誓いの嘘と永遠の光

藤原遊

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魔王討伐編

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遺跡の奥へ進むにつれ、空気がどんどん冷たくなっていった。古びた壁の模様が徐々に複雑になり、まるでこの先に何か重大なものが隠されているかのような圧迫感が漂っていた。

「次で最後の部屋っぽいな。」

ルークが周囲を警戒しながら呟いた。

「気を抜くな。この場所に魔物がいないわけがない。」

グレンが大剣を軽く肩に当てながら答えた。

カイルは全員を見渡し、少し微笑みながら言った。

「みんなのおかげでここまで来られた。最後までしっかり行こう。」

「リーダーらしいわね。」

レイナが冷静に言葉を返しながら、杖を構えた。

最後の部屋は広大で、中心に巨大な石の円盤が浮いていた。その円盤には紋様が刻まれ、光がゆっくりと流れている。

「これが……?」

エリスが呟きながら円盤に手を伸ばした。その瞬間、部屋全体が震え出し、床のあちこちに裂け目が現れた。そこから黒い煙のようなものが噴き出し、次第に形を成していく。

「またかよ……!」

ルークが短剣を構える。

黒い煙は巨大な人型を形作り、その目に当たる部分が赤く光った。それは無機質な声を響かせる。

「汝、この地に何を求める。」

「平和だ。」

カイルが迷いなく答えた。

「僕たちはこの遺跡に隠された危険を取り除き、人々が安心して暮らせる未来を作りたい。」

その言葉に煙の姿がわずかに揺れた。

「その決意、見定める。」

次の瞬間、黒い巨人が襲いかかってきた。

巨人との戦いは熾烈を極めた。カイルとグレンが前衛で防御を固め、ルークが巨人の動きを封じるために絶妙なタイミングで攻撃を仕掛ける。エリスは全員の体力を回復しながら、魔法で援護する。

レイナは遠くから冷静に巨人を観察していた。その動きに規則性があることに気づくと、すぐに叫んだ。

「次の攻撃が来るわ、右に避けて!」

彼女の指示を受けた全員が一斉に右へ移動し、巨人の拳が地面に叩きつけられる。

「レイナのおかげで助かったな!」

ルークが笑いながら短剣を突き刺す。

「そのまま押し切る!」

カイルが剣を振り上げ、全員が最後の力を振り絞って巨人に攻撃を集中させた。

巨人が崩れ落ち、煙となって消えた後、円盤の光が一層強くなり、その表面に文字が浮かび上がった。

「……これは?」

エリスがその文字を読み上げる。

「『迷いは進む者の足を止める。決意を胸に進め』……何かの教訓かしら。」

「少なくとも、これで遺跡の異常は収まったみたいだな。」

ルークが肩をすくめて言う。

「依頼はこれで解決だ。」

カイルが深く頷き、全員で遺跡を後にした。

街に戻ると、ギルドの受付で依頼の報告を済ませた。依頼主の冒険者たちが再び感謝を述べ、パーティ全員がほっとした表情を浮かべる。

「これで人々も安心できるわね。」

エリスが微笑みながら言う。

「また一つ、直接人を助けられたな。」

カイルが静かに続ける。

「……貴族としても冒険者としても、こうして誰かのために行動できるのは、やっぱり嬉しいよ。」

「少しは冒険者らしくなってきたんじゃないか?」

ルークがからかうように言い、全員が笑った。

「さあ、次の試練の準備を始めましょう。」

レイナが冷静に言い、全員が頷いた。

「次は……影の迷宮だな。」

グレンが低い声で言い、全員が決意を胸に秘めながら、それぞれ準備のために散っていった。
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