幼女となった社畜は異世界の救世主となる

藤原遊

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第3部

16章密書と疑念

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数日後、エルフィナスから派遣された使者がヴェルザリアに到着し、アレクシス殿下に密書を届けた。殿下は書簡に目を通すと、表情を硬くしながらも深く考え込む様子を見せた。

「ルイス殿下は、セシルの動きに気づいているようだな……」アレクシスは静かに呟き、傍らに控える側近に向けた。「しかし、これをどう返答するべきか。彼に協力を示せば、セシルがそれを利用して私の立場を危うくするかもしれない。」

側近は神妙な面持ちで答えた。「殿下のご判断が重要でございます。ただ、セシル王子がエルフィナスへの工作を進めているのは事実であり、このままでは貴国の名誉も傷つく恐れがあります。」

アレクシスは少し黙り込んだ後、小さく息を吐いた。「……ならば、協力の意を示すほかあるまい。セシルを止めるためには、エルフィナスとの連携が必要だ。」

彼はすぐに返書を用意し、自ら署名を加えた。「この手紙を速やかにルイス殿下に届けよ。そして、彼に伝えるのだ。私は大陸の平和を守るために協力する意思がある、と。」

エルフィナスでの準備

その頃、エルフィナス王宮では、ルイスが結晶研究に関する状況を慎重に進める一方、隣国の動きに備えて国内の防衛を強化していた。エリオットとライアンは王宮の防衛計画を見直しながら、各騎士隊の配置を調整していた。

「隣国のスパイがここに潜んでいる可能性を考慮すると、結晶研究所の警備をさらに強化する必要がある。」ライアンが地図を指差しながら言った。「加えて、王宮内部の出入りも厳しく管理すべきだ。」

エリオットは少し皮肉げに笑いながら答えた。「となると、俺たちもますます忙しくなるな。けど、確かに隙を見せるわけにはいかない。」

そのやり取りを静かに聞いていたミユは、ふと口を開いた。「私も、結晶に関わる研究に参加させていただけないでしょうか?」

ライアンが驚いた顔を向ける。「ミユ殿が?」

「はい。」ミユはしっかりとした目で二人を見つめた。「結晶に関することを調べる中で、私自身の力がどのように関係しているのかを知りたいんです。それが、この国の力になるのなら……」

エリオットは少し考え込みながら頷いた。「まあ、確かにミユの光の力は結晶に反応しているみたいだったからな。それに、オーウェンもきっと歓迎するだろう。」

返書の到着とアレクシスの意図

その日の夕方、アレクシス殿下からの返書がエルフィナスに届いた。ルイスは封を開き、中身を確認すると、小さく笑みを浮かべた。

「アレクシス殿下は協力の意思を示してくれている。」彼は返書を手に取りながら、ミユたちに説明した。「彼はセシル王子の動きに対して慎重に対応しつつ、私たちとの連携を進めるつもりのようだ。」

「それは朗報ですね。」ミユは安心したように微笑んだ。

しかし、ルイスの表情は次第に引き締まった。「だが、この協力が表向きだけである可能性も否定できない。僕たちが信じすぎると、セシルの罠に嵌る恐れがある。」

エリオットが静かに言葉を継いだ。「そうだな。警戒を怠らないようにするべきだ。アレクシス殿下が本当にこちらの味方かどうか、時間をかけて見極めよう。」
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