魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊

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6章 魔力異常

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湖の中央から姿を現した巨大な蛇の魔物は、濃密な魔力を纏っていた。その赤い瞳が二人を射抜くように睨みつけ、漆黒の鱗が水面に反射して不気味に輝いている。

「でっかいね、これ!」
アリアが剣を構えながら口元を引き締める。

「通常の魔物とは比較になりません。魔力の濃度が異常に高い。」
イアンが冷静に分析する。

魔物は高く頭をもたげると、次の瞬間、水しぶきを上げながら一気にアリアに襲いかかってきた。彼女はすぐさま前へ飛び出し、剣を振り上げる。

アリアの剣が魔物の鱗に当たるが、金属音を立てて弾かれる。

「硬い!全然通らないじゃん!」
アリアが叫ぶ。

「このままでは、君の攻撃は有効ではありません。」
イアンが後方で杖を構え、魔法を詠唱する。

蛇の魔物はその間もアリアに狙いを定め、鋭い牙を振り下ろそうとする。アリアは剣を盾代わりに掲げて防御するが、衝撃で大きく後退した。

「ちょっと、あんたも何かしてよ!」

「了解しました。」
イアンの杖から氷の魔法が放たれ、魔物の動きを一瞬鈍らせる。魔物の鱗に霜が広がり、動きが鈍るのを見て、アリアは再び剣を握り直した。

「よし、行く!」
彼女は炎を纏わせた剣を振りかざし、魔物の弱点を狙うように突進する。

そのとき、魔物の瞳が不気味に輝き、強烈な魔力の波動が辺りを包み込んだ。突如として、イアンの周囲に異変が起こる。杖から漏れ出す冷気が不自然に広がり始め、彼の手が微かに震えていた。

「……まずい。」
イアンが低く呟く。

「どうしたの!?」
アリアが振り返る。

「私の力が、制御を失いかけています……。」

イアンの呪いが発動しかけていることを察したアリアは、一瞬で判断を下した。

「じゃあ、私が決める!」
彼女は躊躇なく魔物に向かって突っ込み、剣を振り下ろす。炎を纏った刃が魔物の首元に食い込み、大量の血を噴き出させる。

魔物は苦しげに吠え声を上げながら暴れるが、ついにその巨体が湖面に崩れ落ちた。

「やった……!」
アリアは息を切らしながら剣を下ろした。

イアンは震える手を静かに抑えながらアリアのもとへ歩み寄った。

「君がいなければ、私は――」

「何言ってんのさ!私たちはチームなんだからさ、困ったときはお互い様でしょ?」
アリアが笑顔で言う。

「……君のその言葉には救われます。」
イアンは短く息をつき、再び冷静な顔を取り戻した。

戦闘が終わった後、二人は湖の周囲を調査し始めた。魔物の痕跡が残る場所には、奇妙な輝きを放つ石が埋まっているのを発見する。

「これが原因か?」
アリアが石を指差す。

「間違いないでしょう。この石には、遺跡で感じたものと同じ魔力の痕跡があります。」
イアンが慎重にその石を観察する。

「じゃあ、遺跡の魔力がここにも影響を及ぼしてるってこと?」

「可能性は高い。ただ、この石が何のために置かれているのかはまだ不明です。」

二人は石を手に取り、それをギルドに持ち帰ることにした。

街へ帰る道中、アリアは石を眺めながら呟いた。

「遺跡といい、湖といい、最近変なことばっかだね。」

「……世界には、未解明の力が無数に存在します。それに触れる者が限られていることが、君のような存在を際立たせているのです。」
イアンが静かに言う。

「まあ、そうかもしれないけどさ。」
アリアは少しだけ笑いながら、彼を見上げた。

「でも、こういう冒険も悪くないよね?」

「……確かに、そう思い始めています。」

二人は夕陽に照らされる森の道を歩きながら、次なる謎に向けて気持ちを新たにした。






ステータス画面

アリア・マーウェラ

• レベル: 10
• 職業: 剣士(盾なし)
• 体力: 26
• 魔力: 0
• 力: 22
• 敏捷: 17
• 器用: 13
• 知力: 8
• 精神: 11

スキル一覧

• 剣の扱い Lv.4
• 投擲 Lv.1
• 身体強化 Lv.2
• 戦闘直感(パッシブ)

イアン

• レベル: 13
• 職業: 魔法使い(呪術特化)
• 体力: 10
• 魔力: 40
• 力: 6
• 敏捷: 11
• 器用: 12
• 知力: 25
• 精神: 23

スキル一覧

• 氷結魔法 Lv.4
• 魔力制御 Lv.3
• 詠唱短縮 Lv.2
• 炎魔法付与 Lv.1
• 呪いの触(自動発動 / パッシブ)
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