幼女となった社畜は異世界の救世主となる

藤原遊

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第3部

12章揺れる思い

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静まり返った夜の王宮。ミユは記録室の一隅で、再び書物と向き合っていた。蝋燭の揺れる光の中、彼女の目は一心に記述を追っているが、その表情には深い苦悩が浮かんでいた。

「ルイス様が……王家の血を引いていない可能性。そんなことを私が知ってしまって、本当にいいの?」
ミユは小さく呟き、手を止めた。彼女の中では、ルイスへの尊敬と信頼、そして微かな憧れが、この真実を前にして揺れ動いていた。

記録を繰り返し読みながら、彼女の胸には別の疑問も膨らんでいた。
「もしルイス様がこの事実を知ったら……それをどう受け止めるんだろう。それに、この真実を知ることで、この国にどんな影響が出るんだろう。」

その考えが浮かぶたびに、ミユの手は記録のページをめくる動きを止めてしまう。焦燥感と迷いが絡み合い、彼女の中で答えは見つからないままだった。

その頃、ルイスは自室で一人、窓の外を見つめていた。心の中では、ミユの様子が気にかかって仕方がなかった。

「最近の彼女は、ずっと何かを抱え込んでいるように見える。それが何かを話してくれないのは、僕に対する信頼がないからだろうか……」
ルイスは胸の奥が締め付けられるような感覚に襲われた。ミユが自分に対して心を閉ざしているように感じるたび、彼は自分の無力さに歯噛みする思いだった。

「僕は彼女を守りたいと思っているのに……何もできていない。」窓から見える星空を眺めながら、ルイスは静かに呟いた。「彼女が何を抱えているのか分からなくても、せめてそばにいることくらいはできるはずだ。」

その思いが胸に湧き上がると、ルイスは決意を固めた。「ミユに押し付けないように、僕自身がもっと動かなければならない。僕が王として、この国を守るべき人間であるなら……」

ルイスは静かに記録室を訪れた。扉を開けると、蝋燭の灯りに照らされたミユの姿が目に入った。彼女は机に伏せるようにして、資料を手に取ったまま動かなくなっていた。

「ミユ……」
ルイスは声をかけるのをためらったが、静かに彼女に近づき、その肩にそっと手を置いた。驚いて顔を上げたミユの目には、ほんのり涙の跡が見えた。

「ルイス様……」
ミユは慌てて顔を伏せたが、ルイスはその姿にさらに胸を痛めた。「君がここで何を調べているのか、僕には分からない。でも、そんな顔をするほど辛いのなら……無理をしなくてもいいんだよ。」

その優しい言葉に、ミユの目からまた涙がこぼれそうになった。「……すみません。でも、もう少しだけ、頑張らせてください。」

ルイスは彼女の決意に、深く頷いた。「分かった。君が頑張るのなら、僕も君を支える。たとえ今は何もできなくても、僕がそばにいることくらいはさせてほしい。」

ルイスとミユの間には、未だ言葉にできない想いが交錯していた。しかし、ルイスの優しさに触れたミユは、少しだけ心が軽くなった。そして、真実に立ち向かうための勇気を奮い立たせる。

翌朝、ミユは再び記録室で調べ物を進める中で、女神の伝承と王家の血筋に繋がる重大な手がかりを見つける。その発見が、結晶の力と王家の秘密にさらなる展開をもたらすことになる。
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