幼女となった社畜は異世界の救世主となる

第3部

23章追い詰められる者たち

アレクシス殿下の執務室には、ルイス、ミユ、セドリック卿、ライアン、エリオット、オーウェンが集まり、次の行動を練るための緊迫した会議が行われていた。

「セシルの流した噂の影響は徐々に広がりつつある。しかし、それに踊らされる貴族たちは一部に過ぎない。」アレクシス殿下は毅然とした表情で話した。「彼らが完全にセシルの味方につく前に、私たちは証拠を掴み、彼の計画を暴露しなければならない。」

「それには、セシル王子の拠点を突き止める必要があります。」ルイスが地図を指差しながら言った。「彼の部下がどのように動いているかを追跡し、計画の全貌を把握するのが先決です。」

「既に手配済みです。」ライアンが自信を持って答える。「信頼できる騎士たちを派遣し、セシル王子の部下が密会を行っていると思われる場所を監視しています。結果が出るのも時間の問題です。」

「その間に、結晶と石の秘密について進展を図りましょう。」オーウェンが研究資料を整理しながら話した。「ミユ、君が試練を通じて得た光の力が、この謎を解く鍵になるはずです。」

ミユは緊張しながらも頷いた。「私も精一杯、協力します。」

その夜、ライアンが派遣した騎士たちは、城下町の外れにある古い倉庫を監視していた。そこには、セシル王子の部下たちが密かに集まり、次の計画を話し合っているという情報があった。

「次の一手は……結晶研究所への直接的な襲撃だ。」黒ずくめの男が低い声で言った。「あの結晶が我々の手に渡れば、殿下の計画は成功する。」

「だが、警備は厳重だ。」別の男が反論する。「王都の結晶研究所に手を出せば、エルフィナスの一行にも気づかれる。」

「問題ない。」最初の男が冷笑を浮かべた。「そのために、内部に手引きする者を既に配置している。」

その言葉に、ライアンの派遣した騎士たちは緊張感を増しながら会話を聞き逃さなかった。すぐに報告をまとめ、アレクシス殿下の元へ急いだ。

「内部に手引きする者がいる、ですって？」ミユは報告を聞き、驚きの声を上げた。

「そうだ。」ライアンは険しい表情で頷いた。「セシル王子の計画は、内部に潜む裏切り者を利用して進められている。これを突き止めない限り、我々の動きも制限されるだろう。」

「裏切り者を突き止めるためには、彼らが次に動くタイミングを利用するのが得策だ。」ルイスが冷静に提案した。「結晶研究所への襲撃が計画されている以上、こちらも罠を仕掛け、逆に彼らを捕らえる。」

「その通りだ。」セドリック卿が力強く頷いた。「研究所を守るだけではなく、敵の動きを封じ込める策を立てる必要がある。」

「私も参加します。」ミユは勇敢に前に出た。「私の力が少しでも役に立つなら、協力させてください。」

ルイスはミユの決意を感じ取り、優しい目で彼女を見つめた。「分かった。君の力は、僕たちにとって欠かせないものだ。無理はしないように気をつけてくれ。」

その夜、結晶研究所にはルイス、ミユ、ライアン、セドリック卿が待機し、襲撃者たちを迎え撃つ準備を整えていた。研究所の中は静寂に包まれていたが、外からは忍び寄る気配が感じられた。

「来るぞ……」ライアンが低い声で告げた瞬間、窓の外から影が飛び込み、黒ずくめの男たちが研究所内になだれ込んできた。

「結晶を渡せ！」一人が叫びながら突進してきたが、ライアンの剣が素早くそれを防いだ。

「そう簡単にいくと思うな！」セドリック卿が重々しい声で叫び、次々と襲撃者をなぎ倒していった。

一方、ミユは光の力を使い、結界を展開して研究所を守っていた。「これ以上、結晶には触れさせません！」

「チッ……！」襲撃者たちは一旦撤退を始めたが、その中の一人が最後に振り返り、不敵な笑みを浮かべた。

「これで終わりではないぞ……次はもっと深く突き刺すだけだ。」