってないんじゃ。
となると、一番怪しいやろ。」
「なるほどな。
確かに可能性は高いな。」
3人は店を出ると、ゼラン氷河地帯に向かうことにした。
ジンの伝で馬車を手配できた。
それに乗って半日ほど移動する。
氷河地帯に行く道は湿地帯や凍りついた大地を渡って行く、足場も悪い場所もあり険しい道もある。
「さて、氷河地帯に到着はしたが、何処から探すか。」
「こんな広い氷河地帯とはな。」
見渡す限りの氷河に焔は唖然としていた。
「探すしかないわ。
ラフィア様がお待ちなのよ。」
「わかってるよ。」
「俺の予想では氷河地帯の東側に岩場の場所があるんだ。
そこいら辺に何か手がかりがあるかも知れんな。」
氷河地帯の東側に馬車で回り込むと、少し岩場と土壌が見えている所に出た。
「特に何も無いわね。」
「そもそもよ。
何で七つ名の氷河迷宮って言うんだろうな?」
「もしかすると七つ名って言うのは、セブンレークの事じゃねぇか?」
持っていた地図をジンは広げ始めた。
「セブンレークってなんだ?」
「七つの湖が点在する地域が有るんだよ。
だが、あそこにはグレイス迷宮があるからな。
その迷宮は攻略されてるし。」
頭を掻いて思い悩むジン。
しかしながら、氷麗と焔はそんなジンの様子とは裏腹に氷河地帯周辺を調べ始めた。
「何か見落としていないか調べるぜ。」
「ジンは少しここで待ってて。」
氷河地帯を隈なく調査し始める氷麗と焔だったが、1時間ほどするとジンの所に帰ってきた。
「ダメね。
何も無い。」
「そうだな。
見る限り迷宮らしいものは無いな。」
氷麗は氷河の中にまで妖気を張り巡らせて探ったが、痕跡は見つけられなかった。
「どうする?」
2人が諦めた顔をしているのをみてジンが問いかけた。
「セブンレークはどの辺りにあるんだ?」
「アクネス領の北側に位置する。
此処からだと馬車で2日はかかるぞ。」
その言葉を聞いて氷麗と焔は顔を見合わせて。
「一旦、我が君に報告に戻ることにするわ。
ジンも一緒に来て欲しいんだけど。」
「お、俺もか?」
そう言って3人は馬車で来た道を戻った。
丁度その頃、ラフィアの元にゼクス達が戻ってきた。
「我が君。
今戻りました。」
「ゼクス、アウラ、尊。
3人ともご苦労様。」
部屋の椅子で寛いでいたラフィアの目の前に3人が姿を表した。
「我が君。
ライぜリオンでございます。」
右手に持っていた金色に光り輝く神器ライぜリオンを跪いてラフィアに手渡した。
「ふふふ、よくやりました。
神器ライぜリオン。
お帰り。」
左手でラフィアはライぜリオンを受け取ると暫く眺めているとパッと金の粒になって消えていった。
その頃、氷麗と焔はラフィアが待つカストラルに向けて馬車を走らせていた。
夜にはトラマの町に到着。
「氷麗、焔。」
ラフィアから思念が送られてきた。
「我が君。
申し訳御座いません。
七つ名の氷河迷宮に関する情報は得られませんでした。」
「そう。
ご苦労様。
私達はカストラルからアクネス領のカルティカ海のアクティアルク城下領都リバイヤスに転送して向かいます。
そこで合流しましょう。」
「御意。」
こうして氷麗と焔、そしてジンはリバイヤスに向かう為馬車を走らせた。
水と氷が美しい地域で水妖や氷魔が多く住んでいる。
氷麗にとっては過ごしやすい場所ではいるが、焔には過酷な場所だ。
「ツララ~、俺はここ苦手だ~。」
「何よ。
しっかりしなさい。
我が君が聞いたら怒られるわよ。」
「早いとこ見つけてしまおうぜ。」
たどり着いたのはアクネス領でも比較的小さな町であるトラマに到着した。
この町には、様々な妖魔の種族が暮らしている。
「先ずはこの町で情報を集めるわよ。」
「よっしゃ~、宿屋で作戦会議だ。」
「何よ。
宿屋なんて探さないよ。
先ずは聞き込み!」
街の情報はやはり酒場に行くのが定番であって、2人も酒場にたどり着いた。
酒場は「リックの酒場」と言う名前で結構広い店内の為、沢山の人が酒を楽しんでいる。
カウンターに座ると店主に話を聞くことにした。
「ちょっと聞きたい事があるんだけど。
アクネス様の領土に詳しい人を紹介してほしんだけど。」
「領土に詳しいね。
そこら辺の旅人に聞いてみたらどうだ?」
と言う事で、賑やかに酒を飲んでいる旅人に話を聞くことにした。
「ちょっと聞きたいのだけれど。
七つ名の氷河迷宮と言う場所を知らないかしら?」
「聞いた事ないなぁ。
それより妖魔の姉ちゃん。
俺たちと飲まないか?」
皆酒が入っていてまともに話が聞ける状態とは言い難い。
「あんた達。
迷宮を探してるのかい?」
氷麗と焔の様子を伺っていたのか、一人の妖魔の男が話しかけて来た。
その男は妖魔の割には色黒で髪は黒く背格好も低めだ。
顔はゴツゴツとした肌をしている。
「ああ、そうだけど。
あんたは誰だ?」
「おっと、そうだったな。
俺はトレジャーハンターのジン・グレックだ。
まあ、立ち話も何だから、あそこに座ろうぜ。」
3人は空いているテーブルに腰掛けると飲み物と食べる物を注文した。
「それで、何処の迷宮を探してるんだ?」
「七つ名の氷河迷宮を探してるのよ。」
「七つ名の氷河迷宮?
聞いた事ないなぁ。」
ジンは首を傾げた。
「そうか~、ちょっと期待したんだがな。」
「まあ、待て。
どうしてその迷宮を探しているんだ?」
「命の君で有らせられるラフィア様の命だ。」
「なんと!
命の君ラフィア様。
何と言う事だろうか。
この様な名誉な事があるだろうか。
分かった!
任せろ。
ラフィア様の命とあらば、何としても探さねば。」
ラフィアの命だと聞いてジンは一気にやる気を出し始めた。
「おお、そうか。
頼むよ。」
かえって2人の方が面食らった表情になってお互い顔を見合わせた。
「俺も大抵の迷宮は攻略して来たんだが、そんな聞いたことない迷宮があるとはな。
名前から推測するに、ゼラン氷河辺りが怪しいんじゃ。」
「ゼラン氷河ってここかしら?」
ジンは地図を広げた。
アクネス領の全体が記されている。
氷麗は地図の氷河地帯を指さした。
「ああ、そうや。
ゼラン氷河の辺りには迷宮が見つかってないんじゃ。
となると、一番怪しいやろ。」
「なるほどな。
確かに可能性は高いな。」
3人は店を出ると、ゼラン氷河地帯に向かうことにした。
ジンの伝で馬車を手配できた。
それに乗って半日ほど移動する。
氷河地帯に行く道は湿地帯や凍りついた大地を渡って行く、足場も悪い場所もあり険しい道もある。
「さて、氷河地帯に到着はしたが、何処から探すか。」
「こんな広い氷河地帯とはな。」
見渡す限りの氷河に焔は唖然としていた。
「探すしかないわ。
ラフィア様がお待ちなのよ。」
「わかってるよ。」
「俺の予想では氷河地帯の東側に岩場の場所があるんだ。
そこいら辺に何か手がかりがあるかも知れんな。」
氷河地帯の東側に馬車で回り込むと、少し岩場と土壌が見えている所に出た。
「特に何も無いわね。」
「そもそもよ。
何で七つ名の氷河迷宮って言うんだろうな?」
「もしかすると七つ名って言うのは、セブンレークの事じゃねぇか?」
持っていた地図をジンは広げ始めた。
「セブンレークってなんだ?」
「七つの湖が点在する地域が有るんだよ。
だが、あそこにはグレイス迷宮があるからな。
その迷宮は攻略されてるし。」
頭を掻いて思い悩むジン。
しかしながら、氷麗と焔はそんなジンの様子とは裏腹に氷河地帯周辺を調べ始めた。
「何か見落としていないか調べるぜ。」
「ジンは少しここで待ってて。」
氷河地帯を隈なく調査し始める氷麗と焔だったが、1時間ほどするとジンの所に帰ってきた。
「ダメね。
何も無い。」
「そうだな。
見る限り迷宮らしいものは無いな。」
氷麗は氷河の中にまで妖気を張り巡らせて探ったが、痕跡は見つけられなかった。
「どうする?」
2人が諦めた顔をしているのをみてジンが問いかけた。
「セブンレークはどの辺りにあるんだ?」
「アクネス領の北側に位置する。
此処からだと馬車で2日はかかるぞ。」
その言葉を聞いて氷麗と焔は顔を見合わせて。
「一旦、我が君に報告に戻ることにするわ。
ジンも一緒に来て欲しいんだけど。」
「お、俺もか?」
そう言って3人は馬車で来た道を戻った。
丁度その頃、ラフィアの元にゼクス達が戻ってきた。
「我が君。
今戻りました。」
「ゼクス、アウラ、尊。
3人ともご苦労様。」
部屋の椅子で寛いでいたラフィアの目の前に3人が姿を表した。
「我が君。
ライぜリオンでございます。」
右手に持っていた金色に光り輝く神器ライぜリオンを跪いてラフィアに手渡した。
「ふふふ、よくやりました。
神器ライぜリオン。
お帰り。」
左手でラフィアはライぜリオンを受け取ると暫く眺めているとパッと金の粒になって消えていった。
その頃、氷麗と焔はラフィアが待つカストラルに向けて馬車を走らせていた。
夜にはトラマの町に到着。
「氷麗、焔。」
ラフィアから思念が送られてきた。
「我が君。
申し訳御座いません。
七つ名の氷河迷宮に関する情報は得られませんでした。」
「そう。
ご苦労様。
私達はカストラルからアクネス領のカルティカ海のアクティアルク城下領都リバイヤスに転送して向かいます。
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「御意。」
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