幼女となった社畜は異世界の救世主となる

藤原遊

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第3部

14章動き出す陰謀

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結晶の分析が進む中、オーウェンは新たな発見をルイスに報告するため、王宮の会議室を訪れた。ルイス、ミユ、そしてエリオットが待つ中、彼の表情は重かった。

「結晶について重要な進展がありました。」オーウェンが切り出すと、全員が静かに耳を傾けた。「この結晶は、女神の力を媒介するものだという仮説がほぼ確定しました。しかし、それだけではありません。この結晶が完全に力を発揮するためには、適合する血筋を持つ者が必要です。」

ルイスは落ち着いた声で問いかけた。「それが、僕ではない可能性が高いということか?」

オーウェンは一瞬言葉を詰まらせたが、やがて頷いた。「はい。結晶が示した反応を見る限り、殿下の血筋は完全な適合者ではないようです。」

その言葉に、ミユの胸がざわついた。やはり記録室で見つけた事実が正しいのではないか――彼女の不安は深まるばかりだった。


その頃、王宮に届けられた隣国ヴェルザリアからの使者の報告が新たな波紋を呼んでいた。
「隣国の貴族たちの間で、結晶に関する噂が広まっています。」報告に目を通していたライアンが険しい顔で口を開く。「どうやら、我々がこの結晶を研究していることが知られているようです。」

「隣国の狙いは明白だな。」エリオットが腕を組みながら言った。「結晶を奪い取り、その力を利用しようとしている。」

ルイスは冷静な表情を崩さず、静かに考えを巡らせた。「ヴェルザリアは表向きには友好関係を装っているが、実際にはこの結晶を手に入れるための動きを加速させている。こちらも警戒を強めなければならない。」

その話を聞いていたミユは、ふと視線を落とした。「結晶がそんなに重要なものであるなら……私たちがどう動くべきかを、もっと考えなければなりませんね。」

ルイスはミユを見つめながら頷いた。「そうだ。そのためにも、僕たちは自分たちの立場をしっかり守る必要がある。」



その日の夕方、ルイスはエリオットとライアンを集め、さらに緊張感を増した議論を続けていた。

「隣国の動きを封じるために、こちらも外交的な対応を強化する必要がある。」ルイスは地図を広げながら言った。「表向きには隣国への友好を維持しつつ、内部で結晶を守る体制を整えたい。」

「それには、結晶を移動させるのも一つの手かもしれません。」エリオットが提案した。「隣国が結晶を狙っているなら、目を眩ませる意味でも安全な場所に隠すべきです。」

「それも検討しよう。」ルイスは頷き、次の行動について具体的な指示を出し始めた。

ミユはその様子を静かに見守りながら、心の中で自分の役割について考えていた。「私にも、何かできることがあるはず……」
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