誓いの嘘と永遠の光

藤原遊

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魔王討伐編

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魔王討伐から数日後、カイルたちは王都へと戻った。

街はすでに大騒ぎとなっており、通りには無数の人々が溢れている。歓声と祝福の声が四方八方から飛び交い、一行が進むたびに拍手と感謝の言葉が浴びせられた。

「こんなに人が集まるなんて……すごいわ。」

エリスが驚きの声を漏らす。

「魔王を倒したんだから、これくらい当然だろう。」

グレンが大剣を担ぎ直しながら笑う。

「けど、目立つのはどうも苦手だな……。」

ルークは短剣を弄びながら小声で呟いた。

カイルはそんな仲間たちを見渡し、静かに微笑んだ。

「みんな、胸を張っていいんだ。この勝利は全員のものだ。今日はその成果を祝おう。」

王宮の広間に招かれた一行は、玉座に座る王と直面した。

荘厳な空間の中、王は一行を見下ろしながら深く頷いた。

「そなたらの魔王討伐の報せは、国中に広まっておる。そなたらの功績は、我が国の歴史に永遠に刻まれるであろう。」

その言葉に、カイルたちは膝をつき、頭を下げた。

「ありがとうございます、陛下。しかし、この勝利は僕たちだけのものではありません。ここにいる全員が力を合わせたからこそ成し遂げられたものです。」

カイルの言葉に、王は満足そうに頷いた。

「その謙虚さもまた、勇者たる所以だ。では、そなたたちに褒賞を授けるとしよう。」

それぞれに与えられた褒賞は、彼らの旅路にふさわしいものだった。

グレンには、伝説の鍛冶職人が特注した大剣。

ルークには、暗闇でもその力を発揮する希少素材の短剣。

エリスには、高位の回復魔法をさらに引き出せる古代の魔道書。

そして、レイナには、彼女の魔力を増幅させる特別な魔道具の杖が贈られた。

「これは……すごい……。」

レイナが驚きの声を漏らすと、王が彼女に目を向けた。

「その杖は、そなたの力をさらに引き出す。これからもその魔力を、正しい道のために使ってくれ。」

「ありがとうございます。必ず……大切にします。」

レイナが深く頭を下げたその時、王はもう一つの報告をした。

「さらに、カイルの進言を受け、ある国への支援を決めた。」

その言葉に、一行が驚きの表情を見せた。

「その国とは、そなたの故郷だ、レイナ。」

王の視線がレイナに向けられると、彼女は驚きに息を呑んだ。

王は語り始めた。

「そなたの祖国は、確かに困難に直面しておる。しかし、魔王討伐で示された魔道具の価値は、我が国にとっても無視できぬものだ。」

カイルはその説明に小さく頷き、続けた。

「レイナの祖国は、優れた魔道具の製造技術を持っています。それを復興させることで、魔法や戦術の分野において他国と協力関係を築くことができます。」

「その通りだ。」

王が再び頷くと、レイナは思わず涙を浮かべた。

「つまり、そなたたちの行いが、この決定を可能にしたのだ。そなたの祖国には、この褒賞を再建のために使わせる。」

レイナはその場で深々と頭を下げた。

「ありがとうございます……本当にありがとうございます……!」

その後、街では盛大なお祭りが開催された。

広場には楽団の音楽が響き、人々が楽しげに踊り明かしている。

「これ全部、俺たちが魔王を倒したからなんだよな……。」

グレンが酒を片手にしながら笑った。

「まあ、悪い気分じゃないな。」

ルークも珍しく和やかな表情を見せていた。

「皆が笑顔でいられるなら、旅も無駄じゃなかったわね。」

エリスが優しく微笑み、周囲の人々を見渡した。

一方、一行は夜の片隅で焚き火を囲み、静かに思い出を語り合っていた。

「覚えてるか? あの洞窟でグレンがトラップに引っかかって、見事に落っこちたこと。」

ルークがからかうように言うと、グレンが眉を吊り上げた。

「おい、あれはお前が先に罠を解除するはずだっただろ!」

「俺がやる前に突っ込んだのは誰だよ?」

エリスが吹き出しながら、二人のやり取りを楽しそうに見ていた。

「こうやって笑い合えるのも、みんなが無事だったからこそよね。」

「その通りだな。」

カイルが優しく笑いながら、焚き火の炎を見つめた。

レイナはそんなカイルの横顔を見つめながら、静かに口を開いた。

「私は……本当に幸せです。皆さんと旅をして、ここまで来られて……。」

その言葉に、全員が静かに頷いた。

「これからも、それぞれの道を進むことになるかもしれない。でも、僕たちはいつだって仲間だ。」

カイルの言葉に、全員が深く頷き、それぞれの思いを胸に焚き火の熱を感じていた。
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