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14章 双月の遺跡

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双月の遺跡の入口を越えた瞬間、アリアとイアンは空気が一変するのを感じた。ひんやりとした冷気と、古代の魔力が混ざり合った独特の圧力が二人を包み込む。

「ここが遺跡の中か……なんだか、不思議な感じがするね。」
アリアが剣を握り直しながら呟いた。

「この空間自体が魔法で構成されている可能性が高い。慎重に進もう。」
イアンが杖を構え、周囲を見渡す。

二人はゆっくりと奥へと進んでいった。

最初の広間にたどり着いた二人は、床に無数の模様が描かれた巨大な部屋を目の当たりにした。その中心には二体の石像が立っている。

「なんだか動き出しそうだよね……。」
アリアが警戒しながら剣を構える。

その予感はすぐに現実となった。石像の目が赤く光り、重々しい音を立てながら動き出す。

「予想通りだな。アリア、注意しろ!」
イアンが冷静に警告する。

一体の石像が巨大な剣を振り上げ、二人に向かって襲いかかる。アリアは素早くその攻撃を避け、剣を振りかざして反撃する。しかし、石像の硬い体は彼女の一撃ではびくともしなかった。

「硬っ……どうすればいいの!?」

「奴らには明確な弱点があるはずだ。この模様の一部を利用できるかもしれない。」
イアンが床に描かれた模様を指差しながら分析する。

アリアは模様の中央に目を向け、その光が弱まっていることに気づいた。

「もしかして、これを全部光らせれば……!」

「試してみる価値はあるな。私が石像の注意を引く。君は模様の上を順番に踏んでいけ!」

「分かった!」
アリアは剣を構えながら走り出した。

イアンが石像に向かって氷の槍を放ち、その動きを封じる間に、アリアは模様の一つ一つを順に踏んでいく。模様は彼女が触れるたびに青白い光を放ち始めた。

「あと少しだ!」
イアンが叫ぶ。

最後の模様を踏んだ瞬間、部屋全体が輝きに包まれ、石像が動きを止めた。その体は崩れ落ち、塵となって消えていく。

「やった……!これで突破できたの?」
アリアが息を切らしながら呟く。

「どうやらそうだ。だが、まだ油断は禁物だ。」
イアンが杖を収めながら答えた。

二人は次の部屋へと進む。その途中、イアンが低い声で言った。

「君の直感が役立ったな。私一人では気づけなかった。」

「そうかな?イアンが分析してくれたからだよ。私たち、いいコンビなんじゃない?」
アリアが笑顔で答える。

「……そうかもしれないな。」
イアンは微かに微笑みながらも、再び前方に視線を向けた。

次の部屋からは冷たい風が吹き抜けてきた。その奥にはさらなる試練が待ち受けている。二人は緊張を新たにしながら歩みを進めた。
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