誓いの嘘と永遠の光

藤原遊

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魔王討伐編

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険しい山道を越え、深い谷を抜けた一行がたどり着いたのは、天空へ向かう足場の入口だった。その場所は岩肌に刻まれたような広場で、中心に青白く輝く魔法陣が浮かんでいた。魔法陣は微かに明滅を繰り返し、時折、雷のような閃光を放っている。

「これが浮島への足場……?」

ルークが驚いた表情で魔法陣を見つめた。

「この魔法陣を使って、浮島に渡るのね。でも……不安定そうだわ。」

レイナが慎重に魔法陣を調べながら呟いた。

「注意して進もう。落ちたら助からないぞ。」

グレンが低い声で言う。

カイルは全員を見渡し、真剣な表情で言った。

「ここからが本番だ。みんな、準備は大丈夫?」

「ええ。魔法の準備は整っているわ。」

エリスが微笑みながら頷く。

「俺はいつでも行ける。」

グレンが力強く応じた。

「気をつけろよ。足場が不安定だと、俺みたいな軽業師がいても全員をカバーするのは無理だからな。」

ルークが肩をすくめながら警告した。

「分かってるさ。みんなで助け合って進むしかない。」

カイルが静かに答えた。

魔法陣に一歩足を踏み入れると、体がふわりと浮き上がり、次の瞬間、視界が白い光に包まれた。光が収まると、そこには浮島が連なる広大な天空の景色が広がっていた。

空には濃い灰色の雲が渦を巻き、雷鳴が響き渡る。浮島は大小さまざまな形で空中に漂い、それぞれが細い橋や浮遊する石で繋がれている。

「これが……天空の浮島……!」

カイルが驚きの声を漏らした。

「きれいだけど、厳しそうね。」

エリスが小さく呟く。

「風も強いし、足場も不安定だ。慎重に進もう。」

レイナが杖を握り直しながら言った。

一行が慎重に浮島を渡り始めたその時、突然、足元の石が激しく揺れた。次の瞬間、雷のような閃光が一行を襲った。

「来たぞ! 罠だ!」

カイルが叫び、全員が慌てて回避行動を取った。足場が崩れ、空中で落下しそうになるルークをグレンが咄嗟に掴み上げた。

「危なかったな……!」

「おいおい、あんたの腕力には感謝しておくぜ。」

ルークが冗談交じりに言う。

「ふざけてる場合じゃないわ。風が強くなる前に進まないと危険よ!」

レイナが声を張り上げ、全員がさらに慎重に進み始めた。

次の浮島に到着すると、そこには雷をまとったゴーレムが立ちはだかっていた。その体は青白い輝きを放ち、空気を震わせている。

「出たな……!」

カイルが剣を構えた。

「こいつは厄介そうだな。」

グレンが大剣を握り直しながら低く呟いた。

「でも、雷をまとってるってことは、弱点もあるはずよ!」

エリスが冷静に指摘し、全員が一斉に戦闘態勢に入った。

ゴーレムとの戦いは激しいものだった。雷のエネルギーが飛び交う中、全員がそれぞれの役割を全力で果たした。

カイルとグレンが前衛でゴーレムの攻撃を防ぎ、エリスが回復魔法を絶え間なく唱える。レイナは影縛りの魔法でゴーレムの動きを封じ、ルークがその隙を狙って急所に短剣を突き立てる。

「今だ! 決めろ!」

カイルの叫びと共に、グレンが大剣を振り下ろし、ゴーレムを真っ二つにした。その体が雷の光と共に崩れ落ち、静寂が訪れた。

「終わったか……?」

ルークが息を整えながら呟いた。

「ええ。でも、まだここは入り口に過ぎないわ。」

レイナが冷静に答えた。

「確かに。これからが本番だな。」

カイルが全員を見渡し、深く頷いた。

「この先で最後の鍵が待っている。みんな、もう一踏ん張りだ!」

全員が声を揃えて応じ、再び足場を渡り始めた。
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