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第1部
閑話 図書室でのひととき
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エルフィナスに来て間もない頃、ミユは城内の図書室をお気に入りの場所としていた。幼い見た目の彼女が分厚い本を抱え、真剣な顔で読みふける姿は、周囲の者たちから見てもどこか微笑ましいものだった。
その日も、ミユは静かに本棚を巡り、小さな手で背表紙をなぞりながら物語を探していた。椅子に座ると分厚い本を膝の上に広げ、真剣な表情で読み始めた。
「ミユ、本が大好きなんだね。」
軽快な声が聞こえ、彼女が顔を上げると、エリオットがにこやかな笑みを浮かべて立っていた。
「あっ、エリオットさん……!」
ミユは驚きつつ、慌てて本を閉じた。椅子に座る彼女の小さな姿が、エリオットにはどこか子どもらしく見えた。
「そんなに驚かなくてもいいよ。図書室に来たら君がいるかなって思って。」
彼はゆっくりと椅子を引き、彼女の正面に腰掛けた。
「ところで、どんな本を読んでるんだい?」
ミユは少し照れながら、抱えていた本を小さく持ち上げて見せた。
「童話の本です……」
「童話?」
エリオットは目を丸くし、すぐに優しい笑みを浮かべた。
「へえ、いいね。君が読んでる姿、なんだかそのまま童話の主人公みたいだよ。」
その言葉にミユは顔を赤くし、視線を落とした。
「そ、そんなことはありません……」
「どんな話が好きなんだい?」
彼が身を乗り出して尋ねると、ミユは少し考え込んだあと、小さな声で答えた。
「お姫様が……ドラゴンに拐われて……それを王子様が助けてくれるお話です……」
その答えに、エリオットは少し目を見開いた後、笑い声を上げた。
「定番だけど、いい話だよね。勇敢な王子様と、最後には幸せになれるお姫様。誰もが一度は憧れる物語だ。」
「はい……王子様が最後にお姫様にプロポーズしてくれるところが、一番好きなんです。」
ミユは夢見るような表情で語り、エリオットはその姿に微笑んだ。
「ミユがそのお話を好きなの、なんだか分かる気がするな。きっと君は、そのお姫様みたいになりたいんだろう?」
彼は冗談めかして言ったが、ミユは少し困ったような顔をした。
「えっと……そんなことは……」
彼女は曖昧に言葉を濁し、再び本に視線を落とした。
「でも、いいことだよ。」
エリオットは椅子の背もたれに体を預けながら言った。
「お姫様も、お姫様を助ける王子様も、童話の中ではみんな強い気持ちを持っている。ミユもきっと、そんな強さを持ってると思う。」
その言葉にミユは顔を上げ、小さな声で「本当に……そう思いますか?」と尋ねた。
「もちろんさ。」
エリオットは迷いなく答えた。
「君がそういう話を好きだってことは、それだけ優しい心を持ってるってことだと思うよ。」
彼の言葉に、ミユは少しだけ顔を赤らめながら、はにかんだ笑みを浮かべた。
「ありがとうございます……」
エリオットはそんな彼女の様子を見て微笑むと、軽く立ち上がった。
「また面白い童話が見つかったら、僕にも教えてくれよ。」
「はい、分かりました!」
ミユが元気よく頷く姿を背に、エリオットは図書室を後にした。
彼女が再び本に目を向けると、先ほどまでの会話が頭をよぎり、自然と笑みが浮かんだ。彼女の小さな手の中で、分厚い本のページがそっとめくられていった。
その日も、ミユは静かに本棚を巡り、小さな手で背表紙をなぞりながら物語を探していた。椅子に座ると分厚い本を膝の上に広げ、真剣な表情で読み始めた。
「ミユ、本が大好きなんだね。」
軽快な声が聞こえ、彼女が顔を上げると、エリオットがにこやかな笑みを浮かべて立っていた。
「あっ、エリオットさん……!」
ミユは驚きつつ、慌てて本を閉じた。椅子に座る彼女の小さな姿が、エリオットにはどこか子どもらしく見えた。
「そんなに驚かなくてもいいよ。図書室に来たら君がいるかなって思って。」
彼はゆっくりと椅子を引き、彼女の正面に腰掛けた。
「ところで、どんな本を読んでるんだい?」
ミユは少し照れながら、抱えていた本を小さく持ち上げて見せた。
「童話の本です……」
「童話?」
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「へえ、いいね。君が読んでる姿、なんだかそのまま童話の主人公みたいだよ。」
その言葉にミユは顔を赤くし、視線を落とした。
「そ、そんなことはありません……」
「どんな話が好きなんだい?」
彼が身を乗り出して尋ねると、ミユは少し考え込んだあと、小さな声で答えた。
「お姫様が……ドラゴンに拐われて……それを王子様が助けてくれるお話です……」
その答えに、エリオットは少し目を見開いた後、笑い声を上げた。
「定番だけど、いい話だよね。勇敢な王子様と、最後には幸せになれるお姫様。誰もが一度は憧れる物語だ。」
「はい……王子様が最後にお姫様にプロポーズしてくれるところが、一番好きなんです。」
ミユは夢見るような表情で語り、エリオットはその姿に微笑んだ。
「ミユがそのお話を好きなの、なんだか分かる気がするな。きっと君は、そのお姫様みたいになりたいんだろう?」
彼は冗談めかして言ったが、ミユは少し困ったような顔をした。
「えっと……そんなことは……」
彼女は曖昧に言葉を濁し、再び本に視線を落とした。
「でも、いいことだよ。」
エリオットは椅子の背もたれに体を預けながら言った。
「お姫様も、お姫様を助ける王子様も、童話の中ではみんな強い気持ちを持っている。ミユもきっと、そんな強さを持ってると思う。」
その言葉にミユは顔を上げ、小さな声で「本当に……そう思いますか?」と尋ねた。
「もちろんさ。」
エリオットは迷いなく答えた。
「君がそういう話を好きだってことは、それだけ優しい心を持ってるってことだと思うよ。」
彼の言葉に、ミユは少しだけ顔を赤らめながら、はにかんだ笑みを浮かべた。
「ありがとうございます……」
エリオットはそんな彼女の様子を見て微笑むと、軽く立ち上がった。
「また面白い童話が見つかったら、僕にも教えてくれよ。」
「はい、分かりました!」
ミユが元気よく頷く姿を背に、エリオットは図書室を後にした。
彼女が再び本に目を向けると、先ほどまでの会話が頭をよぎり、自然と笑みが浮かんだ。彼女の小さな手の中で、分厚い本のページがそっとめくられていった。
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