幼女となった社畜は異世界の救世主となる

藤原遊

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第2部

15章真実への鍵

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一行が次の行動を準備する中、エリオットは自ら呪いを受けた過去を思い返し、何か手掛かりを得られないかと考えを巡らせていた。

「エリオット様、どうかされましたか?」ミユが心配そうに声をかける。

「いや、大丈夫だよ」エリオットは微笑んで応えたが、その瞳には深い葛藤が浮かんでいた。

エリオットは自身が黒幕の計画に巻き込まれた理由――隣国ヴェルザリアの王族の血筋を持つ家系であること――を仲間たちに打ち明けるべきかどうか迷っていた。

一方で、ルイスとライアンは敵の動きを分析し、次の行動を議論していた。

「黒いフードの男、そして結晶……あの姿を見ただけで、奴らの計画の全貌を掴むのは難しいが、確実に王家を狙っている」ルイスが真剣な表情で言った。

ライアンが頷きながら応じる。「敵の手がどこまで伸びているのか、警戒を強めるべきだ。何より、ヴェルザリアの内部に協力者がいる可能性を考える必要がある」

その頃、ヴェルザリア宮殿では、アレクシスが一人、母親の肖像画を見つめていた。その表情には迷いや苦悩が浮かんでいる。

「母上……あなたは本当に……?」

アレクシスの母は、かつて王妃としてその美貌と知性で宮廷を支えた存在だった。しかし、彼女が王以外の男性と密会していたという噂が、彼の心を今も縛り付けていた。

その時、背後からカスパール卿が静かに現れた。「アレクシス殿下、何かお悩みでしょうか?」

「……何でもない」アレクシスは短く答えたが、その態度を見たカスパール卿は微笑を浮かべた。

「お母上の噂についてですか? 殿下、あれは単なる宮廷の戯言に過ぎません。気にすることはございませんよ」

「そうか……だが、王家の正当性を問われるのは避けられない」

「そのために私たちがいるのです。ヴェルザリア王家の未来を守るために、全力を尽くしております」カスパール卿の声には一切の揺らぎがなかった。

しかし、その裏では、彼の計画が着々と進行していた――ヴェルザリア王家の一掃と、自らの支配体制の確立。それは、彼の父である先代から引き継がれた野望でもあった。

ミユたちは次の目的地として、ヴェルザリア宮殿内の隠された書庫に向かうことを決めた。そこには古い王家の記録や、契約魔術に関する詳細な情報が保管されているという。

「敵の計画を止めるには、奴らが何を狙っているのか、そして契約の仕組みを解き明かす必要がある」ルイスが言った。

「ただ、敵の目を欺いて動くのは簡単ではない。奴らは私たちを警戒している」ライアンが慎重な声で付け加えた。

「それでも行く価値があります」とミユが言った。「私たちが真実を掴まなければ、誰も止めることができないんです!」

「ミユの言う通りだ」とエリオットが杖を握りながら言った。「俺たちの力を合わせれば、必ず道を切り開ける」

一行がヴェルザリア宮殿の奥深くにある書庫にたどり着くと、そこは薄暗く、埃まみれの空間が広がっていた。古びた書物や巻物が乱雑に積み上げられており、その中に一冊だけ異様な雰囲気を放つ本があった。

「これは……?」ミユが本に触れようとした瞬間、エリオットが制止した。

「待て。それには強い魔力が宿っている。下手に触れると危険だ」

エリオットが魔法陣を展開しながら本を慎重に開くと、そこには契約魔術の詳細と共に、王家の血筋にまつわる記録が記されていた。

「この記述……先代の王家が正当な血筋を失っていたという記録がある」エリオットが声を低めて言った。

「それが本当なら、アレクシス殿下が狙われている理由も分かりますね」とミユが言う。

「だが、どうしてこの記録がここに隠されていたんだ?」ライアンが疑問を投げかけた。

「おそらく、隠された真実を知られたくない者がいたのだろう。そして、それを利用しようとしているのがカスパール卿だ」ルイスが険しい表情で答えた。

記録にはさらに、カスパール卿が王家を一掃するために動いていることを示唆する内容も含まれていた。

「これで奴らの目的が見えてきたな」ルイスが言った。「だが、奴らが本当に求めているのは、結晶の力を使った新たな支配体制だろう」

「結晶の謎が全ての鍵を握っているのは間違いない」とエリオットが頷いた。

「次は、敵が結晶の力をどう使おうとしているのか、その計画を暴く必要がありますね」とミユが決意を新たに言った。
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