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第3部
24章奪われた光
しおりを挟むエルフィナスの結晶研究所には、夜の静けさが広がっていた。しかし、その静寂は突如として破られた。窓を割る音とともに黒ずくめの影が次々と侵入し、研究所内に響く警報の音が城下全体に鳴り響いた。
「結晶を守れ!」
守衛の騎士たちが叫ぶが、襲撃者たちは迷いなく奥へと進んでいく。その中心にいたのは、冷たい笑みを浮かべた男――セシル王子の側近だった。
「殿下の命令だ。結晶を確保する!」
男は手際よく指示を飛ばし、数人の部下が研究室の扉を破壊する。結晶が安置された保管室に到達すると、その力が赤い光となって辺りを照らし出した。
その頃、ルイス、セドリック卿、ライアン、そしてミユは城内の食堂で遅い夕食を取っていた。突如鳴り響いた警報に、全員が一斉に顔を上げる。
「警報?」
ライアンが眉をひそめた。
「研究所だ。」
ルイスはすぐさま席を立ち、周囲に指示を飛ばす。
「騎士団をすぐに集めて、研究所へ向かう!」
「ミユも一緒に来るんだ。」
セドリック卿が言うと、ミユは驚きつつも頷いた。
「はい、私も力になれるかもしれません。」
全員が急ぎ馬車に乗り込み、研究所へと向かう。夜風が肌を刺すように冷たく、馬車の中でミユは無意識に拳を握りしめていた。
研究所に到着した一行が目にしたのは、無残に破壊された扉と倒れた守衛たちの姿だった。ルイスは剣を抜き放ち、内部へと急ぐ。
「結晶は……どこだ?」
彼は駆け足で保管室へ向かうが、そこは既に空っぽだった。赤い光の余韻だけが部屋に残り、異様な空気を漂わせていた。
「遅かったか……!」
ライアンが拳を壁に叩きつける。
「まだだ。」
セドリック卿が冷静に周囲を見渡しながら言う。
「彼らはこれを奪ったばかりのはずだ。追いつく可能性はある。」
ミユは赤い光が微かに残る空間を見つめていた。胸の奥に何かが引っかかるような感覚――その先に、囁くような声が聞こえてきた。
「……北……霧の砦……」
「ミユ?」
ルイスが彼女の異変に気づき、肩に手を置く。
「分かります……彼らが向かった先。」
ミユは息を整えながら、はっきりと答えた。
「北にある霧の砦です。」
ミユの言葉を信じ、ルイスたちはすぐさま霧の砦へ向かう準備を始めた。セドリック卿が騎士団を編成し、ライアンが指揮を取りつつ、エリオットは魔法による追跡を提案する。
「結晶が発する魔力の痕跡を追う。」
エリオットは呪文を唱え、空中に光の線を浮かび上がらせた。
「ミユの言った方向とも一致している。急ごう。」
砦へ向かう馬車の中、ミユは視線を窓の外に向けながら、自分の力が果たして役に立つのか不安を抱えていた。
「ミユ、大丈夫か?」
ルイスが心配そうに声をかける。
「はい……ただ、どうして私に声が聞こえるのかが分からなくて……」
ミユは少し戸惑いながら答えた。
「それが君の力なんだ。」
ルイスは穏やかに微笑みながら言った。
「きっと、この世界が君を必要としているからだよ。」
その言葉に、ミユは少しだけ勇気を取り戻し、小さく頷いた。
夜が明ける前に、ルイスたちは霧に包まれた砦に到着した。その場所は、結晶の赤い光を放ち、不気味な雰囲気を漂わせていた。
「中に入るぞ。」
セドリック卿が低く指示を出し、一行は剣を構えながら進む。
砦の奥深くで待ち構えていたのは、結晶を手にしたセシル王子だった。赤い光に包まれたその姿は、狂気に満ちている。
「よくもここまで来たものだ、ルイス!」
セシル王子が笑いながら結晶を掲げた。
「この力さえあれば、貴様もアレクシスも跪かせることができる!」
「その力を止める!」
ルイスは剣を構え、戦いの態勢を整えた。
一行がセシル王子とその手勢に立ち向かう中、結晶の光が次第に不安定になり、砦全体に亀裂を走らせ始めた。
「これは……!」
ミユはその異常を察知し、光の力を使って周囲を安定させようとした。
「ミユ、無理をするな!」
ルイスが声をかけるが、彼女は必死に答える。
「私が止めないと、皆が危ないんです!」
「結晶を守れ!」
守衛の騎士たちが叫ぶが、襲撃者たちは迷いなく奥へと進んでいく。その中心にいたのは、冷たい笑みを浮かべた男――セシル王子の側近だった。
「殿下の命令だ。結晶を確保する!」
男は手際よく指示を飛ばし、数人の部下が研究室の扉を破壊する。結晶が安置された保管室に到達すると、その力が赤い光となって辺りを照らし出した。
その頃、ルイス、セドリック卿、ライアン、そしてミユは城内の食堂で遅い夕食を取っていた。突如鳴り響いた警報に、全員が一斉に顔を上げる。
「警報?」
ライアンが眉をひそめた。
「研究所だ。」
ルイスはすぐさま席を立ち、周囲に指示を飛ばす。
「騎士団をすぐに集めて、研究所へ向かう!」
「ミユも一緒に来るんだ。」
セドリック卿が言うと、ミユは驚きつつも頷いた。
「はい、私も力になれるかもしれません。」
全員が急ぎ馬車に乗り込み、研究所へと向かう。夜風が肌を刺すように冷たく、馬車の中でミユは無意識に拳を握りしめていた。
研究所に到着した一行が目にしたのは、無残に破壊された扉と倒れた守衛たちの姿だった。ルイスは剣を抜き放ち、内部へと急ぐ。
「結晶は……どこだ?」
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「遅かったか……!」
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「まだだ。」
セドリック卿が冷静に周囲を見渡しながら言う。
「彼らはこれを奪ったばかりのはずだ。追いつく可能性はある。」
ミユは赤い光が微かに残る空間を見つめていた。胸の奥に何かが引っかかるような感覚――その先に、囁くような声が聞こえてきた。
「……北……霧の砦……」
「ミユ?」
ルイスが彼女の異変に気づき、肩に手を置く。
「分かります……彼らが向かった先。」
ミユは息を整えながら、はっきりと答えた。
「北にある霧の砦です。」
ミユの言葉を信じ、ルイスたちはすぐさま霧の砦へ向かう準備を始めた。セドリック卿が騎士団を編成し、ライアンが指揮を取りつつ、エリオットは魔法による追跡を提案する。
「結晶が発する魔力の痕跡を追う。」
エリオットは呪文を唱え、空中に光の線を浮かび上がらせた。
「ミユの言った方向とも一致している。急ごう。」
砦へ向かう馬車の中、ミユは視線を窓の外に向けながら、自分の力が果たして役に立つのか不安を抱えていた。
「ミユ、大丈夫か?」
ルイスが心配そうに声をかける。
「はい……ただ、どうして私に声が聞こえるのかが分からなくて……」
ミユは少し戸惑いながら答えた。
「それが君の力なんだ。」
ルイスは穏やかに微笑みながら言った。
「きっと、この世界が君を必要としているからだよ。」
その言葉に、ミユは少しだけ勇気を取り戻し、小さく頷いた。
夜が明ける前に、ルイスたちは霧に包まれた砦に到着した。その場所は、結晶の赤い光を放ち、不気味な雰囲気を漂わせていた。
「中に入るぞ。」
セドリック卿が低く指示を出し、一行は剣を構えながら進む。
砦の奥深くで待ち構えていたのは、結晶を手にしたセシル王子だった。赤い光に包まれたその姿は、狂気に満ちている。
「よくもここまで来たものだ、ルイス!」
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「この力さえあれば、貴様もアレクシスも跪かせることができる!」
「その力を止める!」
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一行がセシル王子とその手勢に立ち向かう中、結晶の光が次第に不安定になり、砦全体に亀裂を走らせ始めた。
「これは……!」
ミユはその異常を察知し、光の力を使って周囲を安定させようとした。
「ミユ、無理をするな!」
ルイスが声をかけるが、彼女は必死に答える。
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