誓いの嘘と永遠の光

藤原遊

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魔王討伐編

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雷光の神殿の静寂が、一行を包み込んでいた。最後の鍵を手にし、全員が息を整える。その空間には、戦闘の名残りと共に、達成感が漂っている。

「さて……これで鍵は揃ったな。」

カイルが最後の鍵を握るレイナに目を向けて言った。その言葉に全員が頷く。

「でも、まだ気を抜けないわ。この神殿を無事に脱出しないと。」

レイナが冷静に言う。彼女の言葉に、全員が気を引き締めた。

「確かに。ここまで来て、最後に罠にかかるのはごめんだ。」

ルークが軽く肩をすくめた。

「行こう。全員、慎重にな。」

カイルが声を掛け、全員が再び歩き出した。

神殿の通路は、来た時とは違う静けさに包まれていた。雷の罠も動きを止めているようで、魔法陣からの反応はない。

「……妙ね。何も動きがないなんて。」

レイナが警戒心をあらわにする。

「嫌な予感がするな。逆に静かすぎる。」

グレンが大剣を構えながら言う。

「でも、このまま進むしかないわ。」

エリスが柔らかな声で言った。

全員が頷き、さらに奥へと進む。そんな中、レイナは杖を握る手に力を込めた。彼女の中で、最後の鍵を手にした重みが、心の迷いをさらに増幅させていた。

(この鍵が……最終的にどうなるのか。私が裏切ることで、この絆を壊すのか……。)

彼女は仲間たちの背中を見つめながら、深い息をついた。

出口が見えたその瞬間、異変が起きた。天井から落雷のような閃光が走り、床が揺れる。次の瞬間、守護者の残留魔力が新たな形を成し、一行を襲った。

「気をつけろ! まだ終わってない!」

カイルが剣を構え、全員に警告した。

現れたのは、雷の力を宿したゴーレムの群れだった。それぞれの体が青白く光り、目には冷たい輝きが宿っている。

「これを突破しないと外には出られないわね!」

レイナが杖を掲げ、戦闘態勢に入った。

戦闘は再び激しさを増した。グレンとカイルが前衛でゴーレムの攻撃を受け止め、エリスが回復魔法で支援する。ルークは素早い動きでゴーレムの急所を突き、次々と数を減らしていった。

「影縛り!」

レイナが呪文を唱え、ゴーレムの動きを封じる。その隙に全員が一斉に攻撃を仕掛けた。

「行けるぞ! 押し切る!」

カイルの叫びと共に、最後のゴーレムが崩れ落ち、静寂が戻った。

「……これで終わりか?」

ルークが短剣を鞘に収めながら呟いた。

「ええ。これで本当に外に出られるわ。」

エリスが微笑みながら答えた。

全員が出口に向かって歩き出した。その中で、レイナは再び自分の手に握られた鍵を見つめた。

(この鍵を、私はどうすればいい……?)

彼女はその問いに答えを出せないまま、外の光を目指した。

神殿を抜けた一行を迎えたのは、澄み切った青空と雲海だった。雷の嵐は静まり、浮島全体が静けさに包まれている。

「やっと外に出られたな。」

ルークが満足げに空を見上げた。

「これで鍵が全て揃った。次は……魔王討伐に向けた準備だ。」

カイルが剣を握りしめながら言う。

「でも、その前に休息が必要ね。この旅はかなり消耗したもの。」

エリスが静かに提案し、全員が頷いた。

一行は浮島を降り、再び地上へ戻ることを決めた。それぞれが鍵の重みと次なる戦いへの思いを胸に秘めていた。

レイナは静かに歩きながら、ふと空を見上げた。その瞳には、深い迷いが渦巻いていた。

(この旅が終わる時、私は……どんな選択をするのだろう?)

その答えはまだ見えない。ただ、彼女の心にあるのは、仲間たちの信頼を裏切る恐怖と、自分の使命への苦悩だった。
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